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ちくま新書 歴史講義シリーズ

CHIKUMA SHINSHO

考古学講義

北條 芳隆

科学的手法の進展により新発見の続く考古学。
その最先端をわかりやすく伝えるとともに、
通説をそのままなぞるような水準にとどまらない挑戦的な研究を紹介する。
ちくま新書1406/2019/05/07刊行/ISBN: 978-4-480-07227-6/352ページ/定価:1,210円(10%税込)
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考古学講義

目次

    旧石器・縄文時代
  1. 旧石器文化からみた現生人類の交流杉原敏之
  2. 縄文時代に農耕はあったのか中山誠二
  3. 土偶とは何か瀬口眞司
  4. アイヌ文化と縄文文化に関係はあるか瀬川拓郎
  5. 弥生時代
  6. 弥生文化はいつ始まったのか宮地聡一郎
  7. 弥生時代の世界観設楽博己
  8. 青銅器の祭りとはなにか北島大輔
  9. 玉から弥生・古墳時代を考える谷澤亜里
  10. 鉄から弥生・古墳時代を考える村上恭通
  11. 古墳時代
  12. 鏡から古墳時代社会を考える辻田淳一郎
  13. 海をめぐる世界/船と港石村智
  14. 出雲と日本海交流池淵俊一
  15. 騎馬民族論のゆくえ諫早直人
  16. 前方後円墳はなぜ巨大化したのか北條芳隆

編・執筆者紹介

北條芳隆(ほうじょう・よしたか)【編者/はじめに・第14講】
一九六〇年長野県生まれ。東海大学文学部教授。岡山大学法文学部卒業。広島大学大学院文学研究科博士前期課程修了。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。著書『古墳の方位と太陽』(同成社)、『 古墳時代像を見なおす』(共著、青木書店)など。
杉原敏之(すぎはら・としゆき)【第1講】
一九六八年山口県生まれ。福岡県教育庁文化財保護課参事補佐兼企画・埋蔵文化財係長。明治大学文学部卒業。著書『遠の朝廷・大宰府 シリーズ「遺跡を学ぶ」』(新泉社)。論文「剝片尖頭器の構造と展開」(『安蒜政雄先生古稀記念論文集・旧石器時代の知恵と技術の考古学』雄山閣)、「九州の尖頭器石器群と狩猟集団」(『旧石器時代文化から縄文時代文化の潮流 ― 研究の視点』六一書房)。
中山誠二(なかやま・せいじ)【第2講】
一九五八年新潟県生まれ。南アルプス市ふるさと文化伝承館館長、帝京大学文化財研究所客員教授。中央大学文学部卒業。博士(文学・東海大学)。専門は植物考古学、著書『植物考古学と日本の農耕起源』(同成社)、『日韓における穀物農耕の起源』(編著、山梨県立博物館)など。
瀬口眞司(せぐち・しんじ)【第3講】
一九六八年生まれ。公益財団法人滋賀県文化財保護協会調査課課長補佐。奈良大学文学部文化財学科卒業。博士(文学・立命館大学)。専門は日本考古学。著書『縄文集落の考古学―西日本における定住集落の成立と展開』(昭和堂)、論文「西日本の縄文社会の特色とその背景」(『縄文時代―その枠組・文化・社会をどう捉えるか?』吉川弘文館)など。
瀬川拓郎(せがわ・たくろう)【第4講】
一九五八年生まれ。札幌大学教授。岡山大学法文学部卒業。博士(文学・総合研究大学院大学)。専門は考古学・アイヌ史。著書『アイヌと縄文』(ちくま新書)、『アイヌ学入門』『縄文の思想』(以上、講談社現代新書)、『アイヌの歴史』『アイヌの世界』(以上、講談社選書メチエ)など。
宮地聡一郎(みやじ・そういちろう)【第5講】
一九七二年徳島県生まれ。福岡県教育庁文化財保護課企画主査。国士舘大学文学部卒業。立命館大学大学院文学研究科博士前期課程修了。論文「刻目突帯文土器圏の成立」上・下(『考古学雑誌』第八八巻第一・二号)、「西日本縄文晩期土器文様保存論―九州地方の有文土器からの問題提起」(『考古学雑誌』第九九巻第二号)、「縄文から弥生へ―墓域構成の変化に見るイデオロギー転換」(『古文化談叢』第八〇集)など。
設楽博己(したら・ひろみ)【第6講】
一九五六年群馬県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。静岡大学人文学部卒業。筑波大学大学院歴史人類学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書『弥生文化形成論』(塙書房)、『縄文社会と弥生社会』(敬文舎)など。
北島大輔(きたじま・だいすけ)【第7講】
一九七二年生まれ。山口市教育委員会文化財保護課副主幹。明治大学大学院博士後期課程満期退学。専門は日本考古学(弥生〜古墳時代・中世)。著書『加茂岩倉遺跡』(共著、島根県教育委員会)、『吉野ヶ里銅鐸』(共著、佐賀県教育委員会)、論文「福田型銅鐸の型式学的研究」(『考古学研究』第五一巻第三号)など。
谷澤亜里(たにざわ・あり)【第8講】
一九八六年福岡県生まれ。九州大学総合研究博物館助教。九州大学文学部卒業。九州大学大学院比較社会文化学府修士課程修了。同博士課程単位取得退学。博士(比較社会文化・九州大学)。論文「弥生時代後期・終末期の勾玉からみた地域間関係とその変容」(『考古学研究』第六一巻第二号)、「古墳時代前期における玉類副葬の論理」(『考古学は科学か:田中良之先生追悼論文集』中国書店)。
村上恭通(むらかみ・やすゆき)【第9講】
一九六二年熊本県生まれ。愛媛大学アジア古代産業考古学研究センター・センター長(教授)。熊本大学文学部卒業。広島大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。著書『倭人と鉄の考古学』(青木書店)、『古墳時代像を見なおす』(共著、青木書店)、『古代国家成立過程と鉄器生産』(青木書店)など。
辻田淳一郎(つじた・じゅんいちろう)【第10講】
一九七三年長崎県生まれ。九州大学大学院人文科学研究院准教授。九州大学文学部卒業。九州大学大学院比較社会文化研究科博士後期課程単位修得退学。博士(比較社会文化)。著書『同型鏡と倭の五王の時代』(同成社)、『鏡と初期ヤマト政権』(すいれん舎)など。
石村智(いしむら・とも)【第11講】
一九七六年兵庫県生まれ。東京文化財研究所無形文化遺産部音声映像記録研究室室長。京都大学大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)。著書『よみがえる古代の港―古地形を復元する』(吉川弘文館)、『ラピタ人の考古学』(溪水社)など。
池淵俊一(いけぶち・しゅんいち)【第12講】
一九六八年島根県生まれ。島根県教育庁文化財課調整監。広島大学大学院文学研究科博士前期課程修了。著書『古墳時代史にみる古代出雲成立の起源』(松江市ふるさと文庫)、論文「山陰における方形区画墓の埋葬論理と集団関係」(『四隅突出型墳丘墓と弥生墓制の研究』島根県古代文化センター)など。
諫早直人(いさはや・なおと)【第13講】
一九八〇年東京都生まれ。京都府立大学文学部准教授。早稲田大学教育学部卒業。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は東北アジア考古学。著書『海を渡った騎馬文化』(風響社)、『東北アジアにおける騎馬文化の考古学的研究』(雄山閣)など。

古代史講義

──邪馬台国から平安時代まで

佐藤 信

古代史研究の最新成果と動向を一般読者にわかりやすく伝えるべく
15人の専門家の知を結集。
列島史の全体像が1冊でつかめる最良の入門書。参考文献ガイドも充実。
ちくま新書1300/2018/01/09刊行/ISBN:978-4-480-07117-0/288ページ/定価:968円(10%税込)
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古代史講義

目次

  1. 邪馬台国から古墳の時代へ吉松大志
  2. 倭の大王と地方豪族須原祥二 
  3. 蘇我氏とヤマト王権鈴木正信
  4. 飛鳥・藤原の時代と東アジア中村順昭
  5. 平城京の実像馬場基
  6. 奈良時代の争乱佐々田悠
  7. 地方官衙と地方豪族佐藤信
  8. 遣唐使と天平文化飯田剛彦
  9. 平安遷都と対蝦夷戦争吉野武
  10. 平安京の成熟と都市王権の展開仁藤智子
  11. 摂関政治の実像榎本淳一
  12. 国風文化と唐物の世界河内春人
  13. 受領と地方社会三谷芳幸
  14. 平将門・藤原純友の乱の再検討宮瀧交二
  15. 平泉と奥州藤原氏大平聡

編・執筆者紹介

佐藤 信(さとう・ まこと)【編者/ はじめに・ 第7講・ おわりに】
一九五二年生まれ。東京大学名誉教授、人間文化研究機構理事。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の宮都と木簡』(吉川弘文館)、『古代の遺跡と文字資料』(名著刊行会)、『出土史料の古代史』(東京大学出版会)、編者『大学の日本史①古代』(山川出版社)など。
吉松大志(よしまつ・ひろし)【第1講】
一九八二年生まれ。島根県古代文化センター主任研究員。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了、同博士課程単位取得満期退学。専門は日本古代史。論文「古代における諸司監察」(『日本歴史』七六三)、「『出雲国風土記』の地名起源説話と古代の地域社会」(島根県古代文化センター編『古代祭祀と地域社会』)、「日置氏と欽明朝の出雲」(『出雲古代史研究』二六)など。
須原祥二(すはら・しょうじ)【第2講】
一九六七年生まれ。四天王寺大学人文社会学部教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。編著書『古代地方制度形成過程の研究』(吉川弘文館)、『恩頼堂文庫分類目録』(四天王寺国際仏教大学図書館)など。
鈴木正信(すずき・まさのぶ)【第3講】
一九七七年生まれ。文部科学省教科書調査官。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代氏族系譜の基礎的研究』(東京堂出版)、『大神氏の研究』(雄山閣)、『Clans and Genealogy in Ancient Japan』(Routledge)、『日本古代の氏族と系譜伝承』(吉川弘文館)など。
中村順昭(なかむら・よりあき)【第4講】
一九五三年生まれ。日本大学文理学部教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『律令官人制と地域社会』(吉川弘文館)、『地方官人たちの古代史』(吉川弘文館)など。
馬場 基(ばば・はじめ)【第5講】
一九七二年生まれ。奈良文化財研究所都城発掘調査部史料研究室長、京都大学大学院人間・環境学研究科客員准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。専門は日本古代史。著書『平城京に暮らす 』(吉川弘文館)など。
佐々田 悠(ささだ・ゆう)【第6講】
一九七六年生まれ。宮内庁正倉院事務所保存課技官。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。論文「記紀神話と王権の祭祀」(『岩波講座日本歴史』第二巻、岩波書店)、「正倉院文書と聖語蔵経巻」(栄原永遠男ほか編『東大寺の新研究2 歴史のなかの東大寺』法蔵館)など。
飯田剛彦(いいだ・たけひこ)【第8講】
一九六八年生まれ。宮内庁正倉院事務所保存課長、奈良女子大学大学院客員教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。専門は日本古代史。著書『日本の美術52 正倉院の地図』(ぎょうせい)、『正倉院美術館』(共著、講談社)、論文「正倉院宝庫修理の歴史と自然災害」(『正倉院紀要』38)など。
吉野 武(よしの・たけし)【第9講】
一九六六年生まれ。宮城県多賀城跡調査研究所主任研究員。東北大学大学院文学研究科修士課程修了。専門は日本古代史。論文「多賀城創建木簡の再検討」(『歴史』第一二六輯)、「陸奥国の城柵と運河」(鈴木靖民ほか編『日本古代の運河と水上交通』八木書店)など。
仁藤智子(にとう・さとこ)【第10講】
一九六三年生まれ。国士舘大学文学部准教授。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程単位取得退学。博士(人文科学)。専門は日本古代史。著書『平安初期の王権と官僚制』(吉川弘文館)。論文「女帝の終焉」(『日本歴史』八三七)、「〈都市王権〉の成立と展開」(『歴史学研究』七六八)など。
榎本淳一(えのもと・じゅんいち)【第11講】
一九五八年生まれ。大正大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『唐王朝と古代日本』(吉川弘文館)、編著『古代中国・日本における学術と支配』(同成社)など。
河内春人(こうち・はるひと)【第12講】
一九七〇年生まれ。関東学院大学経済学部准教授。明治大学大学院博士後期課程中退。博士(史学)。専門は日本古代史・東アジア交流史。著書『東アジア交流史のなかの遣唐使』(汲古書院)、『日本古代君主号の研究』(八木書店)、『倭の五王』(中公新書)など。
三谷芳幸(みたに・よしゆき)【第13講】
一九六七年生まれ。筑波大学人文社会系准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『律令国家と土地支配』(吉川弘文館)、『岩波講座日本歴史 第4巻 古代4』(共著、岩波書店)、『ここまで変わった日本史教科書』(共著、吉川弘文館)など。
宮瀧交二(みやたき・こうじ)【第14講】
一九六一年生まれ。大東文化大学文学部教授。立教大学大学院文学研究科博士後期課程から埼玉県立博物館主任学芸員を経て現職。博士(学術)。専門は日本古代史・博物館学。著書『岡倉天心 思想と行動』(共著、吉川弘文館)。論文「村落と民衆」(上原真人ほか編『列島の古代史3 社会集団と政治組織』岩波書店)など。
大平 聡(おおひら・さとし)【第15講】
一九五五年生まれ。宮城学院女子大学学芸学部人間文化学科教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本古代史。著書『聖徳太子』(山川出版社日本史リブレット)、論文「世襲王権の成立」(鈴木靖民編『日本の時代史2 倭国と東アジア』吉川弘文館)など。

古代史講義

【戦乱篇】

佐藤 信

日本の古代を大きく動かした15の戦い・政争を
最新研究に基づき正確に叙述。
通時的に歴史展開を見通すとともに、
時代背景となる古代社会のあり方を明らかにする。
ちくま新書1391/2019/03/05刊行/ISBN: 978-4-480-07212-2/288ページ/定価:968円(10%税込)
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古代史講義

目次

  1. 磐井の乱大髙広和
  2. 蘇我・物部戦争加藤謙吉
  3. 乙巳の変有富純也
  4. 白村江の戦い浅野啓介
  5. 壬申の乱北啓太
  6. 長屋王の変山下信一郎
  7. 藤原広嗣の乱松川博一
  8. 橘奈良麻呂の変小倉真紀子
  9. 藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱寺崎保広
  10. 律令国家の対蝦夷戦争─ 「三十八年戦争」を中心に永田英明
  11. 平城太上天皇の変佐藤信
  12. 応天門の変鈴木景二
  13. 菅原道真左降事件森公章
  14. 平将門の乱・藤原純友の乱寺内浩
  15. 前九年合戦・後三年合戦戸川点

編・執筆者紹介

佐藤 信(さとう・まこと)【はじめに/第11講/おわりに】
一九五二年生まれ。東京大学名誉教授、人間文化研究機構理事。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の宮都と木簡』(吉川弘文館)、『古代の遺跡と文字資料』(名著刊行会)、『出土史料の古代史』(東京大学出版会)、編著『大学の日本史①古代』(山川出版社)など。
大高広和(おおたか・ひろかず)【第1講】
一九八二年生まれ。福岡県文化振興課世界遺産室主任技師。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。論文「大宝律令の制定と「蕃」「夷」」(『史学雑誌』一二二編一二号)、「沖ノ島研究の現在」(『歴史評論』七七六号)など。
加藤謙吉(かとう・けんきち)【第2講】
一九四八年生まれ。早稲田大学オープンカレッジ講師。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『蘇我氏と大和王権』『大和政権と古代氏族』『大和政権とフミヒト制』(以上、吉川弘文館)、『ワニ氏の研究』『日本古代の豪族と渡来人』(以上、雄山閣)など。
有富純也(ありとみ・じゅんや)【第3講】
一九七四年生まれ。成蹊大学教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代国家と支配理念』(東京大学出版会)など。
浅野啓介(あさの・けいすけ)【第4講】
一九七五年生まれ。文化庁文化財第二課文化財調査官(史跡部門)。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。専門は日本古代史。主要論文に、「日本古代の村の性格」(『史学雑誌』一二三―六)、「庚午年籍と五十戸制」(『日本歴史』六九八)、「檜扇の製作に関わる新知見」(『奈良文化財研究所紀要』二〇一〇)。
北啓太(きた・けいた)【第5講】
一九五三年生まれ。元宮内庁京都事務所長。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本古代史。論文「壬生本『西宮記』旧内容の検討」(『史学雑誌』一〇一―一一)、「律令国家における将軍について」(笹山晴生先生還暦記念会編『日本律令制論集』上巻、吉川弘文館)など。
山下信一郎(やました・しんいちろう)【第6講】
一九六六年生まれ。文化庁文化財第二課主任文化財調査官(史跡部門)。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位修得満期退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の国家と給与制』(吉川弘文館)、論文「古代饗宴儀礼の成立と藤原宮大極殿閤門」(佐藤信編『史料・史跡と古代社会』吉川弘文館)など。
松川博一(まつかわ・ひろかず)【第7講】
一九七〇年生まれ。九州歴史資料館学芸員。山口大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専門は日本古代史。論文「大宰府軍制の特質と展開」(『九州歴史資料館研究論集』三七)、「大宰府と寺社」(『都城制研究』八)、「大宰府官司制論」(『大宰府の研究』高志書院)など。
小倉真紀子(おぐら・まきこ)【第8講】
一九七四年生まれ。北海道大学大学院文学研究科准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。論文「公廨稲運用の構造―「越前国雑物収納帳」を素材として」(『日本史研究』五〇六)、「古代地子制に関する一考察」(『日本歴史』六一六)、「近世禁裏における六国史の書写とその伝来」(田島公編『禁裏・公家文庫研究 第三輯』所収、思文閣出版)など。
寺崎保広(てらさき・やすひろ)【第9講】
一九五五年生まれ。奈良大学教授。東北大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『長屋王』(吉川弘文館)、『藤原京の形成』(山川出版社)、『古代日本の都城と木簡』(吉川弘文館)、『若い人に語る奈良時代の歴史』(吉川弘文館)。
永田英明(ながた・ひであき)【第10講】
一九六五年生まれ。東北学院大学教授。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『古代駅伝馬制度の研究』(吉川弘文館)、『東北の古代史3 蝦夷と城柵の時代』(共著、吉川弘文館)など。
鈴木景二(すずき・けいじ)【第12講】
一九六三年生まれ。富山大学人文学部教授。神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得退学。論文「日本古代の行幸」(『ヒストリア』一二五)、「都鄙間交通と在地秩序」(『日本史研究』三七九)など。
森公章(もり・きみゆき)【第13講】
一九五八年生まれ。東洋大学文学部教授。東京大学人文科学研究科博士課程単位修得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。『在庁官人と武士の生成』(吉川弘文館)、『天智天皇』(吉川弘文館)、『平安時代の国司の赴任』(臨川書店)、『古代日中関係の展開』(敬文舎)など。
寺内浩(てらうち・ひろし)【第14講】
一九五五年生まれ。愛媛大学教授。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『受領制の研究』(塙書房)、『平安時代の地方軍制と天慶の乱』(塙書房)、共著『愛媛県の歴史』(山川出版社)など。
戸川点(とがわ・ともる)【第15講】
一九五八年生まれ。拓殖大学国際学部教授。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程中退。専門は日本古代・中世史。著書『平安時代の政治秩序』(同成社)、『平安時代の死刑』(吉川弘文館)、共編著『検証・日本史の舞台』(東京堂出版)、『ケガレの文化史』(森話社)など。

古代史講義

【宮都篇】

佐藤 信

飛鳥の宮から平城京・平安京などの都、太宰府、平泉まで
古代の代表的宮都を紹介。
最新の発掘・調査成果をもとに都市の実像を明らかにし、
古代史像の刷新を図る。
ちくま新書1480/2020/03/05刊行/ISBN:978-4-480-07300-6/304ページ/定価:1,012円(10%税込)
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古代史講義

目次

  1. 飛鳥の宮々─ 大王宮から飛鳥宮へ鶴見泰寿
  2. 難波宮─ 改新政権の宮と天平の都磐下徹
  3. 大津宮─ 滋賀の都の実像古市晃
  4. 藤原京─ 中国式都城の受容市大樹
  5. 平城宮─ 古代王宮の実像山本祥隆
  6. 平城京─ 奈良の都の特質佐藤信
  7. 恭仁京─ 天平の新京造営増渕徹
  8. 紫香楽宮─ 聖武天皇の夢の都北村安裕
  9. 長岡京─ 新都造営の実像國下多美樹
  10. 平安宮─ 千年の都の形成北康宏
  11. 平安京─ 都市の発展と貴族邸宅の展開西山良平
  12. 白河・鳥羽─ 古代宮都の変貌 土橋誠
  13. 大宰府─ 対外交渉の拠点杉原敏之
  14. 多賀城─ 城柵国府と街並み古川一明
  15. 平泉─ 奥州藤原氏の首都佐藤嘉広

編・執筆者紹介

佐藤信(さとう・まこと)【はじめに/第6講/おわりに】
一九五二年生まれ。東京大学名誉教授、人間文化研究機構理事。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の宮都と木簡』『列島の古代』(以上、吉川弘文館)、『出土史料の古代史』(東京大学出版会)、編著『大学の日本史①古代』(山川出版社)、『古代史講義』(ちくま新書)など。
鶴見泰寿(つるみ・やすとし)【第1講】
一九六九年生まれ。奈良県立橿原考古学研究所附属博物館指導学芸員。名古屋大学大学院文学研究科博士課程前期課程修了。専門は日本古代史。著書『古代国家形成の舞台 飛鳥宮』(新泉社)、『飛鳥宮跡出土木簡』(吉川弘文館)、『大仏開眼―東大寺の考古学』(奈良県立橿原考古学研究所附属博物館)など。
磐下徹(いわした・とおる)【第2講】
一九八〇年生まれ。大阪市立大学文学研究院准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。専門は日本古代史。著書『日本古代の郡司と天皇』(吉川弘文館)、共著『藤原道長事典』(思文閣出版)など。
古市晃(ふるいち・あきら)【第3講】
一九七〇年生まれ。神戸大学大学院人文学研究科教授。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代王権の支配論理』『国家形成期の王宮と地域社会―記紀・風土記の再解釈』(以上、塙書房)など。
市大樹(いち・ひろき)【第4講】
一九七一年生まれ。大阪大学大学院文学研究科准教授。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『飛鳥藤原木簡の研究』『日本古代都鄙間交通の研究』(以上、塙書房)、『すべての道は平城京へ』(吉川弘文館)、『飛鳥の木簡』(中公新書)など。
山本祥隆(やまもと・よしたか)【第5講】
一九八三年生まれ。国立文化財機構奈良文化財研究所研究員。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中途退学。専門は日本古代史。著書『〈歴史の証人〉木簡を究める』(共著、クバプロ)、『律令制と古代国家』(共著、吉川弘文館)など。
増渕徹(ますぶち・とおる)【第7講】
一九五八年生まれ。京都橘大学文学部教授。東京大学文学部国史学科卒業。専門は日本古代史。著書『史跡で読む日本の歴史5 平安の都市と文化』(編著、吉川弘文館)、『医療の社会史 ― 生・老・病・死』『京都の女性史』(共著、思文閣出版)など。
北村安裕(きたむら・やすひろ)【第8講】
一九七九年生まれ。岐阜聖徳学園大学准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の大土地経営と社会』(同成社)など。
國下多美樹(くにした・たみき)【第9講】
一九五八年生まれ。龍谷大学文学部歴史学科文化遺産学専攻教授。龍谷大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。専門は歴史考古学。著書『長岡京の歴史考古学研究』(吉川弘文館)、共著『都城』(青木書店)、『難波宮と都城制』『史跡で読む日本の歴史5 平安の都市と文化』(以上、吉川弘文館)、『古代の都城と交通』(竹林舎)など。
北康宏(きた・やすひろ)【第10講】
一九六八年生まれ。同志社大学文学部教授。同志社大学大学院文学研究科博士課程後期満期退学。博士(文化史学)。専門は日本古代史。著書『日本古代君主制成立史の研究』(塙書房)、共編著『新版 史料で読む日本法史』(法律文化社)など。
西山良平(にしやま・りょうへい)【第11講】
一九五一年生まれ。京都大学名誉教授。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本古代・中世社会史・文化史。著書『都市平安京』(京都大学学術出版会)、編著『古代の都3 恒久の都 平安京』(吉川弘文館)、『平安京の住まい』、『平安京と貴族の住まい』、『平安京の地域形成』(以上、京都大学学術出版会)など。
土橋誠(どばし・まこと)【第12講】
一九五六年生まれ。(公財)京都府埋蔵文化財調査研究センター副主査。大阪市立大学大学院文学研究科修士課程修了。専門は日本古代史。著書『日本古代の王権と社会』(共著、塙書房)、『平城京の落日(古代の人物3)』(共著、清文堂出版)など。
杉原敏之(すぎはら・としゆき)【第13講】
一九六八年生まれ。福岡県教育庁文化財保護課参事補佐兼企画・埋蔵文化財係長。明治大学文学部卒業。専門は日本考古学。著書『遠の朝廷・大宰府(シリーズ「遺跡を学ぶ」)』(新泉社)、『古代官衙 考古調査ハンドブック11』(共著、ニューサイエンス社)。論文「大宰府管内における官衙の成立」『大宰府の研究』(高志書院)など。
古川一明(ふるかわ・かずあき)【第14講】
一九五八年生まれ。宮城県教育庁文化財課技術主査。新潟大学法文学部史学科修士課程修了。専門は日本考古学。論文「古代城柵官衙遺跡の「陥馬杭」についての試論」(『東北歴史博物館研究紀要』一八)、「十一〜十二世紀の陸奥国府と府中」(『都市のかたち』山川出版社)など。
佐藤嘉広(さとう・よしひろ)【第15講】
一九六一年生まれ。岩手県文化スポーツ部世界遺産課長。山形大学人文学専攻科修了。専門は日本考古学。論文「平泉の「都市」計画と園池造営」(『平泉文化の国際性と地域性』汲古書院)、「奥州に夢見た理想郷と庭園群」(『東アジアにおける理想郷と庭園』奈良文化財研究所)など。

古代史講義

【氏族篇】

佐藤 信

大伴氏、物部氏、蘇我氏、藤原氏から源氏、平氏、奥州藤原氏まで――
各時期に活躍した代表的氏族の展開を、最新研究から見通し、
古代社会の実情を明らかにする。
ちくま新書1579/2021/06/08刊行/ISBN:978-4-480-07404-1/288ページ/定価:968円(10%税込)
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古代史講義

目次

  1. 大伴氏(伴氏)大川原竜一
  2. 物部氏篠川賢
  3. 蘇我氏中村友一
  4. 阿倍氏服部一隆
  5. 藤原氏(鎌足〜奈良時代)佐藤信
  6. 橘氏新井重行
  7. 佐伯氏桑田訓也
  8. 紀氏寺西貞弘
  9. 東漢氏と西文氏山本崇
  10. 菅原氏(土師氏)溝口優樹
  11. 藤原北家中野渡俊治
  12. 摂関時代の藤原氏(九条流・小野宮流)西本昌弘
  13. 源氏岩田真由子
  14. 平氏黒須利夫
  15. 奥州藤原氏樋口知志

編・執筆者紹介

佐藤信(さとう・まこと)【編者/はじめに・第5講・おわりに】
一九五二年生まれ。東京大学名誉教授。横浜市歴史博物館館長、くまもと文学・歴史館館長。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。著書『日本古代の宮都と木簡』『列島の古代』(以上、吉川弘文館)、『出土史料の古代史』(東京大学出版会)、編著『大学の日本史①古代』(山川出版社)、『古代史講義』(ちくま新書)など。
大川原竜一(おおかわら・りゅういち)【第1講】
一九七五年生まれ。高志の国文学館主任(学芸員)。明治大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本古代史。共編著『国造制の研究―史料編・論考編―』『国造制・部民制の研究』(以上、八木書店)、著書『日本古代の氏と系譜』(共著、雄山閣)など。
篠川賢(しのかわ・けん)【第2講】
一九五〇年生まれ。成城大学名誉教授。北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代国造制の研究』(吉川弘文館)、『日本古代の王権と王統』(吉川弘文館)、『物部氏の研究』(雄山閣)、『古代国造制と地域社会の研究』(吉川弘文館)など。
中村友一(なかむら・ともかず)【第3講】
一九七二年生まれ。明治大学文学部准教授。明治大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(史学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の氏姓制』(八木書店)。
服部一隆(はっとり・かずたか)【第4講】
一九七〇年生まれ。明治大学兼任講師。明治大学大学院博士後期課程退学。博士(史学)。専門は日本古代史。著書『班田収授法の復原的研究』(吉川弘文館)。論文「大宝令にみえる公民制の日本独自規定」(『日本歴史』八三八)、「日唐令の比較と大宝令」(『唐代史研究』一七)、「娍子立后に対する藤原道長の論理」(『日本歴史』六九五)など。
新井重行(あらい・しげゆき)【第6講】
一九七三年生まれ。宮内庁書陵部編修課主任研究官。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。論文「皇子女の産養について」(『書陵部紀要』六三)、「『類聚三代格』における格の追補」(佐藤信編『史料・史跡と古代社会』吉川弘文館)など。
桑田訓也(くわた・くにや)【第7講】
一九七八年生まれ。奈良文化財研究所都城発掘調査部主任研究員。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専門は日本古代史。著書『木簡 古代からの便り』(共著、岩波書店)、『文化財学の新地平』(共著、吉川弘文館)、『灯明皿と官衙・集落・寺院』(共著、奈良文化財研究所)など。
寺西貞弘(てらにし・さだひろ)【第8講】
一九五三年生まれ。元和歌山市立博物館館長、現関西大学・立命館大学・龍谷大学各非常勤講師。関西大学大学院博士課程後期課程修了。文学博士。専門は日本古代史。著書『古代天皇制史論』(創元社)、『古代熊野の史的研究』(塙書房)、『紀氏の研究』(雄山閣)など。
山本崇(やまもと・たかし)【第9講】
一九七二年生まれ。奈良文化財研究所都城発掘調査部飛鳥・藤原地区史料研究室長。立命館大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『考証日本霊異記上』(本郷真紹監修・山本崇編集、法藏館)、奈良文化財研究所編(責任編集山本崇)『平城宮木簡七』『藤原宮木簡三』『藤原宮木簡四』など。
溝口優樹(みぞぐち・ゆうき)【第10講】
一九八六年生まれ。中京大学教養教育研究院講師。國學院大學大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(歴史学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の地域と社会統合』(吉川弘文館)、論文「土師氏の改姓と菅原・秋篠・大枝氏の成立」(『ヒストリア』二七〇)、「政治的動向からみた土師氏の系譜」(『日本歴史』八四九)など。
中野渡俊治(なかのわたり・しゅんじ)【第11講】
一九七二年生まれ。清泉女子大学文学部教授。東北大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『古代太上天皇の研究』(思文閣出版)、論文「藤原古子の従一位叙位と文徳天皇の後宮」(『京都学研究と文化史の視座』芙蓉書房出版)、「朝覲行幸と父子の礼・兄弟の礼」(『国史談話会雑誌』五六)など。
西本昌弘(にしもと・まさひろ)【第12講】
一九五五年生まれ。関西大学文学部教授。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の王宮と儀礼』(塙書房)、『桓武天皇』(山川出版社日本史リブレット人)、『早良親王』(吉川弘文館人物叢書)、『空海と弘仁皇帝の時代』(塙書房)など。
岩田真由子(いわた・まゆこ)【第13講】
一九七三年生まれ。同志社大学嘱託講師。同志社大学大学院文学研究科博士課程後期満期退学。博士(文化史学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の親子関係―孝養・相続・追善』(八木書店)、『はじめて学ぶ芸術の教科書―史料の森を歩く』(共編著、京都芸術大学・東北芸術工科大学出版局藝術学舎)、論文「古代における内親王の恋と結婚―皇孫の血の世俗化」(『日本歴史』編集委員会編『恋する日本史』吉川弘文館)など。
黒須利夫(くろす・としお)【第14講】
一九六五年生まれ。聖徳大学文学部教授。筑波大学大学院歴史・人類学研究科単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『奈良平安時代の〈知〉の相関』(共編著、岩田書院)、『奈良仏教と在地社会』(共著、岩田書院)、『王権と信仰の古代史』(共著、吉川弘文館)など。
樋口知志(ひぐち・ともじ)【第15講】
一九五九年生まれ。岩手大学人文社会科学部教授。東北大学大学院文学研究科博士後期課程中退。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『前九年・後三年合戦と奥州藤原氏』(高志書院)、『阿弖流為―夷俘と号すること莫かるべし』(ミネルヴァ書房)、『前九年・後三年合戦と兵の時代』(編著、吉川弘文館)など。

古代史講義

【海外交流篇】

佐藤 信

邪馬台国・倭の五王時代から、平安時代の鴻臚館交易まで、対外交流のなかから
日本という国が立ち現れてくる様を、最新の研究状況を紹介しながら明らかにする。
ちくま新書 1746 /2023/09/05 刊行/ISBN: 978-4-480-07581-9/288ページ/定価:1034円(10%税込)
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古代史講義

目次

はじめに佐藤信

  1. 「魏志倭人伝」と邪馬台国仁藤敦史
  2. 倭の五王とワカタケル大王森公章
  3. 筑紫君磐井と東アジア佐藤信
  4. 加耶と倭田中俊明
  5. 百済と倭三上喜孝
  6. 高句麗と倭・日本中野高行
  7. 新羅と倭・日本柿沼亮介
  8. 仏教の伝来と飛鳥寺創建中林隆之
  9. 遣隋使と倭吉永匡史
  10. 白村江の戦いと倭酒井芳司
  11. 渡来人と列島の社会亀田修一
  12. 奈良時代の遣唐使河野保博
  13. 鑑真の渡日田中史生
  14. 渤海と日本浜田久美子
  15. 鴻臚館と交易菅波正人 

おわりに佐藤信

編・執筆者紹介

佐藤信(さとう・まこと)【編者/はじめに・第3講・おわりに】
一九五二年生まれ。東京大学名誉教授。横浜市歴史博物館館長、くまもと文学・歴史館館長。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。著書『日本古代の宮都と木簡』『列島の古代』(以上、吉川弘文館)、『出土史料の古代史』(東京大学出版会)、『大学の日本史①古代』(編著、山川出版社)、『古代史講義』『世界遺産の日本史』(以上編者、ちくま新書)など。
仁藤敦史(にとう・あつし)【第1講】
一九六〇年生まれ。国立歴史民俗博物館・総合研究大学院大学(併任)教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程史学専攻満期退学。博士(文学)。専門は日本古代史(古代王権論・都城制成立過程の研究)。著書『卑弥呼と台与』(山川出版社)、『藤原仲麻呂』(中公新書)など。
森公章(もり・きみゆき)【第2講】
一九五八年生まれ。東洋大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位修得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『遣唐使と古代対外関係の行方』(吉川弘文館)、『天神様の正体菅原道真の生涯』(吉川弘文館)、『武者から武士へ』(吉川弘文館)、『平安時代の国司の赴任』(臨川書店)など。
田中俊明(たなか・としあき)【第4講】
一九五二年生まれ。滋賀県立大学名誉教授。京都大学大学院文学研究科博士課程認定修了。専門は朝鮮古代史・古代日朝関係史。著書『大加耶連盟の興亡と「任那」』(吉川弘文館)、『古代の日本と加耶』(山川出版社日本史リブレット)、『高句麗の歴史と遺跡』(共編著、中央公論社)など。
三上喜孝(みかみ・よしたか)【第5講】
一九六九年生まれ。国立歴史民俗博物館教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の貨幣と社会』『日本古代の文字と地方社会』『落書きに歴史をよむ』(以上、吉川弘文館)、『天皇はなぜ紙幣に描かれないのか』(小学館)など。
中野高行(なかの・たかゆき)【第6講】
一九六〇年生まれ。大東文化大学講師。慶應義塾大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(歴史学)。専門は日本古代外交制度史。著書『日本古代の外交制度史』(岩田書院)、『古代国家成立と国際的契機』(同成社)など。
柿沼亮介(かきぬま・りょうすけ)【第7講】
一九八五年生まれ。早稲田大学高等学院教諭・早稲田大学非常勤講師。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本古代史・東アジア交流史。論文「古代西海道の「辺境島嶼」と「越境」する人々」(『民衆史研究』一〇五)、「藤原仲麻呂政権と武蔵国新羅郡の建郡」(須田勉・高橋一夫編『渡来・帰化・建郡と古代日本―新羅人と高麗人』高志書院)、「「日本」の境界としての南西諸島の歴史的展開」(『早稲田教育評論』三七― 一)など。
中林隆之(なかばやし・たかゆき)【第8講】
一九六三年生まれ。専修大学文学部教授。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代国家の仏教編成』(塙書房)、『東大寺の新研究2歴史の中の東大寺』(共著、法蔵館)、『日本古代の王権と社会』(共著、塙書房)など。
吉永匡史(よしなが・まさふみ)【第9講】
一九八〇年生まれ。金沢大学人間社会研究域人文学系准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。専門は日本古代史、中国唐代史。著書『律令国家の軍事構造』(同成社)、『中国学術の東アジア伝播と古代日本』(共編著、勉誠出版)など。
酒井芳司(さかい・よしじ)【第10講】
一九七二年生まれ。九州歴史資料館学芸調査室参事補佐・学芸員。明治大学大学院博士後期課程文学研究科史学専攻中退。修士(史学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の交通・交流・情報Ⅰ 制度と実態』(共著、吉川弘文館)、『大宰府史跡発掘50年記念特別展 大宰府への道―古代都市と交通』(編著、九州歴史資料館)、『筑紫と南島シリーズ地域の古代日本』(共著、角川選書)など。
亀田修一(かめだ・しゅういち)【第11講】
一九五三年生まれ。岡山理科大学名誉教授。九州大学大学院文学研究科修士課程修了。博士(文学)。専門は考古学。著書『日韓古代瓦の研究』(吉川弘文館)、『吉備の古代寺院』(共著、吉備人出版)、『考古資料大観3弥生・古墳時代土器Ⅲ』(編著、小学館)、『古墳時代研究の現状と課題(上・下)』(共編著、同成社)、『講座考古学と関連科学』(共編著、雄山閣)など。
河野保博(かわの・やすひろ)【第12講】
一九八一年生まれ。京都芸術大学大学院特任准教授。國學院大學大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本古代史、東アジア交通・交流史。著書『入唐僧の求法巡礼と唐代交通』(共著、大樟樹出版社)、『圓仁〈入唐求法巡禮行記〉研究』(共著、浙江人民出版社)、「古代の人の移動と制度」(『歴史学研究』一〇〇七号)など。
田中史生(たなか・ふみお)【第13講】
一九六七年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(歴史学)。専門は日本古代史、国際交流史。著書『日本古代国家の民族支配と渡来人』(校倉書房)、『国際交易と古代日本』(吉川弘文館)、『渡来人と帰化人』(角川選書)など。
浜田久美子(はまだ・くみこ)【第14講】
一九七二年生まれ。大東文化大学文学部教授。法政大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本古代史。著書『日本古代の外交儀礼と渤海』(同成社)、『日本史を学ぶための図書館活用術』『日本古代の外交と礼制』(以上、吉川弘文館)、『訳註日本古代の外交文書』『古代日本対外交流史事典』(以上共著、八木書店)など。
菅波正人(すがなみ・まさと)【第15講】
一九六五年生まれ。福岡市経済観光文化局埋蔵文化財課。山口大学人文学部人文学科考古学研究室卒業。論文「鴻臚館の成立と変遷」(『大宰府の研究』高志書院)、「考古学からみた古代から中世の唐物交易の変遷」(『「唐物」とは何か―舶載品をめぐる文化形成と交流アジア遊学275』勉誠出版)など。

中世史講義

──院政期から戦国時代まで

高橋典幸/五味文彦

日本史の先端研究者の知を結集。政治・経済・外交・社会・文化など
15の重要ポイントを押さえるかたちで中世史を俯瞰する。
最新の論点が理解できる、待望の通史。
ちくま新書1378/2019/01/07刊行/ISBN: 978-4-480-07199-6/272ページ/定価:946円(10%税込)
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中世史講義

目次

  1. 中世史総論高橋典幸
  2. 院政期の政治と社会佐藤雄基
  3. 日宋・日元貿易の展開榎本渉
  4. 武家政権の展開西田友広
  5. 鎌倉仏教と蒙古襲来大塚紀弘
  6. 荘園村落と武士小瀬玄士
  7. 朝廷の政治と文化遠藤珠紀
  8. 南北朝動乱期の社会高橋典幸
  9. 室町文化と宗教川本慎自
  10. 中世経済を俯瞰する中島圭一
  11. 室町幕府と明・朝鮮岡本真
  12. 室町幕府と天皇・上皇三枝暁子
  13. 戦国の動乱と一揆呉座勇一
  14. 戦国大名の徳政阿部浩一
  15. 中世から近世へ五味文彦

編・執筆者紹介

高橋典幸(たかはし・のりゆき)【編者/はじめに・第1講・第8講】
一九七〇年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『鎌倉幕府軍制と御家人制』(吉川弘文館)、『源頼朝 ── 東国を選んだ武家の貴公子』(山川出版社日本史リブレット)、『日本軍事史』(共著、吉川弘文館)など。
五味文彦(ごみ・ふみひこ)【編者/はじめに・第15講】
一九四六年生まれ。東京大学・放送大学名誉教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『院政期社会の研究』(山川出版社)、『増補 吾妻鏡の方法 ―― 事実と神話にみる中世』(吉川弘文館)、『絵巻で読む中世』(ちくま学芸文庫)、『書物の中世史』(みすず書房)、『文学で読む日本の歴史』(山川出版社)など。
佐藤雄基(さとう・ゆうき)【第2講】
一九八一年生まれ。立教大学文学部准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本中世史・法制史・史学史。著書『日本中世初期の文書と訴訟』(山川出版社)、「文書史からみた鎌倉幕府と北条氏 ── 口入という機能からみた関東御教書と得宗書状」(『日本史研究』六六七号)など。
榎本渉(えのもと・わたる)【第3講】
一九七四年生まれ。国際日本文化研究センター准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本中世国際交流史。著書『東アジア海域と日中交流 ── 九〜一四世紀』(吉川弘文館)、『僧侶と海商たちの東シナ海』(講談社選書メチエ)、『南宋・元代日中渡航僧伝記集成 附江戸時代における僧伝集積過程の研究』(勉誠出版)など。
西田友広(にした・ともひろ)【第4講】
一九七七年生まれ。東京大学史料編纂所助教。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『鎌倉幕府の検断と国制』(吉川弘文館)、『悪党召し捕りの中世 ── 鎌倉幕府の治安維持』(吉川弘文館)など。
大塚紀弘(おおつか・ のりひろ)【第5講】
九七八年生まれ。法政大学文学部専任講師。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本中世国際交流史・仏教史。著書『中世禅律仏教論』(山川出版社)、『日宋貿易と仏教文化』(吉川弘文館)など。
小瀬玄士(こせ・げんし)【第6講】
一九八〇年生まれ。東京大学史料編纂所助教。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。専門は日本中世史。論文「鎌倉幕府の財産相続法」(『史学雑誌』一二一―七)、「『島津家文書』所収「年中行事等条々事書」をめぐって」(遠藤基郎編『年中行事・神事・仏事』竹林舎)、史料集『史料纂集兼宣公記』一・二(共編、八木書店)など。
遠藤珠紀(えんどう・たまき)【第7講】
一九七七年生まれ。東京大学史料編纂所助教。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は中世朝廷制度史。著書『中世朝廷の官司制度』(吉川弘文館)、「中世朝廷の運営構造と経済基盤」(『歴史学研究』八七二号)など。
川本慎自(かわもと・しんじ)【第9講】
一九七五年生まれ。東京大学史料編纂所准教授。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。専門は日本中世史。論文「室町幕府と仏教」(『岩波講座日本歴史 第8巻中世3』岩波書店)、「禅僧の数学知識と経済活動」(中島圭一編『十四世紀の歴史学 ── 新たな時代への起点』高志書院)など。
中島圭一(なかじま・けいいち)【第10講】
一九六四年生まれ。慶應義塾大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本中世史。編著『十四世紀の歴史学 ── 新たな時代への起点』(高志書院)。
岡本真(おかもと・まこと)【第11講】
一九八〇年生まれ。東京大学史料編纂所助教。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本中世史、東アジア交流史。論文「「堺渡唐船」と戦国期の遣明船派遣」(『史学雑誌』一二四―四)、「天文年間の種子島を経由した遣明船」(『日本史研究』六三八)など。
三枝暁子(みえだ・あきこ)【第12講】
一九七三年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『比叡山と室町幕府 ── 寺社と武家の京都支配』(東京大学出版会)、『京都 天神をまつる人びと ── ずいきみこしと西之京』(岩波書店)など。
呉座勇一(ござ・ゆういち)【第13講】
一九八〇年生まれ。国際日本文化研究センター助教。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『一揆の原理』(ちくま学芸文庫)、『戦争の日本中世史』(新潮選書)、『日本中世の領主一揆』(思文閣出版)、『応仁の乱』(中公新書)、『陰謀の日本中世史』(角川新書)など。
阿部浩一(あべ・こういち)【第14講】
一九六七年生まれ。福島大学行政政策学類教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本中世史、戦国期東国・東北の社会史。著書『戦国期の徳政と地域社会』(吉川弘文館)、共編著『ふくしま再生と歴史・文化遺産』(山川出版社)など。

中世史講義

【戦乱篇】

高橋典幸

『承久の乱』『応仁の乱』など重要な戦乱をめぐる最新研究成果を紹介。
保元の乱から慶長の役まで、武士による戦乱の時代であった
中世の歴史を一望に収める入門書。
ちくま新書1485/2020/04/06刊/ISBN: 978-4-480-07310-5/288ページ/定価:968円(10%税込)
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中世史講義

目次

  1. 保元・平治の乱佐伯智広
  2. 治承・寿永の乱下村周太郎
  3. 承久の乱田辺旬
  4. 文永・弘安の役高橋典幸
  5. 南北朝の内乱西田友広
  6. 永享の乱杉山一弥
  7. 享徳の乱阿部能久
  8. 応仁の乱大薮海
  9. 明応の政変山田康弘
  10. 西国の戦国争乱 ―十六世紀前半の中国地域を中心に菊池浩
  11. 東国の戦国合戦久保健一郎
  12. 石山合戦金子拓
  13. 豊臣秀吉の統一戦争平井上総
  14. 文禄・慶長の役津野倫明
  15. 総論高橋典幸

編・執筆者紹介

高橋典幸(たかはし・のりゆき)【編者/はじめに・第4講・第15講】
一九七〇年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『鎌倉幕府軍制と御家人制』(吉川弘文館)、『源頼朝―東国を選んだ武家の貴公子』(山川出版社 日本史リブレット)、『中世史講義―院政期から戦国時代まで』(共編著、ちくま新書)、『日本軍事史』(共著、吉川弘文館)など。
佐伯智広(さえき・ともひろ)【第1講】
一九七七年生まれ。帝京大学文学部講師。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は日本中世史。著書『中世前期の政治構造と王家』(東京大学出版会)、『皇位継承の中世史―血統をめぐる政治と内乱』(吉川弘文館)など。
下村周太郎(しもむら・しゅうたろう)【第2講】
一九八一年生まれ。早稲田大学文学学術院准教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本中世史。論文「鎌倉幕府の草創と二つの戦争」(高橋典幸編『生活と文化の歴史学5 戦争と平和』竹林舎)、「日本中世の戦争と祈禱」(『鎌倉遺文研究』一九号)など。
田辺旬(たなべ・じゅん)【第3講】
一九八一年生まれ。東京都立浅草高等学校教諭。大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了。専門は日本中世史。論文「北条義時」(平雅行編『公武権力の変容と仏教界』清文堂)、「北条政子発給文書に関する一考察」(『ヒストリア』二七三号)など。
西田友広(にした・ともひろ)【第5講】
一九七七年生まれ。東京大学史料編纂所准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『鎌倉幕府の検断と国制』(吉川弘文館)、『悪党召し捕りの中世―鎌倉幕府の治安維持』(吉川弘文館)など。
杉山一弥(すぎやま・かずや)【第6講】
一九七三年生まれ。國學院大學文学部兼任講師。國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻博士課程後期単位取得満期退学。博士(歴史学)。専門は日本中世史。著書『室町幕府の東国政策』(思文閣出版)、共編『室町遺文』関東編(東京堂出版)、編著『図説鎌倉府』(戒光祥出版)など。
阿部能久(あべ・よしひさ)【第7講】
一九七二年生まれ。聖学院大学人文学部准教授。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『戦国期関東公方の研究』(思文閣出版)、『那須与一伝承の誕生』(共著、ミネルヴァ書房)、『関東戦国全史』(共著、洋泉社)など。
大薮海(おおやぶ・うみ)【第8講】
一九八二年生まれ。お茶の水女子大学基幹研究院人文科学系准教授。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(史学)。専門は日本中世史。著書『室町幕府と地域権力』(吉川弘文館)、論文「室町幕府―権門寺院関係の転換点―康暦の強訴と朝廷・幕府」(中島圭一編『十四世紀の歴史学―新たな時代への起点』高志書院)、「康暦の強訴終結後の混乱と南都伝奏の成立」(『お茶の水史学』六二号)など。
山田康弘(やまだ・やすひろ)【第9講】
一九六六年生まれ。小山工業高等専門学校非常勤講師。学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。博士(史学)。専門は日本中世史。著書『戦国期室町幕府と将軍』(吉川弘文館)、『戦国時代の足利将軍』(吉川弘文館)、『足利義稙―戦国に生きた不屈の大将軍』(戎光祥出版)、『足利義輝・義昭―天下諸侍、御主に候』(ミネルヴァ書房)など。
菊池浩幸(きくち・ひろゆき)【第10講】
一九六七年生まれ。公益財団法人前田育徳会主幹。一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本中世史。論文「戦国期「家中」の歴史的性格―毛利氏を事例に」(『歴史学研究』七四八)、「戦国大名毛利氏と兵糧―戦国大名領国の財政構造の特質」(『一橋論議』一二三―六)など。
久保健一郎(くぼ・けんいちろう)【第11講】
一九六二年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は日本中世史、戦国史。著書『戦国大名と公儀』『戦国時代戦争経済論』(以上、校倉書房)、『戦国大名の兵粮事情』(吉川弘文館)、『中近世移行期の公儀と武家権力』(同成社)など。
金子拓(かねこ・ひらく)【第12講】
一九六七年生まれ。東京大学史料編纂所准教授。東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『織田信長権力論』(吉川弘文館)、『織田信長〈天下人〉の実像』(講談社現代新書)、『織田信長という歴史―『信長記』の彼方へ』(勉誠出版)、『信長家臣明智光秀』(平凡社新書)など。
平井上総(ひらい・かずさ)【第13講】
一九八〇年生まれ。藤女子大学文学部准教授。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『長宗我部氏の検地と権力構造』(校倉書房)、『長宗我部元親・盛親』(ミネルヴァ書房)、『兵農分離はあったのか』(平凡社)など。
津野倫明(つの・ともあき)【第14講】
一九六八年生まれ。高知大学教育研究部人文社会科学系教授。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本中・近世史。著書『長宗我部氏の研究』(吉川弘文館)、『長宗我部元親と四国』(吉川弘文館)、論文「朝鮮出兵の原因・目的・影響に関する覚書」(高橋典幸編『生活と文化の歴史学5 戦争と平和』竹林舎)など。

明治史講義

【テーマ篇】

小林和幸

信頼できる研究を積み重ねる実証史家の知を結集。
20のテーマで明治史研究の論点を整理し、変革と跳躍の時代を最新の観点から描き直す。
まったく新しい近代史入門。
ちくま新書1318/2018/03/05刊行/ISBN:978-4-480-07131-6/368ページ/定価:1,100円(10%税込)
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明治史講義

目次

  1. 開国と尊王攘夷運動─ 国是の模索久住真也
  2. 幕末雄藩と公議政体論─ 「公議」の運動からみる幕末政治池田勇太
  3. 王政復古と維新政府─ せめぎあう維新官僚と諸藩友田昌宏
  4. 廃藩置県・秩禄処分─ 分権から集権へ落合弘樹
  5. 陸海軍の創設─ 徴兵制の選択と統帥権の独立大島明子
  6. 明治前期の国家と神社・宗教─ 神社が宗教でなかったのはなぜか山口輝臣
  7. 万国公法と台湾出兵─ 新しい国際秩序への一階梯小野聡子
  8. 自由民権運動と藩閥政府─ 板垣遭難と民権運動の展開中元崇智
  9. 西南戦争と新技術─ 海軍・汽船・熊本城籠城鈴木淳
  10. 明治一四年の政変─ 大隈重信はなぜ追放されたか真辺将之
  11. 内閣制度の創設と皇室制度─ 伊藤博文のプランニングの再検討西川誠
  12. 大日本帝国憲法─ 政治制度の設計とその自律前田亮介
  13. 帝国議会の開幕─ 衆議院の「民党」と「吏党」村瀬信一
  14. 貴族院の華族と勅任議員─ 創設の理念と初期の政治会派小林和幸
  15. 条約改正問題─ 不平等条約の改正と国家の独立小宮一夫
  16. 日清戦争─ 日本と東アジアの転機佐々木雄一
  17. 日英同盟と日露戦争─ 最初の帝国主義戦争千葉功
  18. 植民地経営の開始─ 統治形態の模索と立憲主義日向玲理
  19. 桂園時代─ 議会政治の定着と「妥協」原口大輔
  20. 大正改変─ 政界再編成における内外要員櫻井良樹

編・執筆者紹介

小林和幸(こばやし・かずゆき)【編者/はじめに・第14講・おわりに】
一九六一年生まれ。青山学院大学文学部教授。青山学院大学大学院博士後期課程満期退学。博士(歴史学)。専門は日本近代史。著書『明治立憲政治と貴族院』(吉川弘文館)、『谷干城 ― 憂国の明治人』(中公新書)、『「国民主義」の時代 ― 明治日本を支えた人々』(角川選書)など。
久住真也(くすみ・しんや)【第1講】
一九七〇年生まれ。大東文化大学文学部准教授。中央大学大学院博士後期課程修了。博士(史学)。専門は日本近世・近代史。著書『長州戦争と徳川将軍 ― 幕末期畿内の政治空間』(岩田書院)、『幕末の将軍』(講談社選書メチエ)、『王政復古 ― 天皇と将軍の明治維新』(講談社現代新書)。
池田勇太(いけだ・ゆうた)【第2講】
一九七八年生まれ。山口大学人文学部准教授。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近代史。著書『維新変革と儒教的理想主義』(山川出版社)、『福澤諭吉と大隈重信 ― 洋学書生の幕末維新』(山川出版社)。
友田昌宏(ともだ・まさひろ)【第3講】
一九七七年生まれ。東北大学東北アジア研究センター上廣歴史資料学研究部門助教。中央大学大学院博士後期課程修了。博士(史学)。専門は日本近代史。著書『戊辰雪冤 ― 米沢藩士・宮島誠一郎の「明治」』(講談社現代新書)、『未完の国家構想 ― 宮島誠一郎と近代日本』(岩田書院)など。
落合弘樹(おちあい・ひろき)【第4講】
一九六二年生まれ。明治大学文学部教授。中央大学大学院博士後期課程退学。博士(文学)。専門は幕末・維新史。著書『明治国家と士族』(吉川弘文館)、『西郷隆盛と士族』(吉川弘文館)、『秩禄処分』(講談社学術文庫)など。
大島明子(おおしま・あきこ)【第5講】
一九六三年生まれ。東京女子大学・小石川中等教育学校非常勤講師、晃華学園中学校高等学校有期契約講師。上智大学大学院博士後期課程単位取得退学。修士(文学)。専門は日本近代政治外交史。著書『黒田清隆関係文書』(共編、北泉社)、論文「一八七三(明治六)年のシビリアンコントロール」(『史学雑誌』一一七編七号)など。
山口輝臣(やまぐち・てるおみ)【第6講】
一九七〇年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近代史。著書『明治国家と宗教』(東京大学出版会)、『明治神宮の出現』(吉川弘文館)、『島地黙雷 ― 「政教分離」をもたらした僧侶』(山川出版社)など。
小野聡子(おの・さとこ)【第7講】
一九八三年生まれ。青山学院資料センター有期事務職員(年史編纂担当)。青山学院大学大学院博士前期課程修了。修士(歴史学)。専門は日本近代史。論文「台湾出兵と万国公法 ― 欧米諸国の対応を中心に」(『日本歴史』八〇四号)、論文「国内政治上における万国公法 ― 台湾出兵を例に」(『青山史学』三三号)、論文「小笠原諸島問題と万国公法 ― 明治丸とイギリス軍艦カーリュー号出航のとき」(小林和幸編『近現代日本 選択の瞬間』有志舎)。
中元崇智(なかもと・たかとし)【第8講】
一九七八年生まれ。中京大学文学部准教授。名古屋大学大学院博士後期課程修了。博士(歴史学)。専門は日本近代史。論文「板垣退助岐阜遭難事件の伝説化 ― 『自由党史』における記述の成立過程を中心に」(『日本史研究』六二九号)、「板垣退助と戊辰戦争・自由民権運動」(『歴史評論』八一二号)。
鈴木淳(すずき・じゅん)【第9講】
一九六二年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近代社会経済史。著書『明治の機械工業』(ミネルヴァ書房)、『維新の構想と展開』(講談社学術文庫)、『新技術の社会誌』(中公文庫)、『関東大震災』(講談社学術文庫)など。
真辺将之(まなべ・まさゆき)【第10講】
一九七三年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『西村茂樹研究 ― 明治啓蒙思想と国民道徳論』(思文閣出版)、『東京専門学校の研究』(早稲田大学出版部)、『大隈重信 ― 民意と統治の相克』(中公叢書)など。
西川誠(にしかわ・まこと)【第11講】
一九六二年生まれ。川村学園女子大学教授。東京大学大学院博士課程中退。専門は日本近代史。著書『明治天皇の大日本帝国』(講談社)、『日本立憲政治の形成と変質』(共編著、吉川弘文館)、『山縣有朋関係文書』全三巻(共編、山川出版社)など。
前田亮介(まえだ・りょうすけ)【第12講】
一九八五年生まれ。北海道大学大学院法学研究科准教授。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は日本政治外交史・日本近現代史。著書『全国政治の始動 ― 帝国議会開設後の明治国家』(東京大学出版会)など。
村瀬信一(むらせ・しんいち)【第13講】
一九五四年生まれ。文部科学省主任教科書調査官。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近現代政治史。著書『帝国議会改革論』(吉川弘文館)、『明治立憲制と内閣』(吉川弘文館)、『首相になれなかった男たち』(吉川弘文館)、『帝国議会 ― 〈戦前民主主義〉の五七年』(講談社選書メチエ)。
小宮一夫(こみや・かずお)【第15講】
一九六七年生まれ。専修大学法学部ほか非常勤講師。中央大学大学院博士後期課程修了。博士(史学)。専門は日本近現代史。著書『条約改正と国内政治』(吉川弘文館)、『戦後日本の歴史認識』(共編、東京大学出版会)、『人物で読む近代日本外交史 ― 大久保利通から広田弘毅まで』(共編、吉川弘文館)など。
佐々木雄一(ささき・ゆういち)【第16講】
一九八七年生まれ。首都大学東京都市教養学部助教。東京大学大学院博士課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『帝国日本の外交 1894-1922 ― なぜ版図は拡大したのか』(東京大学出版会)、論文「政治指導者の国際秩序観と対外政策 ― 条約改正、日清戦争、日露協商」(『国家学会雑誌』第一二七巻第一一・一二号)など。
千葉功(ちば・いさお)【第17講】
一九六九年生まれ。学習院大学文学部教授。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『旧外交の形成 ― 日本外交 一九〇〇〜一九一九』(勁草書房)、『桂太郎 ― 外に帝国主義、内に立憲主義』(中公新書)、『桂太郎関係文書』(東京大学出版会)など。
日向玲理(ひなた・れお)【第18講】
一九八七年生まれ。青山学院資料センター有期事務職員(年史編纂担当)。駒澤大学大学院博士後期課程満期退学。専門は日本近代史。共編『寺内正毅宛明石元二郎書翰』(芙蓉書房出版)、「日清・日露戦争期における日本陸軍の「仁愛主義」」(『駒沢史学』第八七号)など。
原口大輔(はらぐち・だいすけ)【第19講】
一九八七年生まれ。日本学術振興会特別研究員(PD)、公益財団法人德川記念財団特任研究員。九州大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本近代史。論文「貴族院議長・近衛篤麿と貴衆両院関係の岐路」(『日本歴史』八三四号)、「憲政常道期の貴族院議長・徳川家達」(『九州史学』一七三号)など。
櫻井良樹(さくらい・りょうじゅ)【第20講】
一九五七年生まれ。麗澤大学外国語学部教授。上智大学大学院博士後期課程修了。博士(史学)。専門は日本近代政治史・都市史。著書『国際化時代「大正日本」』(吉川弘文館)、『華北駐屯日本軍 ― 義和団から盧溝橋への道』(岩波書店)、『加藤高明 ― 主義主張を枉げるな』(ミネルヴァ書房)など。

明治史講義

【人物篇】

筒井清忠

西郷・大久保から乃木希典まで明治史のキーパーソン22人を、
気鋭の専門研究者が最新の知見をもとに徹底分析。
確かな実証に基づく、信頼できる人物評伝集の決定版。
ちくま新書1319/2018/04/05刊行/ISBN:978-4-480-07140-8/400ページ/定価:1,210円(10%税込)
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明治史講義

目次

  1. 木戸孝允─ 「条理」を貫いた革命政治家 落合弘樹
  2. 西郷隆盛─ 謎に包まれた超人気者 家近良樹
  3. 大久保利通─ 維新の元勲、明治政府の建設者 勝田政治
  4. 福澤諭吉─ 「文明」と「自由」 苅部直
  5. 板垣退助─ 自らの足りなさを知る指導者 小宮一夫
  6. 伊藤博文─ 日本型立憲主義の造形者 瀧井一博
  7. 井上毅─ 明治維新を落ち着かせようとした官僚 湯川文彦
  8. 大隈重信─ 政治対立の演出者 五百旗頭 薫
  9. 金玉均─ 近代朝鮮における「志士」たちの時代 永島広紀
  10. 陸奥宗光─ 『蹇蹇録』で読む日清戦争と朝鮮 永島広紀
  11. 李鴻章─ 東洋のビスマルク? 川島真
  12. 山県有朋─ 出ては将軍、入ては首相 清水唯一郎
  13. 谷干城─ 国民本位、立憲政治の確立を目指して 小林和幸
  14. 榎本武楊─ 日本と世界を結びつけた政治家 麓慎一
  15. 小村寿太郎─ 明治外交の成熟とは何か 千葉功
  16. 桂太郎─ 「立憲統一党」とは何か 千葉功
  17. 明治天皇─ 立憲君主としての自覚 西川誠 
  18. 岩崎弥太郎─ 三菱と日本海運業の自立 奈良岡聰智
  19. 松浦武四郎─ 時代を見つめ、集めて、伝えた、希代の旅人 三浦泰之
  20. 福田英子─ 女が自伝を紡ぐとき 田中智子
  21. 嘉納治五郎─ 柔道と日本の近代化 クリストファー・W・A・スピルマン
  22. 乃木希典─ 旅順戦・殉死・「昭和軍閥」

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【編者/はじめに・第22講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科教授・文学部長。東京財団政策研究所上席研究員。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』(以上、編著、ちくま新書)、『近代日本文化論』(共編、岩波書店)、『時代劇映画の思想』(ウェッジ文庫)、『近衛文麿』『日本型「教養」の運命』(以上、岩波現代文庫)など。
落合弘樹(おちあい・ひろき)【第1講】
一九六二年生まれ。明治大学文学部教授。中央大学大学院博士後期課程退学。博士(文学)。専門は幕末・維新史。著書『明治国家と士族』『西郷隆盛と士族』(以上、吉川弘文館)、『秩禄処分 ― 明治維新と武家の解体』(講談社学術文庫)など。
家近良樹(いえちか・よしき)【第2講】
一九五〇年生まれ。大阪経済大学特別招聘教授。同志社大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は幕末・維新史。著書『江戸幕府崩壊 ― 孝明天皇と「一会桑」』(講談社学術文庫)、『ある豪農一家の近代 ― 幕末・明治・大正を生きた杉田家』(講談社選書メチエ)、『その後の慶喜 ― 大正まで生きた将軍』(ちくま文庫)など。
勝田政治(かつた・まさはる)【第3講】
一九五二年生まれ。国士舘大学文学部教授。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近代史。著書『内務省と明治国家形成』(吉川弘文館)、『廃藩置県 ― 「明治国家」が生まれた日』『〈政事家〉大久保利通 ― 近代日本の設計者』(以上、講談社選書メチエ)、『小野梓と自由民権』(有志舎)、『大久保利通と東アジア ― 国家構想と外交戦略』(吉川弘文館)、『明治国家と万国対峙 ― 近代日本の形成』(角川選書)など。
苅部直(かるべ・ただし)【第4講】
一九六五年生まれ。東京大学法学部教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は日本政治思想史。著書『光の領国 和辻哲郎』(岩波現代文庫)、『丸山眞男 ― リベラリストの肖像』(岩波新書)、『秩序の夢 ― 政治思想論集』(筑摩書房)、『「維新革命」への道 ― 「文明」を求めた十九世紀日本』(新潮選書)、『日本思想史への道案内』(NTT出版)など。
小宮一夫(こみや・かずお)【第5講】
一九六七年生まれ。文部科学省教科書調査官。中央大学大学院博士後期課程修了。博士(史学)。専門は日本近現代史。著書『条約改正と国内政治』(吉川弘文館)、『戦後日本の歴史認識』(共編、東京大学出版会)、『人物で読む近代日本外交史 ― 大久保利通から広田弘毅まで』(共編、吉川弘文館)など。
瀧井一博(たきい・かずひろ)【第6講】
一九六七年生まれ。国際日本文化研究センター教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は国制史、比較法史。著書『文明史のなかの明治憲法 ― この国のかたちと西洋体験』(講談社選書メチエ)、『伊藤博文 ― 知の政治家』(中公新書)『明治国家をつくった人びと』(講談社現代新書)、『渡邉洪基 ― 衆智を集むるを第一とす』(ミネルヴァ書房)など。
湯川文彦(ゆかわ・ふみひこ)【第7講】
一九八四年生まれ。お茶の水女子大学文教育学部助教。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近代史。著書『立法と事務の明治維新 ― 官民共治の構想と展開』(東京大学出版会)。
五百旗頭薫(いおきべ・かおる)【第8講】
一九七四年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科教授。東京大学法学部卒業。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『大隈重信と政党政治 ― 複数政党制の起源明治十四年–大正三年』(東京大学出版会)、『条約改正史 ― 法権回復への展望とナショナリズム』(有斐閣)、『日本政治史の新地平』(共編、吉田書店)、『自由主義の政治家と政治思想』(共編、中央公論新社)など。
永島広紀(ながしま・ひろき)【第9講・第10講】
一九六九年生まれ。九州大学韓国研究センター教授。九州大学大学院人文科学府博士後期課程単位修得満期退学。博士(文学)。専門は朝鮮近現代史、日韓関係史。著書『戦時期朝鮮における「新体制」と京城帝国大学』(ゆまに書房)、『寺内正毅と帝国日本 ― 桜圃寺内文庫が語る新たな歴史像』(共編、勉誠出版)など。
川島真(かわしま・しん)【第11講】
一九六八年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。専門はアジア政治外交史。著書『中国近代外交の形成』(名古屋大学出版会)、『近代国家への模索1894-1925(シリーズ中国近現代史2)』『中国のフロンティア ― 揺れ動く境界から考える』(以上、岩波新書)、『21世紀の「中華」 ― 習近平中国と東アジア』(中央公論新社)など。
清水唯一朗(しみず・ゆいちろう)【第12講】
一九七四年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日本政治外交史、オーラルヒストリー。著書『政党と官僚の近代 ― 日本における立憲統治構造の相克』(藤原書店)、『近代日本の官僚―維新官僚から学歴エリートへ』(中公新書)、『憲法判例からみる日本 ― 法×政治×歴史×文化』(共編、日本評論社)など。
小林和幸(こばやし・かずゆき)【第13講】
一九六一年生まれ。青山学院大学文学部教授。青山学院大学大学院博士後期課程満期退学。博士(歴史学)。専門は日本近代史。著書『明治立憲政治と貴族院』(吉川弘文館)、『谷干城 ― 憂国の明治人』(中公新書)、『「国民主義」の時代 ― 明治日本を支えた人々』(角川選書)、『明治史講義【テーマ篇】』(編著、ちくま新書)など。
麓慎一(ふもと・しんいち)【第14講】
一九六四年生まれ。新潟大学人文社会教育科学系教授。北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近世史・近代史。著書『近代日本とアイヌ社会』(山川出版社)、『開国と条約締結』(吉川弘文館)。
千葉功(ちば・いさお)【第15講・第16講】
一九六九年生まれ。学習院大学文学部教授。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『旧外交の形成 ― 日本外交一九〇〇〜一九一九』(勁草書房)、『桂太郎 ― 外に帝国主義、内に立憲主義』(中公新書)、『桂太郎関係文書』(東京大学出版会)など。
西川誠(にしかわ・まこと)【第17講】
一九六二年生まれ。川村学園女子大学教授。東京大学大学院博士課程中退。専門は日本近代史。著書『明治天皇の大日本帝国』(講談社)、『日本立憲政治の形成と変質』(共編著、吉川弘文館)、『山縣有朋関係文書』全三巻(共編、山川出版社)など。
奈良岡聰智(ならおか・そうち)【第18講】
一九七五年生まれ。京都大学大学院法学研究科教授。京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『加藤高明と政党政治』(山川出版社)、『「八月の砲声」を聞いた日本人』(千倉書房)、『対華二十一カ条要求とは何だったのか』(名古屋大学出版会)など。
三浦泰之(みうら・やすゆき)【第19講】
一九七四年生まれ。北海道博物館学芸員。京都大学大学院文学研究科日本史学専攻修士課程中退。専門は日本近世史、北海道の文化史。著書『松浦武四郎研究序説 ― 幕末維新期における知識人ネットワークの諸相』(共編、北海道出版企画センター)、『新版北海道の歴史 上 古代・中世・近世編』(共著、北海道新聞社)、「戦前・戦後の北海道を生きた撮影技師・栃木栄吉の生涯 ― 北海道記録映画史序説」(『北海道開拓記念館研究紀要』第四二号所収)など。
田中智子(たなか・ともこ)【第20講】
一九六九年生まれ。京都大学大学院教育学研究科准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。専門は日本近現代史、教育史。著書『近代日本高等教育体制の黎明』(思文閣出版)、『日本女性史研究文献目録1868-2002 CD-ROM 版』(共著、東京大学出版会)、論文「『満洲の思い出』考 ― ある女性の満洲体験」(『女性史学』七号)など。
クリストファー・W・A・スピルマン(Christopher W. A. Szpilman)【第21講】
一九五一年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科教授。米国エール大学大学院歴史学部博士課程修了。博士(Ph.D,歴史学)専門は日本近現代史。著書『近代日本の革新論とアジア主義』(芦書房)、Routledge Handbook of ModernJapanese History(共編著、Routledge)、『満川亀太郎書簡集 ― 北一輝・大川周明・西田税らの書簡』(共編著、論創社)、Pan-Asianism : A Documentary History(1・2、共編著、Rowman & Littlefield)など。

明治史講義

【グローバル研究篇】

瀧井一博

日本の近代化はいかに成し遂げられ、それは世界史にどう位置づけられているのか。
国際的研究成果を結集し、日本人が知らない明治維新のインパクトを多面的に描く。
ちくま新書1657/2022/06/07刊行/ISBN:978-4-480-07456-0/336ページ/定価:1,100円(10%税込)
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明治史講義

目次

  1. オスマン官僚と明治官僚─ ムスタファ・ビン・ムスタファと渡邉洪基が見たものジラルデッリ青木美由紀
  2. 台湾で再現した「明治」─ 児玉後藤時代の鉄道技術者集団形成蔡龍保
  3. 一九世紀の革命としての明治維新─ ナポレオンのイメージとナショナリズムの矛盾マーク・ラビナ
  4. 明治日本と世界経済との関連─ 情報通信の組織化ジャネット・ハンター
  5. 明治天皇の皇位継承儀礼とその遺産ジョン・ブリーン
  6. 中国の明治維新研究概観─ 中華人民共和国成立後七〇年間の展開秦蓮星/劉岳兵
  7. 明治に学ぶ─ 過去・現在・将来のグローバル化ダリル・フラハティ
  8. 地域社会の固有性と普遍性─ 明治維新前後の越前大野を例にマーレン・エーラス
  9. 近代エジプトにおける明治日本─ 『東方の太陽』を中心にハサン・K・ハルブ
  10. 明治維新に関するベトナムの近年の研究関心グエン・ヴー・クイン・ニュー
  11. 中国近代化のモデルとしての明治維新像─ 孫文と蔣介石の日本認識の比較黄自進
  12. トルコから見た明治維新セルチュク・エセンベル
  13. フランスから見た明治維新─ 第一回国際東洋学者会議ベルランゲ河野紀子
  14. タイ地方行政能力向上プロジェクト─ 「明治日本」の視点から考える永井史男
  15. 帝国の襲来─ 幕末日本のエリート官僚はいかにして生まれたかアリステア・スウェール
  16. 紀州の夜明け前─ 紀州藩武家出身女性の明治時代への適応サイモン・パートナー

編・執筆者紹介

瀧井一博(たきい・かずひろ)【はじめに】
一九六七年生まれ。国際日本文化研究センター教授・副所長。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は国制史、比較法史。著書『文明史のなかの明治憲法―この国のかたちと西洋体験』(講談社選書メチエ)、『伊藤博文―知の政治家』(中公新書)、『明治国家をつくった人びと』(講談社現代新書)、『渡邉洪基―衆智を集むるを第一とす』(ミネルヴァ書房)など。
ジラルデッリ青木美由紀(Girardelli Aoki Miyuki)【第1講】
一九七〇年生まれ。イスタンブル工科大学准教授補。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。イスタンブル工科大学大学院社会科学研究科修了。文学博士(美術史学)。専門はオスマン美術史、日本・オスマン帝国・フランスの関係比較史。著書『明治の建築家 伊東忠太――オスマン帝国をゆく』(ウェッジ)、編著『オスマン帝国と日本趣味/ジャポニスム』(思文閣出版、近刊)、展覧会キュレーション『オスマンの宮殿へ吹く日本の風』(トルコ国立宮殿出版局)『三日月と太陽―イスタンブルの三人の日本人 山田寅次郎・伊東忠太・大谷光瑞』(イスタンブル研究所)など。
蔡龍保(さい・りゅうほ)【第2講】
一九七六年生まれ。国立台北大学歴史学系教授・副学長。国立台湾師範大学歴史学系博士。専門は台湾史、日本近代史(交通史、土木史、経済史)、歴史学と文化財。著書『推動時代的巨輪―日治中期的台湾国有鉄路1910-1936』(台湾古籍)、『殖民統治之基礎工程―日治時期台湾道路事業之研究1895-1945』(国立台湾師範大学)、『コレクション・台湾のモダニズム3―台湾縦貫鉄道と交通網』(ゆまに書房)、『鉄道技手前畑彥太郎的撮影記録―「建主改從」時期的台湾鉄道』(国立台湾博物館)など。
マーク・ラビナ(Mark Ravina)【第3講】
一九六一年生まれ。テキサス大学オースティン校教授。コロンビア大学東アジア学部学士課程修了後、スタンフォード大学歴史学部博士号取得。専門は幕末明治日本政治史。著者『「名君」の蹉跌―藩政改革の政治経済学』(NTT出版)、To Stand with the Nations of the World : Japan’s Meiji Restoration in World History(Oxford University Press)など。
ジャネット・ハンター(Janet Hunter)【第4講】
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済史学部教授。オクスフォード大学大学院博士(東洋経済史)。専門は近代日本経済史、比較経済史。著書Deficient in Commercial Morality? : Japan in Global Debates on Business Ethics in the Late Nineteenth and Early Twentieth Century(Palgrave Macmillan)、『日本の工業化と女性労働―戦前期の繊維産業』(有斐閣)、共編著『歴史のなかの消費者―日本における消費と暮らし1850-2000』(法政大学出版局)など。
ジョン・ブリーン(John Breen)【第5講】
一九五六年生まれ。国際日本文化研究センター名誉教授。ケンブリッジ大学博士。専門は日本近代史。著書『儀礼と権力―天皇の明治維新』(法蔵館文庫/平凡社)、『変容する聖地 伊勢』(思文閣出版)、『神都物語―伊勢神宮の近現代史』(吉川弘文館)、共編著『鈴木大拙―禅を超えて』(思文閣出版)、Kyoto’s Renaissance : Ancient Capital for Modern Japan(Renaissance Books)、など。
秦蓮星(しん・れんせい)【第6講】
一九八七年生まれ。中国山西大学マルクス主義学院講師。南開大学日本研究院博士後期課程修了。博士(歴史学)。専門は日本史・世界史。論文「国家神道概念再考―加藤玄智の国家的神道論を中心に」(『世界宗教文化』第一二一期)、「明治初期の国民教化運動における神仏の紛争について―三条教則を中心に」(『日本問題研究』第二〇四期)など。
劉岳兵(りゅう・がくへい)【第6講】
一九六八年生まれ。中国南開大学日本研究院教授。中国社会科学院研究生院哲学系博士課程修了。博士(哲学)。関西大学博士(文化交渉学)。専門は、日本思想史・中日思想文化交渉史。著書『日本近代儒学研究』(商務印書館)、『中日近現代思想と儒学』(生活・読書・新知三聯書店)、『日本近現代思想史』(世界知識出版社)、『近代以来日本の中国観 第三巻(1840-1895)』(江蘇人民出版社)、『「中国式」日本研究の実像と虚像』(中国社会科学出版社)、『近代中日思想文化交渉史研究』(江蘇人民出版社)など。
ダリル・フラハティ(Darryl Flaherty)【第7講】
一九六七年生まれ。デラウェア大学准教授。コロンビア大学大学院歴史学部博士課程。専門は比較法の社会・政治史。著書『近代法の形成と実践』(早稲田大学比較法研究所叢書)など。
マーレン・エーラス(Maren Ehlers)【第8講】
一九七五年生まれ。ノースカロライナ大学シャーロット校准教授。ハンブルク大学修士課程修了後、プリンストン大学東アジア学部にて博士号取得。専門は日本近世社会史。著書Give and Take : Poverty and the Status Order in Early Modern Japan(Harvard University Asia Center)など。
ハサン・カマル・ハルブ(Hassan Kamal HARB)【第9講】
カイロ大学文学部日本研究センター所長、ミスル科学技術大学日本語学科長。大阪大学大学院言語文化研究科博士学位取得。専門は近代日本思想史、比較思想。共著“A Message of Farewell to Nakatsu” by Fukuzawa Yukichi : Multilingual Edition(「中津留別之書」―多言語で読む福沢諭吉)(慶應義塾大学)、『文化・情報の結節点としての図像―絵と言葉でひろがる近世・近代の文化圏』(晃洋書房)、訳書Da’wah Lilta’lum(福沢諭吉『学問のすゝめ』アラビア語訳、AlYusuf) など。
グエン・ヴー・クイン・ニュー(NGUYEN VU QUYNH NHU)【第10講】
一九六九年、ベトナムホーチミン市生まれ。ベトナム国家大学ホーチミン市校人文社会科学大学講師。ベトナム国家大学ホーチミン市校人文社会科学大学文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。共著『古典の未来学―Projecting Classicism』(文学通信)、『俳句のルール』(ベトナム語翻訳、ホーチミン国家大学出版社)、『俳句と四季』(日越語、文化文芸出版社)、『古くて新しいもの―ベトナム人の俳句観から日本文化の浸透を探る』(国際日本文化研究センター)、『俳句―発祥・発展の歴史及び詩形の特徴』(ベトナム語、ホーチミン市国家大学出版社)など。
黃自進(こう・じしん)【第11講】
一九五六年生まれ。台湾中央研究院近代史研究所研究員。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日中関係史、日本政治思想史。著書『蒋介石と日本友と敵のはざまで』(武田ランダムハウスジャパン)。共編著『〈日中戦争〉とは何だったのか―複眼的視点』(ミネルヴァ書房)など。
セルチュク・エセンベル(Selçuk Esenbel)【第12講】
一九四六年生まれ。ボアジチ大学名誉教授。コロンビア大学博士(日本史)。専門は、現代日本のイスラーム世界やトルコとの関係史、アジア主義、イスラーム主義。著書Japan, Turkey and the World of Islam(Brill)、Japan on the Silk Road : Encounters and Perspectives of Politics and Culture in Eurasia(Brill)、山田寅次郎『土耳古畫観』のトルコ語翻訳(Is Bankasi Kultur Yayinlari)など。
ベルランゲ河野紀子(Berlinguez-Kono Noriko)【第13講】
一九六七年生まれ。リール大学教授。フランス社会科学高等研究院(EHESS)博士課程修了。博士(歴史学)。研究指導資格有(Habilitation、パリ大学)。専門は日本近現代史・知の交流史・歴史社会学。共編著Japon Pluriel 8 : La Modernité japonaise en perspective(Picquier)、La genèse des études japonaises en Europe : Autour du fonds Léon de Rosny de Lille(Presses universitaires du Septentrion)、『近代日本とアジア―地政学的アプローチから』(勉誠出版)など。
永井史男(ながい・ふみお)【第14講】
一九六五年生まれ。大阪公立大学大学院法学研究科教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。修士(法学)。専門は国際政治、比較政治、東南アジア地域研究。共編著『東南アジアにおける地方ガバナンスの計量分析』(晃洋書房)、『政治学入門』(ミネルヴァ書房)、共著に『東アジアの国際関係』(有信堂)、『タイの政治・行政の変革―一九九一―二〇〇六年』(アジア経済研究所)など。
アリステア・スウェール(Alistair Swale)【第15講】
一九六三年生まれ。カンタベリー大学准教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は政治思想史、大衆文化史。著書The Political Thought of Mori Arinori : A Study in Meiji Conservatism(Routledge)、The Meiji Restoration : Monarchism, Mass Communication and Conservative Revolution(Palgrave Macmillan)など。
サイモン・パートナー(Simon Partner)【第16講】
一九五八年生まれ。デューク大学教授。コロンビア大学博士(日本史)。専門は日本近世、近代史。著書The Merchant’s Tale : Yokohama and the Transformation of Japan(Columbia University Press)、The Mayor of Aihara : A Japanese Villager and his Community, 1865-1925(University of California Press)、など。

大正史講義

筒井 清忠

大衆の登場が始まり、激動の昭和の原点ともいえる大正時代。
その複雑な歴史を二七の論点で第一線の研究者が最新の研究成果を結集して読み解く。
決定版大正全史。
ちくま新書1589/2021/07/06刊行/ISBN: 978-4-480-07416-4/512ページ/定価:1,430円(10%税込)
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大正史講義

目次

  1. 大正政変 ─第一次護憲運動村瀬信一
  2. 大隈内閣成立と大隈ブーム真辺将之
  3. 第一次南京事件から対中強硬政策要求運動へ武田知己
  4. 第一次世界大戦と対華二十一カ条要求奈良岡聰智
  5. 大戦ブームと『貧乏物語』牧野邦昭
  6. 寺内内閣と米騒動渡辺滋
  7. 原敬政党内閣から普選運動へ季武嘉也
  8. パリ講和会議、ヴェルサイユ条約、国際連盟篠原初枝
  9. 人種差別撤廃提案廣部泉
  10. 三・一独立万歳運動と朝鮮統治永島広紀
  11. シベリア出兵からソ連との国交樹立へ麻田雅文
  12. 日露戦争後の日米関係と石井・ランシング協定高原秀介
  13. ワシントン会議 ─海軍軍縮条約と日英同盟廃棄中谷直司 
  14. 新人会 ─エリート型社会運動の開始古川江里子
  15. 社会運動の諸相福家崇洋
  16. 女性解放運動 ─『青鞜』から婦選獲得同盟へ進藤久美子
  17. 国家改造運動福家崇洋
  18. 宮中某重大事件と皇太子訪欧黒沢文貴
  19. 関東大震災後の政治と後藤新平筒井清忠
  20. 排日移民法抗議運動渡邉公太
  21. 「軍縮期」の社会と軍隊髙杉洋平
  22. 第二次護憲運動と加藤高明内閣小山俊樹
  23. 若槻礼次郎内閣と「劇場型政治」の開始筒井清忠
  24. 中国国権回収運動岩谷將
  25. 破綻する幣原外交 ─第二次南京事件前後渡邉公太
  26. 大正天皇論梶田明宏

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【はじめに・第19講・第23講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団政策研究所主席研究員。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』『昭和史講義【戦前文化人篇】』『昭和史講義【戦後篇】上・下』『明治史講義【人物篇】』(編著、ちくま新書)、『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『満州事変はなぜ起きたのか』(中公選書)、『帝都復興の時代』(中公文庫)、『石橋湛山』(中公叢書)など。
村瀬信一(むらせ・しんいち)【第1講】
一九五四年生まれ。元文部科学省主任教科書調査官。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近現代政治史。著書『帝国議会改革論』(吉川弘文館)、『明治立憲制と内閣』(吉川弘文館)、『首相になれなかった男たち』(吉川弘文館)、『帝国議会―〈戦前民主主義〉の五七年』(講談社選書メチエ)など。
真辺将之(まなべ・まさゆき)【第2講】
一九七三年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。ルーヴェン・カトリック大学客員教授。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『西村茂樹研究―明治啓蒙思想と国民道徳論』(思文閣出版)、『東京専門学校の研究』(早稲田大学出版部)、『大隈重信―民意と統治の相克』(中公叢書)、『猫が歩いた近現代―化け猫が家族になるまで』(吉川弘文館)など。
武田知己(たけだ・ともき)【第3講】
一九七〇年生まれ。大東文化大学法学部教授。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程中途退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『重光葵と戦後政治』(吉川弘文館)、『日本政党史』(共編著、吉川弘文館)など。
奈良岡聰智(ならおか・そうち)【第4講】
一九七五年生まれ。京都大学公共政策大学院教授。京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『加藤高明と政党政治』(山川出版社)、『「八月の砲声」を聞いた日本人』(千倉書房)、『対華二十一ヵ条要求とは何だったのか』(名古屋大学出版会)など。
牧野邦昭(まきの・くにあき)【第5講】
一九七七年生まれ。慶應義塾大学経済学部教授。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。専門は近代日本経済思想史。著書『経済学者たちの日米開戦』(新潮選書)、『新版 戦時下の経済学者』(中公選書)、『柴田敬』(日本経済評論社)など。
渡辺滋(わたなべ・しげる)【第6講】
一九七三年生まれ。山口県立大学国際文化学部准教授。明治大学大学院文学研究科史学専攻(博士後期課程)単位取得退学。博士(史学)。専門は日本古代史・近代史、史料学。著書『古代・中世の情報伝達』(八木書店)、『日本古代文書研究』(思文閣出版)など。論文「昭和初年における海軍条約派の退潮―堀悌吉中将の失脚過程を中心として」(『山口県立大学国際文化学部紀要』二五)など。
季武嘉也(すえたけ・よしや)【第7講】
一九五四年生まれ。創価大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近代政治史。著書『大正期の政治構造』『選挙違反の歴史―ウラからみた日本の一〇〇年』(以上、吉川弘文館)、『原敬―日本政党政治の原点』(山川出版社日本史リブレット人)など。
篠原初枝(しのはら・はつえ)【第8講】
一九五九年生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。University of Chicago にてPh. D. 取得。専門は国際法・国際組織の史的研究。著書US International Lawyers in the Interwar Years (CUP)、『国際連盟』(中公新書)。編著『安達峰一郎』(東京大学出版会)など。
廣部泉(ひろべ・いずみ)【第9講】
一九六五年生まれ。明治大学政治経済学部教授。ハーバード大学大学院博士課程修了。博士(歴史学)。専門は日米関係とアメリカ政治外交史。著書『黄禍論―百年の系譜』(講談社選書メチエ)、『人種戦争という寓話』(名古屋大学出版会)、『グルー』(ミネルヴァ日本評伝選)など。
永島広紀(ながしま・ひろき)【第10講】
一九六九年生まれ。九州大学韓国研究センター教授・共創学部教授。九州大学大学院人文科学府博士後期課程単位修得満期退学。博士(文学)。専門は朝鮮近現代史、日韓関係史。著書『戦時期朝鮮における「新体制」と京城帝国大学』(ゆまに書房)、『寺内正毅と帝国日本―桜圃寺内文庫が語る新たな歴史像』(共編、勉誠出版)など。
麻田雅文(あさだ・まさふみ)【第11講】
一九八〇年生まれ。岩手大学人文社会科学部准教授。北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得後退学。博士(学術)。専門はロシアと東アジアの近代史。著書『中東鉄道経営史―ロシアと「満洲」1896-1935』(名古屋大学出版会)、『満蒙日露中の「最前線」』(講談社選書メチエ)、『シベリア出兵―近代日本の忘れられた七年戦争』(中公新書)、『蔣介石の書簡外交』上・下(人文書院)など。
高原秀介(たかはら・しゅうすけ)【第12講】
一九六八年生まれ。京都産業大学国際関係学部教授。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門はアメリカ外交史、日米関係史、アメリカ=東アジア関係史。著書『ウィルソン外交と日本―理想と現実の間1913-1921』(創文社)、『もうひとつの戦後史―第一次世界大戦後の日本・アジア・太平洋』(共著、千倉書房)など。
中谷直司(なかたに・ただし)【第13講】
一九七八年生まれ。帝京大学文学部社会学科准教授。同志社大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本外交史、国際関係史。著書『強いアメリカと弱いアメリカの狭間で』(千倉書房)。論文「日本外交による満洲事変正当化の論理」(片山慶隆編『アジア・太平洋戦争と日本の対外危機』ミネルヴァ書房)、「満洲事変とワシントン体制」(瀧口剛編『近現代東アジアの地域秩序と日本』大阪大学出版会)など。
古川江里子(ふるかわ・えりこ)【第14講】
一九六八年生まれ。青山学院大学非常勤講師。青山学院大学大学院文学研究科博士後期課程満期修了退学。博士(歴史学)。専門は日本近現代史、政治思想史。著書『大衆社会化と知識人』(芙蓉書房出版)、『美濃部達吉と吉野作造』(山川日本史リブレット人)、『近代日本選択の瞬間』(共著、有志舎)など。
福家崇洋(ふけ・たかひろ)【第15講・第17講】
一九七七年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。専門は近現代日本の社会運動史、思想史。著書『戦間期日本の社会思想―「超国家」へのフロンティア』(人文書院)、『日本ファシズム論争―大戦前夜の思想家たち』(河出書房新社)、『満川亀太郎―慷慨の志猶存す』(ミネルヴァ書房)など。
進藤久美子(しんどう・くみこ)【第16講】
一九四五年生まれ。東洋英和女学院大学名誉教授。ペンシルバニア州立大学大学院(MA)、立教大学大学院博士課程単位取得退学。博士(法学、九州大学)。専門はアメリカ社会論、ジェンダー学。著書『ジェンダー・ポリティックス』(新評論)、『ジェンダーで読む日本政治』(有斐閣)、『市川房枝と「大東亜戦争」』(法政大学出版局)、『闘うフェミニスト政治家 市川房枝』(岩波書店)など。
黒沢文貴(くろさわ・ふみたか)【第18講】
一九五三年生まれ。東京女子大学国際関係専攻教授。上智大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(法学)。専門は日本近現代史。著書『大戦間期の日本陸軍』『大戦間期の宮中と政治家』(以上、みすず書房)、『二つの「開国」と日本』『歴史に向きあう』(以上、東京大学出版会)、『日本赤十字社と人道援助』『歴史と和解』(以上編著、東京大学出版会)など。
渡邉公太(わたなべ・こうた)【第20講・第25講】
一九八四年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科専任講師。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』(以上共著、ちくま新書)、『第一次世界大戦期日本の戦時外交―石井菊次郎とその周辺』(現代図書)など。
髙杉洋平(たかすぎ・ようへい)【第21講】
一九七九年生まれ。帝京大学文学部史学科専任講師。国学院大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『昭和陸軍と政治―「統帥権」というジレンマ』(吉川弘文館)、『宇垣一成と戦間期の日本政治』(吉田書店)など。
小山俊樹(こやま・としき)【第22講】
一九七六年生まれ。帝京大学文学部史学科教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は日本近現代政治史。著書『五・一五事件―海軍青年将校たちの「昭和維新」』(中公新書)、『評伝森恪―日中対立の焦点』(ウェッジ)、『憲政常道と政党政治―近代日本二大政党制の構想と挫折』(思文閣出版)など。
岩谷將(いわたに・のぶ)【第24講】
一九七六年生まれ。北海道大学公共政策大学院教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日中関係史、中国近現代史。著書『日中戦争と中ソ関係』(共著、東京大学出版会)、『昭和史講義』(共著、ちくま新書)、『蔣介石研究』(共著、東方書店)など。
梶田明宏(かじた・あきひろ)【第26講】
一九五八年生まれ。昭和天皇記念館副館長(元宮内庁書陵部編修課長)。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。専門は近代日本史、皇室史。著書『昭和天皇の横顔』(編著、文春学藝ライブラリー)。論文「酒巻芳男と大正昭和期の宮内省」(『年報・近代日本研究』20)、「大正十年皇太子海外御巡遊とメディア」(『メディア史研究』23)など。

大正史講義

【文化篇】

筒井 清忠

新たな思想や価値観、生活スタイルや芸術文化が生まれた大正時代。
百花繚乱ともいえるこの時代の文化を、最新研究の視点から第一級の執筆陣24名が描き出す。
ちくま新書1590/2021/08/05刊行/ISBN: 978-4-480-07423-2/496ページ/定価:1,430円(10%税込)
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大正史講義

目次

  1. 吉野作造と民本主義今野元
  2. 経済メディアと経済論壇の発達牧野邦昭
  3. 上杉愼吉と国家主義今野元
  4. 大正教養主義──その成立と展開筒井清忠
  5. 西田幾多郎と京都学派藤田正勝
  6. 「漱石神話」の形成大山英樹
  7. 「男性性」のゆらぎ──近松秋江、久米正雄小谷野敦
  8. 宮沢賢治──生成し、変容しつづける人山折哲雄
  9. 北原白秋と詩人たち川本三郎
  10. 鈴木三重吉・『赤い鳥』と童心主義河原和枝
  11. 童謡運動──西條八十・野口雨情・北原白秋筒井清忠
  12. 新民謡運動──ローカリズムの再生筒井清忠
  13. 竹久夢二と宵待草石川桂子
  14. 高等女学校の発展と「職業婦人」の進出田中智子
  15. 女子学生服の転換──機能性への志向と洋装の定着難波知子
  16. 「少女」文化の成立竹田志保
  17. 大衆文学の成立──通俗小説の動向を中心として藤井淑禎
  18. 時代小説・時代劇映画の勃興牧野悠
  19. 岡本一平と大正期の漫画宮本大人
  20. ラジオ時代の国民化メディア──『キング』と円本佐藤卓己
  21. 大衆社会とモダン文化──商都・大阪のケース橋爪節也
  22. 大衆歌謡の展開倉田喜弘
  23. 発展する活動写真・映画の世界岩本憲児
  24. 百貨店と消費文化の展開神野由紀
  25. 阪急電鉄と小林一三──都市型第三次産業の成立老川慶喜
  26. 宝塚と小林一三伊井春樹
  27. カフェーの展開と女給の成立斎藤光

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【はじめに・第4講・第11講・第12講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団政策研究所主席研究員。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』『昭和史講義【戦前文化人篇】』『昭和史講義【戦後篇】上・下』『明治史講義【人物篇】』(編著、ちくま新書)、『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『満州事変はなぜ起きたのか』(中公選書)、『帝都復興の時代』(中公文庫)、『石橋湛山』(中公叢書)など。
今野元(こんの・はじめ)【第1講・第3講】
一九七三年生まれ。愛知県立大学外国語学部教授。ベルリン大学第一哲学部歴史学科修了。Dr. phil.(歴史学)。 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は政治学、ドイツ・日本の近世・近代史。著書『マックス・ヴェーバー』(岩波新書)、『多民族国家プロイセンの夢』(名古屋大学出版会)、『教皇ベネディクトゥス一六世』(東京大学出版会)、『フランス革命と神聖ローマ帝国の試煉』(岩波書店)など。
牧野邦昭(まきの・くにあき)【第2講】
一九七七年生まれ。慶應義塾大学経済学部教授。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。専門は近代日本経済思想史。著書『経済学者たちの日米開戦』(新潮選書)、『新版 戦時下の経済学者』(中公選書)、『柴田敬』(日本経済評論社)など。
藤田正勝(ふじた・まさかつ)【第5講】
一九四九年生まれ。京都大学名誉教授。京都大学大学院文学研究科およびドイツ・ボーフム大学哲学部ドクター・コース修了。哲学博士。専門は哲学・日本哲学史。著書に『哲学のヒント』『日本文化をよむ―5つのキーワード』(以上、岩波新書)、『人間・西田幾多郎―未完の哲学』(岩波書店)、『はじめての哲学』(岩波ジュニア新書)など。
大山英樹(おおやま・ひでき)【第6講】
一九八〇年生まれ。東洋英和女学院大学他非常勤講師。青山学院大学大学院総合文化政策学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は日本近代文学。著書『夏目漱石と帝国大学―「漱石神話」の生成と発展のメカニズム』(晃洋書房)、『菊池寛現代通俗小説事典』(共著、八木書店)など。
小谷野敦(こやの・あつし)【第7講】
一九六二年生まれ。作家、文筆家。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。専門は比較文学。著書に『もてない男』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』『近松秋江伝』(以上、中央公論新社)など。
山折哲雄(やまおり・てつお)【第8講】
一九三一年生まれ。宗教研究者、評論家。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。国際日本文化研究センター名誉教授。専門は宗教史、思想史。著書『さまよえる日本宗教』(中公叢書)、『近代日本人の宗教意識』(岩波現代文庫)、『空海の企て』(角川選書)、『親鸞をよむ』(岩波新書)、『デクノボーになりたい―私の宮沢賢治』(小学館)、『救いとは何か』(共著、筑摩選書)など。
川本三郎(かわもと・さぶろう)【第9講】
一九四四年生まれ。評論家。東京大学法学部卒業。著書『大正幻影』『荷風と東京』(以上、岩波現代文庫)、『林芙美子の昭和』(新書館)、『白秋望景』(新書館)、『映画のメリーゴーラウンド』(文藝春秋)、『日本映画 隠れた名作』(筒井清忠氏との共著、中公選書)など。
河原和枝(かわはら・かずえ)【第10講】
一九五二年生まれ。甲南女子大学人間科学部文化社会学科教授。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退。博士(人間科学)。専門は文化社会学、社会意識論。著書『子ども観の近代―『赤い鳥』と「童心」の理想』(中公新書)、『日常からの文化社会学―私らしさの神話』(世界思想社)、『全訂新版 現代文化を学ぶ人のために』(共著、世界思想社)など。
石川桂子(いしかわ・けいこ)【第13講】
一九六七年生まれ。竹久夢二美術館学芸員。國學院大學文学部史学科卒業。専門は竹久夢二、大正期の日本出版美術。編書『竹久夢二《デザイン》―モダンガールの宝箱』(講談社)、『竹久夢二詩画集』(岩波文庫)、『竹久夢二 かわいい手帖―大正ロマンの乙女ワールド』(河出書房新社)、『竹久夢二という生き方』(春陽堂書店)など。
田中智子(たなか・ともこ)【第14講】
一九六九年生まれ。京都大学大学院教育学研究科准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。専門は日本近現代史、教育史。著書『近代日本高等教育体制の黎明』(思文閣出版)、『日本女性史研究文献目録1868-2002 CD-ROM 版』(共著、東京大学出版会)、『明治史講義【人物篇】』(共著、ちくま新書)など。
難波知子(なんば・ともこ)【第15講】
一九八〇年生まれ。お茶の水女子大学准教授。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程(比較社会文化学専攻)修了。博士(学術)。専門は日本服飾史。著書『学校制服の文化史』『近代日本学校制服図録』(以上、創元社)、『ビジュアル日本の服装の歴史③明治時代〜現代』(ゆまに書房)など。
竹田志保(たけだ・しほ)【第16講】
一九七九年生まれ。学習院大学他非常勤講師。学習院大学人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(日本語日本文学)。専門は日本近代文学。著書『吉屋信子研究』(翰林書房)、『昭和史講義【戦前文化人篇】』(共著、ちくま新書)など。
藤井淑禎(ふじい・ひでただ)【第17講】
一九五〇年生まれ。立教大学名誉教授。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は近現代日本文学・文化。著書『乱歩とモダン東京』(筑摩選書)、『純愛の精神誌』(新潮選書)、『清張 闘う作家』(ミネルヴァ書房)、『漱石文学全注釈―こころ』(若草書房)、『名作がくれた勇気』(平凡社)、『乱歩とモダン東京』(筑摩選書)など。
牧野悠(まきの・ゆう)【第18講】
一九八一年生まれ。帝京大学宇都宮キャンパスリベラルアーツセンター専任講師。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代文学。著書『昭和史講義【戦前文化人篇】』(共著、ちくま新書)、論文「五味康祐「喪神」から坂口安吾「女剣士」へ―剣豪小説黎明期の典拠と方法」(『日本近代文学』第七八集)、「歴史をあざむく陰のわざ―柴田錬三郎と山田風太郎の忍法小説」(『昭和文学研究』第七六集)など。
宮本大人(みやもと・ひろひと)【第19講】
一九七〇年生まれ。明治大学国際日本学部教授。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単取得退学。専門は漫画史・表象文化論。著書『江口寿史 KING OF POP Side B』(編著、青土社)、『マンガの居場所』(共著、NTT出版)など。
佐藤卓己(さとう・たくみ)【第20講】
一九六〇年生まれ。京都大学大学院教育学研究科教授。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門はメディア論。著書『「キング」の時代』(岩波書店)、『言論統制』(中公新書)、『メディア論の名著30』(ちくま新書)、『増補 大衆宣伝の神話』『増補 八月十五日の神話』(以上、ちくま学芸文庫)、『物語 岩波書店百年史2』(岩波書店)など。
橋爪節也(はしづめ・せつや)【第21講】
一九五八年生まれ。大阪大学総合学術博物館教授・大学院文学研究科兼任。東京藝術大学美術学部大学院修了。日本東洋美術史専攻。著書『大大阪イメージ―増殖するマンモス/モダン都市の幻像』(創元社)、『モダン心斎橋コレクション―メトロポリスの時代と記憶』(国書刊行会)。『木村蒹葭堂全集』(監修、藝華書院)など。
倉田喜弘(くらた・よしひろ)【第22講】
一九三一年生まれ。芸能史研究家。大阪市立大学経済学部卒業。NHK勤務ののち芸能史研究に専念する。専門は近代芸能史。著書『明治大正の民衆娯楽』(岩波新書)、『日本レコード文化史』(岩波現代文庫)、『「はやり歌」の考古学』(文春新書)など。
岩本憲児(いわもと・けんじ)【第23講】
一九四三年生まれ。早稲田大学名誉教授。専門は映画史、映像論。著書『幻燈の世紀 映画前夜の視覚文化史』、『サイレントからトーキーへ―日本映画形成期の人と文化』、 『ユーモア文学と日本映画―近代の愉快と諷刺』(森話社)、『日本映画の海外進出―文化戦略の歴史」(編著、森話社)、『戦時下の映画 日本・東アジア・ドイツ』(共編著、森話社)、『黒澤明の映画 喧々囂々』(論創社)など。
神野由紀(じんの・ゆき)【第24講】
一九六四年生まれ。関東学院大学人間共生学部教授。筑波大学大学院芸術学研究科修了。博士(デザイン学)。専門は近代日本のデザイン文化史。著書『趣味の誕生』(勁草書房)、『子どもをめぐるデザインと近代』(世界思想社)、『百貨店で〈趣味〉を買う』(吉川弘文館)、『趣味とジェンダー―〈手作り〉と〈自作〉の近代』(編著、青弓社)など。
老川慶喜(おいかわ・よしのぶ)【第25講】
一九五〇年生まれ。立教大学名誉教授。立教大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。専門は日本経済史。著書『近代日本の鉄道構想』(日本経済評論社)、『井上勝』(ミネルヴァ書房)『日本鉄道史』幕末・明治篇、大正・昭和戦前篇、昭和戦後・平成篇(中公新書)、『満州国の自動車産業』(日本経済評論社)など。
伊井春樹(いい・はるき)【第26講】
一九四一年生まれ。大阪大学大学院教授、国文学研究資料館館長、阪急文化財団逸翁美術館館長を経て、現在は大阪大学名誉教授他。広島大学大学院博士課程。文学博士。専門は日本文学。著書『源氏物語注釈史の研究』(桜楓社)、『成尋の入宋とその生涯』(吉川弘文館)、『ゴードン・スミスの見た明治の日本』(角川学芸出版)、『小林一三は宝塚少女歌劇にどのような夢を託したのか』(ミネルヴァ書房)、『人がつなぐ源氏物語』(朝日新聞出版)など。
斎藤光(さいとう・ひかる)【第27講】
一九五六年生まれ。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部教員。京都大学理学部、北海道大学大学院環境科学研究科修士課程、東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。専門は、科学史科学論、近代社会文化誌。著書『幻の「カフェー」時代』(淡交社)、『性的なことば』(編著、講談社現代新書)、『社会的なもののために』(共著、ナカニシヤ出版)、『〈いのち〉はいかに語りうるか?』(共著、日本学術協力財団)など。

昭和史講義

──最新研究で見る戦争への道

筒井清忠

なぜ昭和の日本は戦争へと向かったのか。
複雑きわまる戦前期を正確に理解すべく、俗説を排して信頼できる史料に依拠。
第一線の歴史家たちによる最新の研究成果。
ちくま新書1136/2015/07/06刊行/ISBN:978-4-480-06844-6/288ページ/定価:968円(10%税込)
昭和史講義

目次

  1. ワシントン条約体制と幣原外交渡邉公太
  2. 普通選挙法成立と大衆デモクラシーの開始小山俊樹
  3. 北伐から張作霖爆殺事件へ家近亮子
  4. ロンドン海軍軍縮条約と宮中・政党・海軍畑野勇
  5. 満州事変から国際連盟脱退へ等松春夫
  6. 天皇機関説事件柴田紳一
  7. 二・二六事件と昭和超国家主義運動筒井清忠
  8. 盧溝橋事件─ 塘沽停戦協定からトラウトマン工作失敗まで岩谷將
  9. 日中戦争の泥沼化と東亜新秩序声明戸部良一
  10. ノモンハン事件・日ソ中立条約花田智之
  11. 日独伊三国同盟への道武田知己
  12. 近衛新体制と革新官僚牧野邦昭
  13. 日米交渉から開戦へ森山優
  14. 「聖断」と「終戦」の政治過程鈴木多聞
  15. 日本占領─ アメリカの対日政策の国際的背景井口治夫

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・ きよただ)【編者/ まえがき・ 第7講・ あとがき】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団上席研究員。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『二・二六事件とその時代』(ちくま学芸文庫)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『二・二六事件と青年将校』(吉川弘文館)など。
渡邉公太(わたなべ・ こうた)【第1講】
一九八四年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科専任講師。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『「戦争」で読む日米関係100年』(共著、朝日選書)、論文「第四回日露協約と英米協調路線の再考」(『神戸法学雑誌』六〇巻一号)など。
小山俊樹(こやま・としき)【第2講】
一九七六年生まれ。帝京大学文学部史学科教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専門は日本近現代政治史。著書『憲政常道と政党政治』(思文閣出版)、『近代機密費史料集成』(ゆまに書房)、『倉富勇三郎日記』(共著、国書刊行会)など。
家近亮子(いえちか・りょうこ)【第3講】
敬愛大学国際学部教授、放送大学客員教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は中国近現代政治史、日中関係史。著書『蔣介石と南京国民政府』(慶應義塾大学出版会)、『日中関係の基本構造』(晃洋書房)、『蔣介石の外交戦略と日中戦争』(岩波書店)など。
畑野勇(はたの・いさむ)【第4講】
一九七一年生まれ。株式会社古藤事務所勤務。成蹊大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治史・外交史、日本海軍史。著書『近代日本の軍産学複合体』(創文社)など。
等松春夫(とうまつ・はるお)【第5講】
一九六二年生まれ。防衛大学校人文社会科学群国際関係学科教授。オックスフォード大学大学院国際関係学研究科博士課程修了。博士(政治学)。専門は政治外交史、比較戦争史。著書『日本帝国と委任統治』(名古屋大学出版会)、『日中戦争の軍事的展開』(共著、慶應義塾大学出版会)、『日英交流史1600–2000 3 軍事』(共著、東京大学出版会)など。
柴田紳一(しばた・しんいち)【第6講】
一九五八年生まれ。国学院大学文学部史学科准教授。国学院大学文学部史学科卒業。専門は日本近現代史。著書『昭和期の皇室と政治外交』(原書房)、『日本近代史研究余録』(渡辺出版)など。
岩谷將(いわたに・のぶ)【第8講】
一九七六年生まれ。北海道大学大学院法学研究科教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日中関係史、中国近現代史。著書『対立と共存の歴史認識』(共著、東京大学出版会)、『蔣介石研究』(共著、東方書店)など。
戸部良一(とべ・りょういち)【第9講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部史学科教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日本近現代史。著書『ピース・フィーラー』(論創社)、『逆説の軍隊』(中公文庫)、『日本陸軍と中国』(ちくま学芸文庫)、『外務省革新派』(中公新書)など。
花田智之(はなだ・ともゆき)【第10講】
一九七七年生まれ。防衛省防衛研究所戦史研究センター主任研究官。北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門はロシア・ソ連軍事史、ロシア帝国論。著書『日露戦争兵器・人物事典』(共著、学研パブリッシング)、『現代ロシアを知るための60章【第2版】』(共著、明石書店)など。
武田知己(たけだ・ともき)【第11講】
一九七〇年生まれ。大東文化大学法学部教授。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程中途退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『重光葵と戦後政治』(吉川弘文館)、『近代日本のリーダーシップ』(共著、千倉書房)、論文「日本外務省の対外戦略の競合とその帰結 一九三三–一九三八」(『年報日本現代史』一六号)など。
牧野邦昭(まきの・くにあき)【第12講】
一九七七年生まれ。摂南大学経済学部准教授。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。専門は近代日本経済思想史。著書『戦時下の経済学者』(中公叢書)、『柴田敬』(日本経済評論社)。
森山優(もりやま・あつし)【第13講】
一九六二年生まれ。静岡県立大学国際関係学部教授。九州大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『日本はなぜ開戦に踏み切ったか』(新潮選書)、『日米開戦の政治過程』(吉川弘文館)など。
鈴木多聞(すずき・たもん)【第14講】
一九七五年生まれ。京都大学大学院法学研究科/白眉センター特定准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近代史。著書『「終戦」の政治史 1943–1945』(東京大学出版会)。
井口治夫(いぐち・はるお)【第15講】
一九六四年生まれ。関西学院大学国際学部国際学科教授。シカゴ大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(歴史学)。専門は日米関係とアメリカ政治・外交史。著書『鮎川義介と経済的国際主義』(名古屋大学出版会)など。

昭和史講義2

──専門研究者が見る戦争への道

筒井清忠

なぜ戦前の日本は破綻への道を歩んだのか。
その原因をより深く究明すべく、20名の研究者が最新研究の成果を結集する。
好評を博した昭和史講義シリーズ第二弾。
ちくま新書1194/2016/07/05刊行/ISBN:978-4-480-06906-1/352ページ/定価:1,100円(10%税込)
昭和史講義2

目次

  1. 軍縮と軍人の社会的地位髙杉洋平
  2. 治安維持法―国際的比較の視点から中澤俊輔
  3. 中ソ戦争と日本等松春夫
  4. 世界恐慌下の日本小島庸平
  5. 血盟団事件と五・一五事件長谷川雄一
  6. 満州事変後の政局と政党政治の終焉小山俊樹
  7. 帝人事件から国体明徴声明まで菅谷幸浩
  8. 厚生省設置と人口政策牧野邦昭
  9. 日中戦争における和平工作─ 日本側から見た戸部良一
  10. 日中戦争における和平工作─ 中国側から見た岩谷將
  11. 天津租界事件から日米通商航海条約廃棄通告へ渡邉公太
  12. 天皇指名制陸相の登場─ 昭和一四年における天皇・陸軍・新聞筒井清忠
  13. 南部仏印進駐と関東軍特種演習─ 太平洋戦争への岐路森山優
  14. 日米開戦と海軍畑野勇
  15. ゾルゲ事件花田智之
  16. 大東亜会議の意味武田知己
  17. 大西洋憲章からポツダム宣言まで楠綾子
  18. 原爆投下とソ連参戦石井修
  19. 終戦から占領改革へ福永文夫
  20. 昭和期における平準化の進展─ 戦前・戦中・戦後沼尻正之

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【編者/まえがき・第12講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団上席研究員。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『昭和史講義』(編著、ちくま新書)、『二・二六事件とその時代』(ちくま学芸文庫)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『満州事変はなぜ起きたのか』『陸軍士官学校事件』(以上、中公選書)など。
髙杉洋平(たかすぎ・ようへい)【第1講】
一九七九年生まれ。日本銀行金融研究所歴史研究課(個別事務委嘱)。国学院大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『宇垣一成と戦間期の日本政治』(吉田書店)。
中澤俊輔(なかざわ・しゅんすけ)【第2講】
一九七九年生まれ。秋田大学教育文化学部講師。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『治安維持法』(中公新書)、『近現代日本を史料で読む』(共著、中公新書)、『山川健次郎日記』(共著、芙蓉書房出版)など。
等松春夫(とうまつ・はるお)【第3講】
一九六二年生まれ。防衛大学校人文社会科学群国際関係学科教授。オックスフォード大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(国際関係論)。専門は政治外交史、比較戦争史。著書『日本帝国と委任統治』(名古屋大学出版会)、『昭和史講義』(共著、ちくま新書)、『日中戦争の軍事的展開』(共著、慶應義塾大学出版会)、『日英交流史1600-2000 3 軍事』(共著、東京大学出版会)など。
小島庸平(こじま・ようへい)【第4講】
一九八二年生まれ。東京大学大学院経済学研究科専任講師。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。専門は近代日本経済史・農業史。論文「大恐慌期における救農土木事業の意義と限界」(『歴史と経済』二一二号)など。
長谷川雄一(はせがわ・ゆういち)【第5講】
一九四八年生まれ。東北福祉大学教育学部教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本政治外交史、国際関係論。著書『近代日本の国際認識』(芦書房)、『アジア主義思想と現代』(編著、慶應義塾大学出版会)、『大正期日本のアメリカ認識』(編著、慶應義塾大学出版会)など。
小山俊樹(こやま・としき)【第6講】
一九七六年生まれ。帝京大学文学部史学科准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専門は日本近現代政治史。著書『憲政常道と政党政治』(思文閣出版)、『近代機密費史料集成』(監修・編集、ゆまに書房)、『昭和史講義』(共著、ちくま新書)、『倉富勇三郎日記』(共著、国書刊行会)など。
菅谷幸浩(すがや・ゆきひろ)【第7講】
一九七八年生まれ。亜細亜大学法学部法律学科非常勤講師。学習院大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史、政治学。著書『日記に読む近代日本4 昭和前期』(共著、吉川弘文館)、論文「第一次近衛内閣期における政界再編成問題と戦争指導」(『法学新報』第一二〇巻三・四号)など。
牧野邦昭(まきの・くにあき)【第8講】
一九七七年生まれ。摂南大学経済学部准教授。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。専門は近代日本経済思想史。著書『戦時下の経済学者』(中公叢書)、『柴田敬』(日本経済評論社)、『昭和史講義』(共著、ちくま新書)など。
戸部良一(とべ・りょういち)【第9講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部史学科教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日本近現代史。著書『ピース・フィーラー』(論創社)、『逆説の軍隊』(中公文庫)、『日本陸軍と中国』(講談社選書メチエ)、『外務省革新派』(中公新書)、『昭和史講義』(共著、ちくま新書)など。
岩谷 將(いわたに・のぶ)【第10講】
一九七六年生まれ。北海道大学大学院法学研究科教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日中関係史、中国近現代史。著書『対立と共存の歴史認識』(共著、東京大学出版会)、『昭和史講義』(共著、ちくま新書)、『蔣介石研究』(共著、東方書店)など。
渡邉公太(わたなべ・こうた)【第11講】
一九八四年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科専任講師。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『昭和史講義』(共著、ちくま新書)、『「戦争」で読む日米関係100年』(共著、朝日選書)、論文「第四回日露協約と英米協調路線の再考」(『神戸法学雑誌』六〇巻一号)など。
森山 優(もりやま・あつし)【第13講】
一九六二年生まれ。静岡県立大学国際関係学部准教授。九州大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『日本はなぜ開戦に踏み切ったか』(新潮選書)、『日米開戦の政治過程』(吉川弘文館)、『昭和史講義』(共著、ちくま新書)など。
畑野 勇(はたの・いさむ)【第14講】
一九七一年生まれ。株式会社古藤事務所勤務。成蹊大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治史・外交史、日本海軍史。著書『近代日本の軍産学複合体』(創文社)、『昭和史講義』(共著、ちくま新書)、など。
花田智之(はなだ・ともゆき)【第15講】
一九七七年生まれ。防衛省防衛研究所戦史研究センター主任研究官。北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門はロシア・ソ連軍事史、ロシア帝国論。著書『昭和史講義』(共著、ちくま新書)、『日露戦争兵器・人物事典』(共著、学研パブリッシング)など。
武田知己(たけだ・ともき)【第16講】
一九七〇年生まれ。大東文化大学法学部教授。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程中途退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『重光葵と戦後政治』(吉川弘文館)、『昭和史講義』(共著、ちくま新書)、『近代日本のリーダーシップ』(共著、千倉書房)など。
楠 綾子(くすのき・あやこ)【第17講】
一九七三年生まれ。国際日本文化研究センター准教授。神戸大学大学院博士課程後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『吉田茂と安全保障政策の形成』(ミネルヴァ書房)、『現代日本政治史1 占領から独立へ』(吉川弘文館)など。
石井 修(いしい・おさむ)【第18講】
一九三六年生まれ。一橋大学名誉教授。東京大学経済学部卒業。ラトガース大学歴史学部博士課程修了(Ph.D. 取得)。専門は現代国際政治史、戦後日米関係史。著書『冷戦と日米関係』(ジャパンタイムズ)、『世界恐慌と日本の「経済外交」1930-1936年』(勁草書房)、『国際政治史としての 20世紀』(有信堂)、『覇権の翳り』(柏書房)など。
福永文夫(ふくなが・ふみお)【第19講】
一九五三年生まれ。独協大学法学部教授。神戸大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史、政治学。著書『日本占領史 1945-1952』(中公新書)、『大平正芳』(中公新書)、『第二の「戦後」の形成過程』(編著、有斐閣)など。
沼尻正之(ぬまじり・まさゆき)【第20講】
一九六五年生まれ。追手門学院大学地域創造学部准教授。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は宗教社会学、歴史社会学。著書『日本の歴史社会学』(共著、岩波書店)、『歴史社会学のフロンティア』(共著、人文書院)など。

昭和史講義3

──リーダーを通して見る戦争への道

筒井清忠

昭和のリーダーたちの決断はなぜ戦争へと結びついたのか。
近衛文麿、東条英機ら政治家・軍人のキーパーソン15名の生い立ちと行動を、
最新研究によって跡づける。
ちくま新書1266/2017/07/05刊行/ISBN:978-4-480-06977-1/304ページ/定価:990円(10%税込)
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昭和史講義3

目次

  1. 加藤高明─ 二大政党政治の扉奈良岡聰智
  2. 若槻礼次郎─ 世論を説得しようとした政治家の悲劇今津敏晃
  3. 田中義一─ 政党内閣期の軍人宰相小山俊樹
  4. 幣原喜重郎─ 戦前期日本の国際協調外交の象徴西田敏宏
  5. 浜口雄幸─ 調整型指導者と立憲民政党井上敬介
  6. 犬養毅─ 野党指導者の奇遇五百旗頭 薫
  7. 岡田啓介─ 「国を思う狸」の功罪村井良太
  8. 広田弘毅─ 「協和外交」の破綻から日中戦争へ渡邉公太
  9. 宇垣一成─ 「大正デモクラシー」が生んだ軍人髙杉洋平
  10. 近衛文麿─ アメリカという「幻」に賭けた政治家庄司潤一郎
  11. 米内光政─ 天皇の絶対的な信頼を得た海軍軍人畑野勇
  12. 松岡洋右─ ポピュリストの誤算森山優
  13. 東条英機─ ヴィジョンなき戦争指導者戸部良一
  14. 鈴木貫太郎─ 選択としての「聖断」波多野澄雄
  15. 重光葵─ 対中外交の可能性とその限界武田知己

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【編者/まえがき】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団上席研究員。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』(以上編著、ちくま新書)、『二・二六事件とその時代』(ちくま学芸文庫)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『満州事変はなぜ起きたのか』『陸軍士官学校事件』(以上、中公選書)など。
奈良岡聰智(ならおか・そうち)【第1講】
一九七五年生まれ。京都大学大学院法学研究科教授。京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『加藤高明と政党政治』(山川出版社)、『「八月の砲声」を聞いた日本人』(千倉書房)、『対華二十一ヵ条要求とは何だったのか』(名古屋大学出版会)など。
今津敏晃(いまづ・としあき)【第2講】
一九七四年生まれ。亜細亜大学法学部准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。専門は日本近現代史。著書『日記に読む近代日本』第二巻(共著、吉川弘文館)、『最後の貴族院書記官長小林次郎日記』(共編、芙蓉書房出版)、論文「第一次若槻内閣下の研究会」(『史学雑誌』一一二編一〇号)、「一九二五年の貴族院改革に関する一考察」(『日本歴史』六七九号)など。
小山俊樹(こやま・としき)【第3講】
一九七六年生まれ。帝京大学文学部史学科教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専門は日本近現代政治史。著書『憲政常道と政党政治』(思文閣出版)、『評伝森恪』(ウェッジ)、『近代機密費史料集成』(監修・編集、ゆまに書房)、『昭和史講義』『昭和史講義2』(以上共著、ちくま新書)、『倉富勇三郎日記』(共著、国書刊行会)など。
西田敏宏(にしだ・としひろ)【第4講】
一九七五年生まれ。椙山女学園大学現代マネジメント学部准教授。京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『二〇世紀日米関係と東アジア』(共著、風媒社)、『二〇世紀日本と東アジアの形成』(共著、ミネルヴァ書房)、『日本の歴史──近世・近現代編』(共著、ミネルヴァ書房)、『内田康哉関係資料集成』全三巻(共編、柏書房)など。
井上敬介(いのうえ・けいすけ)【第5講】
一九七八年生まれ。北海道大学大学院文学研究科助教。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『立憲民政党と政党改良』(北海道大学出版会)など。
五百旗頭 薫(いおきべ・かおる)【第6講】
一九七四年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科教授。東京大学法学部卒業。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『大隈重信と政党政治』(東京大学出版会)、『条約改正史』(有斐閣)、『日本政治史の新地平』(共編、吉田書店)、『自由主義の政治家と政治思想』(共編、中央公論新社)など。
村井良太(むらい・りょうた)【第7講】
一九七二年生まれ。駒澤大学法学部政治学科教授。神戸大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『政党内閣制の成立 一九一八〜二七年』『政党内閣制の展開と崩壊 一九二七〜三六年』(以上、有斐閣)、『第二の「戦後」の形成過程』(共著、有斐閣)など。
渡邉公太(わたなべ・こうた)【第8講】
一九八四年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科専任講師。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『昭和史講義』『昭和史講義2』(以上共著、ちくま新書)、訳書『スパイクマン地政学 世界政治と米国の戦略』(芙蓉書房出版)など。
髙杉洋平(たかすぎ・ようへい)【第9講】
一九七九年生まれ。広島大学文書館助教。国学院大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『宇垣一成と戦間期の日本政治』(吉田書店)、『昭和史講義2』(共著、ちくま新書)など。
庄司潤一郎(しょうじ・じゅんいちろう)【第10講】
一九五八年生まれ。防衛省防衛研究所戦史研究センター長。筑波大学大学院博士課程社会科学研究科単位取得退学。専門は日本近代軍事・外交史、歴史認識。著書『検証 太平洋戦争とその戦略(全三巻)』(共編著、中央公論新社)、『近代日本のリーダーシップ』(共著、千倉書房)、『アジア主義思想と現代』(共著、慶應義塾大学出版会)など。
畑野 勇(はたの・いさむ)【第11講】
一九七一年生まれ。株式会社古藤事務所勤務。成蹊大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治史・外交史、日本海軍史。著書『近代日本の軍産学複合体』(創文社)、『昭和史講義』『昭和史講義2』(以上共著、ちくま新書)など。
森山 優(もりやま・あつし)【第12講】
一九六二年生まれ。静岡県立大学国際関係学部教授。九州大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『日本はなぜ開戦に踏み切ったか』(新潮選書)、『日米開戦の政治過程』(吉川弘文館)、『日米開戦と情報戦』(講談社現代新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』(以上共著、ちくま新書)など。
戸部良一(とべ・りょういち)【第13講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部史学科教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日本近現代史。著書『ピース・フィーラー』(論創社)、『逆説の軍隊』(中公文庫)、『日本陸軍と中国』(ちくま学芸文庫)、『外務省革新派』(中公新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』(以上共著、ちくま新書)など。
波多野澄雄(はたの・すみお)【第14講】
一九四七年生まれ。国立公文書館アジア歴史資料センター長、外務省『日本外交文書』編纂委員長、筑波大学名誉教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了、博士(法学)。専門は日本外交史。著書に『幕僚たちの真珠湾』(吉川弘文館)、『太平洋戦争とアジア外交』(東京大学出版会)、『国家と歴史』(中公新書)、『歴史としての日米安保条約』(岩波書店)、『宰相鈴木貫太郎の決断』(岩波現代全書)など。
武田知己(たけだ・ともき)【第15講】
一九七〇年生まれ。大東文化大学法学部教授。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程中途退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『重光葵と戦後政治』(吉川弘文館)、『昭和史講義』『昭和史講義2』(以上共著、ちくま新書)、『近代日本のリーダーシップ』(共著、千倉書房)など。

昭和史講義

【軍人篇】

筒井清忠

戦争の責任は誰にあるのか。
東条英機、石原莞爾、山本五十六ら、戦争を指導した帝国陸海軍の軍人たちの実像を
最新研究をもとに描きなおし、その功罪を検証する。
ちくま新書1341/2018/07/05刊行/ISBN: 978-4-480-07163-7/304ページ/定価:990円(10%税込)
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昭和史講義

目次

昭和陸軍の派閥抗争―まえがきに代えて筒井清忠

  1. 東条英機─ 昭和の悲劇の体現者武田知己
  2. 梅津美治郎─ 「後始末」に尽力した陸軍大将庄司潤一郎
  3. 阿南惟幾─ 「徳義即戦力」を貫いた武将波多野澄雄
  4. 鈴木貞一─ 背広を着た軍人髙杉洋平
  5. 武藤章─ 「政治的軍人」の実像髙杉洋平
  6. 石原莞爾─ 悲劇の鬼才か、鬼才による悲劇か戸部良一
  7. 牟田口廉也─ 信念と狂信の間戸部良一
  8. 今村均─ 「ラバウルの名将」から見る日本陸軍の悲劇渡邉公太
  9. 山本五十六─ その避戦構想と挫折畑野勇
  10. 米内光政─ 終末点のない戦争指導相澤淳
  11. 永野修身─ 海軍「主流派」の選択森山優
  12. 高木惣吉─ 昭和期海軍の語り部手嶋泰伸
  13. 石川信吾─ 「日本海軍最強硬論者」の実像畑野勇
  14. 堀悌吉─ 海軍軍縮派の悲劇筒井清忠

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【編者/昭和陸軍の派閥抗争・第14講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科教授・文学部長。東京財団政策研究所上席研究員。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』(編著、ちくま新書)、『近衛文麿』『日本型「教養」の運命』(以上、岩波現代文庫)など。
武田知己(たけだ・ともき)【第1講】
一九七〇年生まれ。大東文化大学法学部教授。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程中途退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『重光葵と戦後政治』(吉川弘文館)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』(以上共著、ちくま新書)、『近代日本のリーダーシップ』(共著、千倉書房)など。
庄司潤一郎(しょうじ・じゅんいちろう)【第2講】
一九五八年生まれ。防衛省防衛研究所研究幹事。筑波大学大学院博士課程社会科学研究科単位取得退学。専門は日本近代軍事・外交史、歴史認識。著書『検証 太平洋戦争とその戦略(全三巻)』(共編著、中央公論新社)、『近代日本のリーダーシップ』(共著、千倉書房)、『昭和史講義3』(共著、ちくま新書)など。
波多野澄雄(はたの・すみお)【第3講】
一九四七年生まれ。国立公文書館アジア歴史資料センター長、外務省「日本外交文書」編纂委員長、筑波大学名誉教授。慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程修了、博士(法学)。専門は日本外交史。著書に『幕僚たちの真珠湾』(朝日新聞社)、『太平洋戦争とアジア外交』(東京大学出版会)、『国家と歴史』(中公新書)、『歴史としての日米安保条約』(岩波書店)、『宰相鈴木貫太郎の決断』(岩波現代全書)など。
髙杉洋平(たかすぎ・ようへい)【第4講・第5講】
一九七九年生まれ。広島大学文書館助教。国学院大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『宇垣一成と戦間期の日本政治』(吉田書店)、『昭和史講義2』『昭和史講義3』(以上共著、ちくま新書)など。
戸部良一(とべ・りょういち)【第6講・第7講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部史学科教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日本近現代史。著書『ピース・フィーラー』(論創社)、『逆説の軍隊』(中公文庫)、『日本陸軍と中国』(ちくま学芸文庫)、『外務省革新派』(中公新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』(以上共著、ちくま新書)、『自壊の病理』(日本経済新聞出版社)など。
渡邉公太(わたなべ・こうた)【第8講】
一九八四年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科専任講師。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』(以上共著、ちくま新書)、『第一次世界大戦期日本の戦時外交 ― 石井菊次郎とその周辺』(現代図書、近刊)。
畑野勇(はたの・いさむ)【第9講・第13講】
一九七一年生まれ。学校法人根津育英会武蔵学園勤務。成蹊大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治史・外交史、日本海軍史。著書『近代日本の軍産学複合体』(創文社)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』(以上共著、ちくま新書)など。
相澤淳(あいざわ・きよし)【第10講】
一九五九年生まれ。防衛大学校防衛学教育学群統率・戦史教育室教授。上智大学大学院外国語学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(国際関係論)。専門は国際関係史、日本海軍史。著書『海軍の選択』(中公叢書)、『日記で読む近現代日本政治史』(共著、ミネルヴァ書房)、『日本海軍史の研究』(共著、吉川弘文館)、『日英交流史1600-2000 3 軍事』(共著、東京大学出版会)など。
森山優(もりやま・あつし)【第11講】
一九六二年生まれ。静岡県立大学国際関係学部教授。九州大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『日本はなぜ開戦に踏み切ったか』(新潮選書)、『日米開戦の政治過程』(吉川弘文館)、『日米開戦と情報戦』(講談社現代新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』(以上共著、ちくま新書)など。
手嶋泰伸(てしま・やすのぶ)【第12講】
一九八三年生まれ。国立高等専門学校機構福井工業高等専門学校講師。東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『昭和戦時期の海軍と政治』『海軍将校たちの太平洋戦争』(以上、吉川弘文館)、『日本海軍と政治』(講談社現代新書)。

昭和史講義

【戦前文化人篇】

筒井 清忠

柳田、大拙、和辻ら近代日本の代表的知性から谷崎、乱歩、保田與重郎ら文人まで、
文化人たちは昭和戦前期をいかに生きたか。最新の知見でその人物像を描き出す。
ちくま新書1421/2019/07/04刊行/ISBN: 978-4-480-07240-5/304ページ/定価:990円(10%税込)
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昭和史講義

目次

まえがき筒井清忠

  1. 石橋湛山─ 言論人から政治家へ牧野邦昭
  2. 和辻哲郎─ 人間と「行為」の哲学苅部直
  3. 鈴木大拙─ 禅を世界に広めた国際人佐々木閑
  4. 柳田国男─ 失われた共産制を求めて赤坂憲雄
  5. 谷崎潤一郎─ 「今の政に従う者は殆うし」千葉俊二
  6. 保田與重郎─ 「偉大な敗北」に殉じた文人前田雅之
  7. 江戸川乱歩─ 『探偵小説四十年』という迷宮藤井淑禎
  8. 中里介山─ 「戦争協力」の空気に飲まれなかった文学者伊東祐吏
  9. 長谷川伸─ 地中の「紙碑」牧野悠
  10. 吉屋信子─ 女たちのための物語竹田志保
  11. 林芙美子─ 大衆の時代の人気作家川本三郎
  12. 藤田嗣治─ 早すぎた「越境」者の光と影林洋子
  13. 田河水泡─ 「笑い」を追求した漫画家萩原由加里
  14. 伊東忠太─ エンタシスという幻想井上章一
  15. 山田耕筰─ 交響曲作家から歌劇作家へ片山杜秀
  16. 西條八十─ 大衆の抒情のために生きた知識人筒井清忠

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【編者/まえがき・第16講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科教授・文学部長。東京財団政策研究所上席研究員。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』(編著、ちくま新書)、『近衛文麿』『日本型「教養」の運命』(以上、岩波現代文庫)など。
牧野邦昭(まきの・くにあき)【第1講】
一九七七年生まれ。摂南大学経済学部准教授。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。専門は近代日本経済思想史。著書『経済学者たちの日米開戦』(新潮選書)、『戦時下の経済学者』(中公叢書)、『柴田敬』(日本経済評論社)、『昭和史講義』『昭和史講義2』(共著、ちくま新書)など。
苅部直(かるべ・ただし)【第2講】
一九六五年生まれ。東京大学法学部教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は日本政治思想史。著書『光の領国 和辻哲郎』(岩波現代文庫)、『丸山眞男』(岩波新書)、『秩序の夢』(筑摩書房)、『「維新革命」への道』(新潮選書)、『日本思想史の名著30』(ちくま新書)、『日本思想史への道案内』(NTT出版)など。
佐々木閑(ささき・しずか)【第3講】
一九五六年生まれ。花園大学文学部仏教学科教授・文学部長。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門はインド仏教の戒律、仏教哲学。著書『出家とはなにか』(大蔵出版)、『インド仏教変移論』(大蔵出版)、『科学するブッダ』(角川ソフィア文庫)、『ごまかさない仏教』(宮崎哲弥氏との共著、新潮選書)、『大乗仏教』(NHK出版新書)など。
赤坂憲雄(あかさか・のりお)【第4講】
一九五三年生まれ。学習院大学教授。福島県立博物館館長。著書『柳田国男を読む』『異人論序説』『排除の現象学』(以上、ちくま学芸文庫)、『岡本太郎の見た日本』『性食考』(岩波書店)、『象徴天皇という物語』(岩波現代文庫)、『境界の発生』(講談社学術文庫)、『山の精神史』(小学館ライブラリー)など。
千葉俊二(ちば・しゅんじ)【第5講】
一九四七年生まれ。早稲田大学名誉教授。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本近代文学。著書『谷崎潤一郎』『エリスのえくぼ』(小沢書店)『物語の法則』『物語のモラル』(青蛙房)『文学のなかの科学』(勉誠出版)、編著書『潤一郎ラビリンス』(全十六巻、中公文庫)『谷崎潤一郎の恋文』(中央公論新社)など。
前田雅之(まえだ・まさゆき)【第6講】
一九五四年生まれ。明星大学人文学部教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専門は古典学。著書『保田與重郎―近代・古典・日本』(勉誠出版)、『なぜ古典を勉強するのか』(文学通信)、『書物と権力―中世文化の政治学』(吉川弘文館)、『画期としての室町―政事・宗教・古典学』(編著、勉誠出版)など。
藤井淑禎(ふじい・ひでただ)【第7講】
一九五〇年生まれ。立教大学名誉教授。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は近現代日本文学・文化。著書『純愛の精神誌』(新潮選書)、『清張 闘う作家』(ミネルヴァ書房)、『漱石文学全注釈―こころ』(若草書房)、『名作がくれた勇気』(平凡社)など。
伊東祐吏(いとう・ゆうじ)【第8講】
一九七四年生まれ。文芸評論家。著書『「大菩薩峠」を都新聞で読む』(論創社)、『戦後論―日本人に戦争をした「当事者意識」はあるのか』(平凡社)、『丸山眞男の敗北』(講談社選書メチエ)、『無学問のすすめ』(ちくま新書)。
牧野悠(まきの・ゆう)【第9講】
一九八一年生まれ。帝京大学理工学部総合基礎科目専任講師。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代文学。論文「五味康祐「喪神」から坂口安吾「女剣士」へ―剣豪小説黎明期の典拠と方法」(『日本近代文学』第七八集)、「歴史をあざむく陰のわざ―柴田錬三郎と山田風太郎の忍法小説」(『昭和文学研究』第七六集)など。
竹田志保(たけだ・しほ)【第10講】
一九七九年生まれ。学習院大学他非常勤講師。学習院大学人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(日本語日本文学)。専門は日本近代文学。著書『吉屋信子研究』(翰林書房)。
川本三郎(かわもと・さぶろう)【第11講】
一九四四年生まれ。評論家。東京大学法学部卒業。著書『大正幻影』『荷風と東京』(以上、岩波現代文庫)、『林芙美子の昭和』(新書館)、『白秋望景』(新書館)、『あの映画に、この鉄道』(キネマ旬報社)、『日本映画 隠れた名作』(筒井清忠氏との共著、中公選書)など。
林洋子(はやし・ようこ)【第12講】
一九六五年生まれ。文化庁芸術文化調査官。東京大学、同大学院、パリ第一大学に学ぶ。博士(パリ第一大学)。専門は近現代美術史、美術評論。著書『藤田嗣治 作品をひらく』(名古屋大学出版会)、『藤田嗣治 手しごとの家』『藤田嗣治 手紙の森へ』(以上、集英社新書)など。
萩原由加里(はぎはら・ゆかり)【第13講】
一九七九年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科講師。立命館大学大学院総合学術研究科一貫制博士課程修了。博士(学術)。専門は映像文化論。マンガ史。著書『政岡憲三とその時代―「日本アニメーションの父」の戦前と戦後』『政岡憲三『人魚姫の冠』絵コンテ集』(以上、青弓社)など。
井上章一(いのうえ・しょういち)【第14講】
一九五五年生まれ。国,際日本文化研究センター教授。京都大学大学院工学研究科修士課程修了。修士(工学)。専門は建築史、意匠論。著書『つくられた桂離宮神話』『法隆寺への精神史』(以上、弘文堂)、『伊勢神宮』(講談社)など。
片山杜秀(かたやま・もりひで)【第15講】
一九六三年生まれ。思想史家、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。専門は近代政治思想史、政治文化論。著書『音楽放浪記 世界之巻』『音楽放浪記 日本之巻』(以上、ちくま文庫)、『音盤考現学』(アルテスパブリッシング)、『未完のファシズム』(新潮選書)など。

昭和史講義

【戦後篇】上

筒井 清忠

実証研究に基づき最先端の研究者が執筆する『昭和史講義』シリーズがいよいよ戦後に挑む。上巻は占領期から55年体制の成立まで、全20講で幅広いテーマを扱う。
ちくま新書1508/2020/08/05刊行/ISBN: 978-4480073402/320ページ/定価:1,210円(10%税込)
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昭和史講義

目次

まえがき筒井清忠

  1. 天皇・マッカーサー会談から象徴天皇まで福永文夫
  2. 戦後改革福永文夫
  3. シベリア抑留長勢了治
  4. 復員と引揚げ─ 戦争終結後の人の国際移動浜井和史
  5. 東京裁判─ 被告東条英機のケースから髙杉洋平
  6. 日本国憲法大石眞
  7. 新憲法と世論の変遷境家史郎
  8. 吉田茂内閣─ 時代で変化する吉田路線とワンマン宰相村井哲也
  9. 戦後共産党史─ レッドパージから六全協まで福家崇洋
  10. 朝鮮戦争と日本庄司潤一郎
  11. 再軍備から自衛隊創設まで佐道明広
  12. サンフランシスコ講和条約・日米安保条約楠綾子
  13. 李承晩ラインと漁業問題永島広紀
  14. ラストボロフ事件─ 日本を舞台とした米ソ情報戦進藤翔大郎
  15. 鳩山一郎内閣武田知己
  16. 砂川闘争・基地問題川名晋史
  17. 五五年体制の成立と展開小宮京
  18. 自民党抗争史池田慎太郎
  19. 戦後賠償問題波多野澄雄
  20. 日ソ共同宣言武田知己

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【編者/まえがき】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『満州事変はなぜ起きたのか』『陸軍士官学校事件』(以上、中公選書)、『石橋湛山』(中公叢書)、『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『昭和史講義』(編著、ちくま新書)など。
福永文夫(ふくなが・ふみお)【第1講・第2講】
一九五三年生まれ。独協大学法学部教授。神戸大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史、政治学。著書『日本占領史1945-1952』『大平正芳』(以上、中公新書)、『第二の「戦後」の形成過程』(編著、有斐閣)など。
長勢了治(ながせ・りょうじ)【第3講】
一九四九年生まれ。シベリア抑留研究者、翻訳家。北海道大学法学部卒業。著書『シベリア抑留全史』(原書房)、『シベリア抑留』(新潮選書)、『知られざるシベリア抑留の悲劇―占守島の戦士たちはどこへ連れていかれたのか』(芙蓉書房出版)、『シベリア抑留関係資料集成』(共編著、みすず書房)、訳書にV・カルポフ『シベリア抑留 スターリンの捕虜たち』(北海道新聞社)、A・グートマン『ニコラエフスクの日本人虐殺』(勉誠出版)など。
浜井和史(はまい・かずふみ)【第4講】
一九七五年生まれ。帝京大学共通教育センター准教授。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。専門は日本現代史、日本外交史。著書『海外戦没者の戦後史』(吉川弘文館)、『大日本帝国の崩壊と引揚・復員』(共著、慶應義塾大学出版会)、『復員関係史料集成』(編著、ゆまに書房)など。
髙杉洋平(たかすぎ・ようへい)【第5講】
一九七九年生まれ。帝京大学文学部史学科専任講師。国学院大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『宇垣一成と戦間期の日本政治』(吉田書店)、『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』(以上共著、ちくま新書)など。
大石眞(おおいし・まこと)【第6講】
一九五一年生まれ。京都大学名誉教授。東北大学法学部卒業。専門は憲法学、議会法、憲法史、宗教法。法学博士。著書『議院自律権の構造』『議院法制定史の研究』(以上、成文堂)、『憲法秩序への展望』『憲法と宗教制度』(有斐閣)、『憲法史と憲法解釈』(信山社)、『権利保障の諸相』(三省堂)、『統治機構の憲法構想』(法律文化社)など。
境家史郎(さかいや・しろう)【第7講】
一九七八年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科准教授。東京大学法学部卒業。東京大学博士(法学)。専門は日本政治、政治過程論。著書『憲法と世論―戦後日本人は憲法とどう向き合ってきたのか』(筑摩選書)など。
村井哲也(むらい・てつや)【第8講】
一九六九年生まれ。明治大学法学部兼任講師。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は近現代の日本政治史、日本政治論。著書『戦後政治体制の起源』(藤原書店)、『日本政治史の新地平』(共著、吉田書店)、『民主党政権失敗の検証』(共著、中公新書)、『「戦後保守」は終わったのか』(共著、角川新書)など。
福家崇洋(ふけ・たかひろ)【第9講】
一九七七年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。専門は近現代日本の社会運動史、思想史。著書『戦間期日本の社会思想―「超国家」へのフロンティア』(人文書院)、『日本ファシズム論争―大戦前夜の思想家たち』(河出書房新社)、『満川亀太郎―慷慨の志猶存す』(ミネルヴァ書房)など。
庄司潤一郎(しょうじ・じゅんいちろう)【第10講】
一九五八年生まれ。防衛省防衛研究所研究幹事。筑波大学大学院博士課程社会科学研究科単位取得退学。専門は日本近代軍事・外交史、歴史認識。著書『検証 太平洋戦争とその戦略(全三巻)』(共編著、中央公論新社)、『近代日本のリーダーシップ』(共著、千倉書房)、『アジア主義思想と現代』(共著、慶應義塾大学出版会)など。
佐道明広(さどう・あきひろ)【第11講】
一九五八年生まれ。中京大学国際学部長・学長補佐。東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史、安全保障論、沖縄研究。著書に『自衛隊史』(ちくま新書)、『戦後日本の防衛と政治』『戦後政治と自衛隊』『自衛隊史論』(以上、吉川弘文館)、『沖縄現代政治史』(吉田書店)など。
楠綾子(くすのき・あやこ)【第12講】
一九七三年生まれ。国際日本文化研究センター准教授。神戸大学大学院博士課程後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『吉田茂と安全保障政策の形成』(ミネルヴァ書房)、『現代日本政治史1 占領から独立へ』(吉川弘文館)など。
永島広紀(ながしま・ひろき)【第13講】
一九六九年生まれ。九州大学韓国研究センター教授・共創学部教授。九州大学大学院人文科学府博士後期課程単位修得満期退学。博士(文学)。専門は朝鮮近現代史、日韓関係史。著書『戦時期朝鮮における「新体制」と京城帝国大学』(ゆまに書房)、『寺内正毅と帝国日本―桜圃寺内文庫が語る新たな歴史像』(共編、勉誠出版)など。
進藤翔大郎(しんどう・しょうたろう)【第14講】
一九八七年生まれ。京都大学大学院・人間・環境学研究科博士課程在籍。専門は日本近現代史、日米関係史。論文「冷戦期情報戦の一背景としての1930年代上海」(『社会システム研究』第18号)、「犬養健関係裁判記録から見た尾崎秀実の政治的影響力」(『ゾルゲ事件関係外国語文献翻訳集』第45号)、「抑留帰還者を巡る米ソ情報戦」(『アリーナ』第20号)、「ラストボロフ事件および関・クリコフ事件」(『人間・環境学』第27号)。
武田知己(たけだ・ともき)【第15講・第20講】
一九七〇年生まれ。大東文化大学法学部教授。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程中途退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『重光葵と戦後政治』(吉川弘文館)、『日本政党史』(共編著、吉川弘文館)など。
川名晋史(かわな・しんじ)【第16講】
一九七九年生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。青山学院大学大学院国際政治経済学研究科博士後期課程修了。博士(国際政治学)。専門は国際政治学、安全保障論。著書『基地の政治学』(白桃書房)、『基地の消長1968-1973』(勁草書房)、『共振する国際政治学と地域研究』(編著、勁草書房)など。
小宮京(こみや・ひとし)【第17講】
一九七六年生まれ。青山学院大学文学部教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門は日本現代史。著書『自由民主党の誕生』(木鐸社)、『自民党政治の源流―事前審査制の史的検証』(共著、吉田書店)、『山川健次郎日記』(共編、芙蓉書房出版)など。
池田慎太郎(いけだ・しんたろう)【第18講】
一九七三年生まれ。関西大学法学部教授。筑波大学大学院博士課程社会科学研究科修了。博士(法学)。専門は戦後日本政治外交史。著書『日米同盟の政治史』(国際書院)、『現代日本政治史2 独立完成への苦闘1952-1960』(吉川弘文館)、『歴史としての日韓国交正常化Ⅰ 東アジア冷戦編』(共著、法政大学出版局)、『戦後日本首相の外交思想』(共著、ミネルヴァ書房)など。
波多野澄雄(はたの・すみお)【第19講】
一九四七年生まれ。国立公文書館アジア歴史資料センター長、外務省『日本外交文書』編纂委員長、筑波大学名誉教授。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は日本外交史。著書に『幕僚たちの真珠湾』(吉川弘文館)、『太平洋戦争とアジア外交』(東京大学出版会)、『国家と歴史』(中公新書)、『歴史としての日米安保条約』(岩波書店)、『宰相鈴木貫太郎の決断』(岩波現代全書)など。

昭和史講義

【戦後篇】下

筒井 清忠

最先端の実証研究者による『昭和史講義』シリーズ、満を持しての戦後篇。
下巻は55年体制成立以降、
主に一九五〇年代後半から高度成長期を経て昭和の終わりまでを扱う。
ちくま新書1509/2020/08/05刊行/ISBN: 978-4480073419/320ページ/定価:1,210円(10%税込)
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昭和史講義

目次

まえがき筒井清忠

  1. 石橋湛山内閣─ 高度経済成長への序曲牧野邦昭
  2. 安保改定五百旗頭薫
  3. 安保闘争と新左翼運動の形成駄場裕司
  4. 岸内閣の内政と外交城下賢一
  5. 対東南アジア外交の展開─ 一九五〇~六〇年代宮城大蔵
  6. 池田内閣と高度経済成長藤井信幸
  7. 政治家・官僚関係の新展開─ 一九五〇~六〇年代牧原出
  8. 日中民間貿易と国交正常化井上正也
  9. 東京オリンピック浜田幸絵
  10. 佐藤長期政権佐藤晋
  11. 日韓基本条約木村幹
  12. 全共闘運動・三島事件・連合赤軍事件西山伸
  13. 沖縄返還平良好利
  14. 公害・環境問題の展開小堀聡
  15. 原子力・核問題秋山信将
  16. 石油危機平野創
  17. 田中角栄の時代若月秀和
  18. ロン・ヤス関係─ 個人的信頼関係と日米外交山口航
  19. 歴史認識問題奈良岡聰智
  20. 国鉄等の民営化と新自由主義のはじまり飯尾潤
  21. バブル時代の政治村田晃嗣

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【編者/えがき】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『戦前日本のポピュリズム』(中公新書)、『近衛文麿』(岩波現代文庫)、『満州事変はなぜ起きたのか』『陸軍士官学校事件』(以上、中公選書)、『石橋湛山』(中公叢書)、『昭和戦前期の政党政治』(ちくま新書)、『昭和史講義』(編著、ちくま新書)など。
牧野邦昭(まきの・くにあき)【第1講】
一九七七年生まれ。摂南大学経済学部教授。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。専門は近代日本経済思想史。著書『経済学者たちの日米開戦』(新潮選書)、『新版 戦時下の経済学者』(中公選書)、『柴田敬』(日本経済評論社)、『昭和史講義』『昭和史講義2』(共著、ちくま新書)など。
五百旗頭薫(いおきべ・かおる)【第2講】
一九七四年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科教授。東京大学法学部卒業。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『〈噓〉の政治史―生真面目な社会の不真面目な政治』(中公選書)、『大隈重信と政党政治―複数政党制の起源明治十四年―大正三年』(東京大学出版会)、『条約改正史―法権回復への展望とナショナリズム』(有斐閣)、『自由主義の政治家と政治思想』(共編、中央公論新社)など。
駄場裕司(だば・ひろし)【第3講】
一九六四年生まれ。著述家。広島大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。著書『天皇と右翼・左翼』(ちくま新書)、『後藤新平をめぐる権力構造の研究』(南窓社)、『大新聞社―その人脈・金脈の研究 日本のパワー・エリートの系譜』(はまの出版)、『日本海軍史の研究』(共著、吉川弘文館)など。
城下賢一(じょうした・けんいち)【第4講】
一九七五年生まれ。大阪薬科大学薬学部准教授。京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本政治史。著書『「18歳選挙権」時代のシティズンシップ教育』(共著、法律文化社)、『刷新する保守』(共著、弘文堂)、『リアル・デモクラシー』(共著、岩波書店)、『変革の鍵としてのジェンダー』『比較福祉国家』(以上共著、ミネルヴァ書房)など。
宮城大蔵(みやぎ・たいぞう)【第5講】
一九六八年生まれ。上智大学総合グローバル学部教授。一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。著書『バンドン会議と日本のアジア復帰』(草思社)、『戦後アジア秩序の模索と日本』(創文社)、『現代日本外交史』(中公新書)、『戦後日本のアジア外交』(編著、ミネルヴァ書房、国際開発研究大来賞受賞)、『普天間・辺野古歪められた二〇年』(共著、集英社新書)など。
藤井信幸(ふじい・のぶゆき)【第6講】
一九五六年生まれ。東洋大学経済学部教授、博士(経済学、早稲田大学)。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。専門は近現代日本経済史。著書『テレコムの経済史』(勁草書房)、『通信と地域社会』(日本経済評論社)、『地域開発の来歴』(日本経済評論社)、『世界に飛躍したブランド戦略』(芙蓉書房)、『池田勇人』(ミネルヴァ書房)など。
牧原出(まきはら・いづる)【第7講】
一九六七年生まれ。東京大学先端科学技術研究センター教授。東京大学法学部卒業。博士(学術)。専門は行政学・日本政治史。著書『内閣政治と「大蔵省支配」―政治主導の条件』(中公叢書)、『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会)、『崩れる政治を立て直す―21世紀の日本行政改革論』(講談社現代新書)など。
井上正也(いのうえ・まさや)【第8講】
一九七九年生まれ。成蹊大学法学部教授。神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『日中国交正常化の政治史』(名古屋大学出版会)、『戦後日本のアジア外交』(共著、ミネルヴァ書房)など。
浜田幸絵(はまだ・さちえ)【第9講】
一九八三年生まれ。島根大学法文学部准教授。東京経済大学大学院コミュニケーション学研究科博士後期課程修了。博士(コミュニケーション学)。専門はメディア史。著書『日本におけるメディア・オリンピックの誕生―ロサンゼルス・ベルリン・東京』(ミネルヴァ書房)、『〈東京オリンピック〉の誕生―一九四〇年から二〇二〇年へ』(吉川弘文館)など。
佐藤晋(さとう・すすむ)【第10講】
一九六七年生まれ。二松学舎大学国際政治経済学部教授・キャリアセンター長。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了。博士(法学)。専門は日本現代史、戦後東アジアの国際関係。著書『戦後日本の歴史認識』(共著、東京大学出版会)、『戦後日本首相の外交思想』『戦後日本のアジア外交』『冷戦変容期の日本外交』(以上共著、ミネルヴァ書房)、『東アジア近現代通史 第9巻 経済発展と民主革命』(共著、岩波書店)など。
木村幹(きむら・かん)【第11講】
一九六六年生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授。京都大学大学院法学研究科博士後期課程中途退学。博士(法学)。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。著書『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』『韓国における「権威主義的」体制の成立』『日韓歴史認識問題とは何か』(以上、ミネルヴァ書房)、『民主化の韓国政治』(名古屋大学出版会)、『歴史認識はどう語られてきたか』(千倉書房、近刊)、『平成時代の日韓関係』(共編著、ミネルヴァ書房)など。
西山伸(にしやま・しん)【第12講】
一九六三年生まれ。京都大学大学文書館教授。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本近現代史、高等教育史。共著書『学校沿革史の研究 総説編』『学校沿革史の研究 大学編1』『学校沿革史の研究 大学編2』(以上、野間教育研究所紀要)、『京大生・小野君の占領期獄中日記』(京都大学学術出版会)など。
平良好利(たいら・よしとし)【第13講】
一九七二年生まれ。中京大学総合政策学部准教授。法政大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史、沖縄現代史。著書『戦後沖縄と米軍基地』(法政大学出版局)、『対話 沖縄の戦後』(共編、吉田書店)、『沖縄返還関係資料』全七巻(共編、現代史料出版)など。
小堀聡(こぼり・さとる)【第14講】
一九八〇年生まれ。名古屋大学大学院経済学研究科准教授。大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。専門は近現代日本経済史、環境史。著書『日本のエネルギー革命』(名古屋大学出版会)、『京急沿線の近現代史』(クロスカルチャー出版)など。
秋山信将(あきやま・のぶまさ)【第15講】
一九六七年生まれ。一橋大学大学院法学研究科/国際・公共政策大学院教授。一橋大学博士(法学)。専門は国際政治、特に軍備管理軍縮・不拡散および原子力政策。広島平和研究所講師、日本国際問題研究所主任研究員、在ウィーン国際機関日本政府代表部公使参事官などを経て現職。著書『核不拡散をめぐる国際政治』(有信堂)、『NPT―核のグローバル・ガバナンス』(岩波書店、編著)、『「核の忘却」の終わり』(勁草書房、共編著)など。
平野創(ひらの・そう)【第16講】
一九七八年生まれ。成城大学経済学部教授。一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。博士(商学)。専門は戦後日本経営史。著書『日本の石油化学産業』(名古屋大学出版会)、『出光興産の自己革新』(共著、有斐閣)、『日本の産業と企業』(共編著、有斐閣)、『化学産業の時代』『コンビナート統合』『コンビナート新時代』(以上、共著、化学工業日報社)など。
若月秀和(わかつき・ひでかず)【第17講】
一九七〇年生まれ。北海学園大学法学部教授。立教大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書『「全方位外交」の時代―冷戦変容期の日本とアジア1971〜80年』(日本経済評論社)、『現代日本政治史4大国日本の政治指導1972〜1989』(吉川弘文館)、『冷戦の終焉と日本外交―鈴木・中曽根・竹下政権の外政1980〜1989年』(千倉書房)など。
山口航(やまぐち・わたる)【第18講】
一九八五年生まれ。帝京大学法学部専任講師。同志社大学大学院法学研究科博士後期課程退学。博士(政治学)。専門は日米関係史。著書『安全保障の位相角』『日本外交の論点』(以上共著、法律文化社)。
奈良岡聰智(ならおか・そうち)【第19講】
一九七五年生まれ。京都大学公共政策大学院教授。京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『加藤高明と政党政治』(山川出版社)、『「八月の砲声」を聞いた日本人』(千倉書房)、『対華二十一カ条要求とは何だったのか』(名古屋大学出版会)など。
飯尾潤(いいお・じゅん)【第20講】
一九六二年生まれ。政策研究大学院大学教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は現代日本政治論。著書『民営化の政治過程―臨調型改革の成果と限界』(東京大学出版会)、『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』(中公新書)、『現代日本の政策体系―政策の模倣から創造へ』(ちくま新書)など。
村田晃嗣(むらた・こうじ)【第21講】
一九六四年生まれ。同志社大学法学部教授。神戸大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(政治学)。専攻はアメリカ外交、安全保障研究。著書『レーガン』『大統領とハリウッド』(以上、中公新書)、『銀幕の大統領ロナルド・レーガン』(有斐閣)など多数。

昭和史講義

【戦後文化篇】上

筒井 清忠

計7冊を刊行してきた『昭和史講義』シリーズの掉尾を飾る戦後文化篇。
上巻では主に思想や運動、文芸を扱い、18人の第一線の研究者が多彩な文化を描き尽くす。
ちくま新書1665/2022/07/05 刊行/ISBN:978-4-480-07496-6/352ページ/定価:1100円(10%税込)
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昭和史講義

目次

はじめに筒井清忠

  1. 丸山眞男と橋川文三─昭和超国家主義論の転換筒井清忠
  2. 鶴見俊輔─『思想の科学』と転向研究黒川創
  3. 知識人と内閣調査室岸俊光
  4. 福田恆存と保守思想宇野重規
  5. 復興・成長の経済思想牧野邦昭
  6. 戦後のベストセラー─読書ブームと名作ブーム藤井淑禎
  7. 獅子文六と復興牧村健一郎
  8. 石坂洋次郎─マルクス主義と民俗学の対立を生きる三浦雅士
  9. 石原慎太郎と太陽族難波功士
  10. 林房雄と三島由紀夫─日本「近代」への糺問者富岡幸一郎
  11. 社会派ミステリー─ 松本清張・水上勉藤井淑禎
  12. 時代小説の再興─ 五味康祐と柴田錬三郎牧野悠
  13. 有吉佐和子─ 戦後女性作家の肖像宮内淳子
  14. 小林秀雄─ 日本の戦後文化の重石新保祐司
  15. 大宅壮一と戦後マスコミ阪本博志
  16. 岡本太郎の芸術佐々木秀憲
  17. 沖縄文化宮武実知子
  18. 勤労青年の教養文化福間良明
  19. 全共闘運動─ 課題と遺産山本昭宏

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【編者/はじめに・第1講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団政策研究所主席研究員。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』『天皇・コロナ・ポピュリズム』(以上、ちくま新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』『昭和史講義【戦前文化人篇】』『昭和史講義【戦後篇】上・下』『明治史講義【人物篇】』『大正史講義』『大正史講義【文化篇】』(以上編著、ちくま新書)、『日本型「教養」の運命』(岩波現代文庫)、『日本映画 隠れた名作』(川本三郎との共著、中公選書)、『西條八十』(中公文庫)、『時代劇映画の思想』(ウェッジ文庫)、『西條八十と昭和の時代』(編著、ウェッジ選書)など。
黒川 創(くろかわ・そう)【第2講】
一九六一年生まれ。作家。同志社大学文学部文化学科文化史専攻(日本史)卒業。創作のほか、文学をめぐる論考、伝記などを手がける。著書『ウィーン近郊』(新潮社)、『京都』(新潮社)、『国境 完全版』(河出書房新社)など。
岸 俊光(きし・としみつ)【第3講】
一九六一年生まれ。一般社団法人アジア調査会常務理事・事務局長、毎日新聞客員編集委員、NPO法人インテリジェンス研究所特別研究員。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は情報政治。著書『核武装と知識人―内閣調査室でつくられた非核政策』(勁草書房)、『内閣調査室秘録―戦後思想を動かした男』(編著、文春新書)など。
宇野重規(うの・しげき)【第4講】
一九六七年生まれ。東京大学社会科学研究所教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門は政治思想史、政治哲学。著書『政治哲学へ』(東京大学出版会)、『民主主義のつくり方』(筑摩選書)、『民主主義とは何か』(講談社現代新書)、『近代日本思想選 福沢諭吉』(編集、ちくま学芸文庫)など。
牧野邦昭(まきの・くにあき)【第5講】
一九七七年生まれ。慶應義塾大学経済学部教授。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。専門は近代日本経済思想史。著書『経済学者たちの日米開戦』(新潮選書)、『新版 戦時下の経済学者』(中公選書)、『柴田敬』(日本経済評論社)など。
藤井淑禎(ふじい・ひでただ)【第6講・第11講】
一九五〇年生まれ。立教大学名誉教授。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は近現代日本文学・文化。著書『乱歩とモダン東京』(筑摩選書)、『純愛の精神誌』(新潮選書)、『清張 闘う作家』(ミネルヴァ書房)、『漱石文学全注釈―こころ』(若草書房)、『名作がくれた勇気』(平凡社)、『水上勉―文学・思想・人生』(名古屋大学出版会)など。
牧村健一郎(まきむら・けんいちろう)【第7講】
一九五一年生まれ。ジャーナリスト。早稲田大学政経学部卒業。朝日新聞入社後、学芸部、be編集部などで昭和史、夏目漱石、書評欄を担当。著書『漱石と鉄道』『日中をひらいた男 高碕達之助』(以上、朝日選書)、『新聞と戦争』(編著、朝日文庫)、『評伝 獅子文六―二つの昭和』(ちくま文庫)など。
三浦雅士(みうら・まさし)【第8講】
一九四六年生まれ。文芸評論家。『ユリイカ』『現代思想』『ダンスマガジン』『大航海』編集長を歴任。著書『私という現象』『青春の終焉』(以上、講談社学術文庫)、『身体の零度』(講談社選書メチエ)、『出生の秘密』『孤独の発明』『石坂洋次郎の逆襲』『スタジオジブリの想像力』(以上、講談社)、『考える身体』(河出文庫)など。
難波功士(なんば・こうじ)【第9講】
一九六一年生まれ。関西学院大学社会学部教授、大学図書館長。東京大学大学院社会学研究科修了。博士(社会学)。専門は広告史、ポピュラー・カルチャー論など。著書『族の系譜学―ユース・サブカルチャーズの戦後史』(青弓社)、『広告で社会学』(弘文堂)など。
富岡幸一郎(とみおか・こういちろう)【第10講】
一九五七年生まれ。文芸評論家。関東学院大学国際文化学部教授。中央大学文学部仏文科卒業。著書『使徒的人間カール・バルト』(講談社文芸文庫)、『川端康成 魔界の文学』(岩波現代全書)、『天皇論―江藤淳と三島由紀夫』(文藝春秋)など。
牧野 悠(まきの・ゆう)【第12講】
一九八一年生まれ。帝京大学宇都宮キャンパスリベラルアーツセンター専任講師。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代文学。著書『昭和史講義【戦前文化人篇】』『大正史講義【文化篇】』(以上共著、ちくま新書)など。
宮内淳子(みやうち・じゅんこ)【第13講】
一九五五年生まれ。近代文学研究者。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程修了。博士(人文科学)。専門は日本近現代文学。著書『藤枝静男論―タンタルスの小説』(エディトリアルデザイン研究所)、『岡本かの子論』(EDI)、編著『有吉佐和子の世界』(翰林書房)など。
新保祐司(しんぽ・ゆうじ)【第14講】
一九五三年生まれ。文芸批評家。都留文科大学名誉教授。東京大学文学部仏文科卒業。著書『内村鑑三』(文春学藝ライブラリー)、『信時潔』『国のさゝやき』(以上、構想社)、『フリードリヒ崇高のアリア』(角川学芸出版)、『シベリウスと宣長』(港の人)、『「海道東征」への道』『明治の光内村鑑三』(以上、藤原書店)など。
阪本博志(さかもと・ひろし)【第15講】
一九七四年生まれ。帝京大学文学部社会学科教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。専門は社会学、メディア史、出版文化論。著書『『平凡』の時代―1950年代の大衆娯楽雑誌と若者たち』(昭和堂)、『大宅壮一の「戦後」』(人文書院)、『江戸川乱歩大事典』(共編著、勉誠出版)、『大宅壮一文庫解体新書―雑誌図書館の全貌とその研究活用』(編著、勉誠出版)など。
佐々木秀憲(ささき・ひでのり)【第16講】
一九六一年生まれ。美術史家。元川崎市岡本太郎美術館学芸担当係長。慶應義塾大学大学院前期博士課程修了。論文「美術史学としての岡本太郎研究」により帝京大学より博士(文学)号を授与される。著書『もっと知りたい岡本太郎―生涯と作品』(東京美術)など。
宮武実知子(みやたけ・みちこ)【第17講】
一九七二年生まれ。文筆業。京都大学大学院博士課程単位取得退学(社会学)。日本学術振興会特別研究員(国際日本文化研究センター)などを経て、二〇〇八年沖縄移住。著書『輿論研究と世論調査』(共著、新曜社)、訳書『英霊』(ジョージ・L・モッセ著、ちくま学芸文庫)など。
福間良明(ふくま・よしあき)【第18講】
一九六九年生まれ。立命館大学産業社会学部教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専攻は歴史社会学、メディア史。著書『「戦争体験」の戦後史―世代・教養・イデオロギー』(中公新書)、『焦土の記憶―沖縄・広島・長崎に映る戦後』(新曜社)、『「戦跡」の戦後史』(岩波現代全書)、『二・二六事件の幻影―戦後大衆文化とファシズムへの欲望』(筑摩書房)、『「働く青年」と教養の戦後史―「人生雑誌」と読者のゆくえ』(筑摩選書)など。
山本昭宏(やまもと・あきひろ)【第19講】
一九八四年生まれ。神戸市外国語大学外国語学部准教授。京都大学大学院文学研究科現代文化学専攻二十世紀学専修博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史、メディア文化史、歴史社会学。著書『核と日本人―ヒロシマ・ゴジラ・フクシマ』『戦後民主主義―現代日本を創った思想と文化』(以上、中公新書)、『大江健三郎とその時代―戦後に選ばれた小説家』(人文書院)など。

昭和史講義

【戦後文化篇】下

筒井清忠

昭和史講義シリーズ最終刊の下巻では、戦後に黄金期を迎えた日本映画界を中心に、
映像による多彩な大衆文化・サブカルチャーを主に扱う。昭和史研究の総決算。
ちくま新書1666/2022/07/05 刊行/ISBN:978-4-480-07497-3/352ページ/定価:1100円(10%税込)
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昭和史講義

目次

はじめに筒井清忠

  1. 戦後の木下惠介と戦争花田史彦
  2. 『君の名は』と松竹メロドラマ北浦寛之
  3. 成瀬巳喜男─ 映画の面影川本三郎
  4. ゴジラ映画谷川建司
  5. サラリーマンと若大将─ 東宝シリーズ映画西村大志
  6. 新東宝の大衆性・右翼性・未来性片山杜秀
  7. 『叛乱』─ 日本における政治歴史映画の特質筒井清忠
  8. 三隅研次と大映時代劇吉田広明
  9. 日活青春映画─ 「御三家」と吉永小百合藤井淑禎
  10. 東映時代劇筒井清忠
  11. 任俠映画興亡史─ 暗闇における殺戮のカタルシス二階堂卓也
  12. 「幕末維新」映画─ 大衆イメージに見る明治維新筒井清忠
  13. 菊田一夫─ 歯を喰いしばる人生神山彰
  14. 少年少女ヒーローとヒロイン─ 『赤胴鈴之助』から『リボンの騎士』まで樋口尚文
  15. 東映動画とスタジオジブリ萩原由加里
  16. 長谷川町子、手塚治虫と戦後の漫画観夏目房之介
  17. 『平凡』と大衆文化阪本博志
  18. 朝ドラ─ 主婦層を支えたビルドゥングスロマン竹内里欧
  19. 被曝者・伊福部昭と水爆大怪獣・ゴジラ片山杜秀

編・執筆者紹介

筒井清忠(つつい・きよただ)【編者/はじめに・第7講・第10講・第12講】
一九四八年生まれ。帝京大学文学部長・大学院文学研究科長。東京財団政策研究所主席研究員。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書『昭和戦前期の政党政治』『天皇・コロナ・ポピュリズム』(以上、ちくま新書)、『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』『昭和史講義【戦前文化人篇】』『昭和史講義【戦後篇】上・下』『明治史講義【人物篇】』『大正史講義』『大正史講義【文化篇】』(以上編著、ちくま新書)、『日本型「教養」の運命』(岩波現代文庫)、『日本映画 隠れた名作』(川本三郎との共著、中公選書)、『西條八十』(中公文庫)、『時代劇映画の思想』(ウェッジ文庫)、『西條八十と昭和の時代』(編著、ウェッジ選書)など。
花田史彦(はなだ・ふみひこ)【第1講】
一九九一年生まれ。大阪商業大学・大手前大学・岡山大学・同志社大学・立命館大学非常勤講師。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専門はメディア史。著書『生活綴方で編む「戦後史」』(共著、岩波書店)、『映画産業史の転換点』(共著、森話社)、『運動としての大衆文化』(共著、水声社)、論文「社会を変える映画論の射程―映画評論家・岩崎昶の「大衆」観を中心に」(『マス・コミュニケーション研究』九二号)など。
北浦寛之(きたうら・ひろゆき)【第2講】
一九八〇年生まれ。開智国際大学国際教養学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は映画学、メディア研究。著書『テレビ成長期の日本映画―メディア間交渉のなかのドラマ』(名古屋大学出版会)、『〈ポスト3・11〉メディア言説再考』(共著、法政大学出版局)、『日本大衆文化史』(共著、KADOKAWA)など。
川本三郎(かわもと・さぶろう)【第3講】
一九四四年生まれ。評論家。東京大学法学部卒業。著書『大正幻影』『荷風と東京』(以上、岩波現代文庫)、『林芙美子の昭和』『白秋望景』(以上、新書館)、『あの映画に、この鉄道』(キネマ旬報社)、『日本映画 隠れた名作』(筒井清忠との共著、中公選書)、『成瀬巳喜男 映画の面影』(新潮選書)など。
谷川建司(たにかわ・たけし)【第4講】
一九六二年生まれ。映画ジャーナリスト・早稲田大学大学院客員教授。一橋大学社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門は映画史。一九九七年に第一回京都映画文化賞受賞。主著に『アメリカ映画と占領政策』(京都大学学術出版会)、『戦後「忠臣蔵」映画の全貌』(集英社クリエイティブ)、『イージー・ライダー 敗け犬たちの反逆』(径書房)、『高麗屋三兄弟と映画』『近衛十四郎十番勝負』(以上、雄山閣)など。
西村大志(にしむら・ひろし)【第5講】
一九七三年生まれ。広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は文化社会学、歴史社会学。著書『映画は社会学する』(共編著、法律文化社)、『夜食の文化誌』(編著、青弓社ライブラリー)、『小学校で椅子に座ること』(国際日本文化研究センター)など。
片山杜秀(かたやま・もりひで)【第6講・第19講】
一九六三年生まれ。思想史家、音楽評論家。慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。専門は近代政治思想史、政治文化論。著書『音楽放浪記 世界之巻』『音楽放浪記 日本之巻』(以上、ちくま文庫)、『近代日本の右翼思想』(講談社選書メチエ)、『未完のファシズム』『尊皇攘夷』(以上、新潮選書)など。
吉田広明(よしだ・ひろあき)【第8講】
一九六四年生まれ。映画評論家。著書『B級ノワール論 ハリウッド転換期の巨匠たち』『亡命者たちのハリウッド 歴史と映画史の結節点』『西部劇論 その誕生から終焉まで』(以上、作品社)など。
藤井淑禎(ふじい・ひでただ)【第9講】
一九五〇年生まれ。立教大学名誉教授。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専門は近現代日本文学・文化。著書『乱歩とモダン東京』(筑摩選書)、『純愛の精神誌』(新潮選書)、『清張 闘う作家』(ミネルヴァ書房)、『漱石文学全注釈―こころ』(若草書房)、『名作がくれた勇気』(平凡社)、『水上勉―文学・思想・人生』(名古屋大学出版会)など。
二階堂卓也(にかいどう・たくや)【第11講】
一九四七年生まれ。上智大学文学部新聞学科卒業。秋田書店で「週刊少年チャンピオン」「プレイコミック」編集部勤務のかたわら「キネマ旬報」その他に映画評論を寄せる。著書『マカロニアクション大全』『剣とサンダルの挽歌』(以上、洋泉社)、『荒野とドルと拳銃と』『洋ピン映画史』『漫曲グラフィティ』(以上、彩流社)など。
神山 彰(かみやま・あきら)【第13講】
一九五〇年生まれ。明治大学名誉教授。一九七八年より一八年間国立劇場で歌舞伎・新派の製作に携わる。専門は近代日本演劇。著書『近代演劇の水脈』『近代演劇の脈拍』(以上、森話社)、『忘れられた演劇』『商業演劇の光芒』『興行とパトロン』(以上編著、森話社)など。
樋口尚文(ひぐち・なおふみ)【第14講】
一九六二年生まれ。映画評論家、映画監督。早稲田大学政治経済学部卒業。著書『テレビヒーローの創造』『黒澤明の映画術』『『砂の器』と『日本沈没』』(以上、筑摩書房)、『有馬稲子 わが愛と残酷の映画史』『秋吉久美子 調書』(以上共著、筑摩書房)、『万華鏡の女 女優ひし美ゆり子』(共著、ちくま文庫)、『大島渚全映画秘蔵資料集成』(編著、国書刊行会)など。
萩原由加里(はぎはら・ゆかり)【第15講】
一九七九年生まれ。帝京大学文学部日本文化学科講師。立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。博士(学術)。専門は映像文化論、アニメーション史、マンガ史。著書『政岡憲三とその時代―「日本アニメーションの父」の戦前と戦後』(青弓社)、『政岡憲三『人魚姫の冠』絵コンテ集』(編著、青弓社)など。
夏目房之介(なつめ・ふさのすけ)【第16講】
一九五〇年生まれ。フリーライター。元学習院大学教授。専門はマンガ研究。著書『手塚治虫はどこにいる』(ちくまライブラリー)、『マンガはなぜ面白いのか』(NHKライブラリー)、『あの頃マンガは思春期だった』(ちくま文庫)など。
阪本博志(さかもと・ひろし)【第17講】
一九七四年生まれ。帝京大学文学部社会学科教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。専門は社会学、メディア史、出版文化論。著書『『平凡』の時代―1950年代の大衆娯楽雑誌と若者たち』(昭和堂)、『大宅壮一の「戦後」』(人文書院)、『江戸川乱歩大事典』(共編著、勉誠出版)、『大宅壮一文庫解体新書―雑誌図書館の全貌とその研究活用』(編著、勉誠出版)など。
竹内里欧(たけうち・りお)【第18講】
一九七六年生まれ。京都大学大学院教育学研究科准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学、京都大学)。専門は文化社会学、教育社会学。博士論文『オクシデンタリズムと近代日本―「紳士」という表象を中心に―』、論文「「近代主義の残像」としてのフィンランド教育ブーム」(佐藤卓己編『岩波講座 現代 第八巻 学習する社会の明日』岩波書店)、論文「成長なき時代の「成長物語」―NHK『連続テレビ小説』にみる―」(『研究紀要 教育・社会・文化』第二〇号)など。

平成史講義

吉見俊哉

平成とは、戦後日本的なものが崩れ落ち、革新の試みが挫折した30年間だった。
政治、経済、雇用、メディア。第一線の研究者がその隘路と活路を描く決定版通史。
ちくま新書1385/2019/02/05刊行/ISBN:978-4-480-07198-9/304ページ/定価:990円(10%税込)
平成史講義

目次

  1. 昭和の終焉吉見俊哉
  2. 「改革」の帰結野中尚人
  3. 官僚制・自治制の閉塞金井利之
  4. 会社の行方石水喜夫
  5. 若者の困難・教育の陥穽本田由紀
  6. メディアの窮状音 好宏
  7. 平成リベラルの消長と功罪北田暁大
  8. 中間層の空洞化新倉貴仁
  9. 冷戦の崩壊佐道明広
  10. アメリカの後退・日本の漂流吉見俊哉

編・執筆者紹介

吉見俊哉(よしみ・しゅんや)【編者/まえがき・第1講・第10講】
一九五七年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は社会学・文化研究。著書『夢の原子力』(ちくま新書)、『ポスト戦後社会』『親米と反米』『大学とは何か』『トランプのアメリカに住む』(以上、岩波新書)、『「文系学部廃止」の衝撃』『大予言』『戦後と災後の間』(以上、集英社新書)、 『天皇とアメリカ』(集英社新書、テッサ・モーリス‐スズキとの共著)など多数。
野中尚人(のなか・なおと)【第2講】
一九五八年生まれ。学習院大学法学部教授。東京大学大学院総合文化研究科国際関係論専攻博士課程修了。博士(学術)。専門は比較政治学。著書に『自民党政治の終わり』(ちくま新書)、『自民党政権下の政治エリート』(東京大学出版会)、共著に『民主政とポピュリズム』(筑摩選書)、『公務員制度改革』『公務員人事改革』(以上、学陽書房)、 『さらばガラパゴス政治』(日本経済新聞出版社)など。
金井利之(かない・としゆき)【第3講】
一九六七年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科教授。東京大学法学部卒業。同助手、東京都立大学法学部助教授を経て現職。専門は自治体行政学。著書に『行政学講義』(ちくま新書)、『自治制度』『財政調整の一般理論』(以上、東京大学出版会)、『実践自治体行政学』(第一法規)、『原発と自治体』(岩波ブックレット)、共著に『地方創生 の正体』(ちくま新書)、『原発被災地の復興シナリオ・プランニング』(共編著、公人の友社)『縮減社会の合意形成』 (編著、第一法規)など。
石水喜夫(いしみず・よしお)【第4講】
一九六五年生まれ。大東文化大学経済研究所兼任研究員、元京都大学教授。立教大学経済学部経済学科卒業。専門は労働経済、労使関係。著書に『日本型雇用の真実』(ちくま新書)、『ポスト構造改革の経済思想』(新評論)、『現代日本の労働経済』(岩波書店)など。
本田由紀(ほんだ・ゆき)【第5講】
一九六四年生まれ。東京大学大学院教育学研究科教授。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。専門は教育社会学。著書に『教育の職業的意義』『もじれる社会』(以上、ちくま新書)、『軋む社会』(河出文庫)、『社会を結びなおす』(岩波ブックレット)、『「家庭教育」の隘路』(勁草書房)、『若者と仕事』(東京大学出版会)、『多元化する「能力」と日本社会』(NTT出版)、『学校の「空気」』(岩波書店)など。
音好宏(おと・よしひろ)【第6講】
一九六一年生まれ。上智大学文学部新聞学科教授。上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士後期課程修了。専門はメディア論。NPO法人放送批評懇談会理事長、衆議院総務調査室客員研究員などを務める。著書に『放送メディアの現代的展開』(ニューメディア)、共編著に『総合的戦略論ハンドブック』(ナカニシヤ出版)など。
北田暁大(きただ・あきひろ)【第7講】
一九七一年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。東京大学大学院人文社会系研究科社会文化研究専攻博士課程単位取得退学。博士(社会情報学)。専門は社会学、メディア論。著書に『終わらない「失われた20年」』(筑摩選書)、『社会制作の方法』(けいそうブックス)、『広告の誕生』(岩波現代文庫)、『〈意味〉への抗い』(せりか書房)、『嗤う 日本の「ナショナリズム」』(NHKブックス)など多数。
新倉貴仁(にいくら・たかひと)【第8講】
一九七八年生まれ、成城大学文芸学部准教授。東京大学大学院情報学環・学際情報学府修了。博士(社会情報学)。専門は文化社会学、メディア論。著書に『「能率」の共同体』(岩波書店)、共著に『一九六四年東京オリンピックは何を生んだのか』(青弓社)、『文化社会学の条件』(日本図書センター)、『戦後思想の再審判』(法律文化社)、論文に 「都市とスポーツ ― 皇居ランの生‐政治」(「iichiko」第126 号)など。
佐道明広(さどう・あきひろ)【第9講】
一九五八年生まれ。中京大学総合政策学部教授。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は日本政治外交史。著書に『自衛隊史』(ちくま新書)、『戦後日本の防衛と政治』『戦後政治と自衛隊』『「改革」政治の混迷』『自衛隊史論』(以上、吉川弘文館)、『沖縄現代政治史』(吉田書店)など。

近世史講義

── 女性の力を問いなおす

高埜 利彦

第一線の実証史学研究者が
最新研究に基づき江戸時代の実像に迫る。
特に女性が持った力と果たした役割を多角的に検証。
通史としても読める全く新しい形の入門書。
ちくま新書1469/2020/01/06刊行/ISBN: 978-4-480-07282-5/272ページ/定価:946円(10%税込)
近世史講義

目次

  1. 織豊政権と近世の始まり牧原成征
  2. 徳川政権の確立と大奥――政権期の成立から家綱政権まで福田千鶴
  3. 天皇・朝廷と女性久保貴子
  4. 「四つの口」――長崎の女性松井洋子
  5. 村と女性吉田ゆり子
  6. 元禄時代と享保改革高埜利彦
  7. 武家政治を支える女性柳谷慶子
  8. 多様な身分――巫女西田かほる
  9. 対外的な圧力――アイヌの女性岩﨑奈緒子
  10. 寛政と天保の改革高埜利彦
  11. 女性褒賞と近世国家――官刻出版物『孝義録』の編纂事情小野 将
  12. 近代に向かう商品生産と流通髙部淑子
  13. 遊女の終焉へ横山百合子
  14. 女人禁制を超えて――不二道の女性宮崎ふみ子

編・執筆者紹介

高埜利彦(たかの・としひこ)【編者/はじめに・第6講・第10講・おわりに】
一九四七年生まれ。学習院大学名誉教授。東京大学文学部卒業。専門は日本近世史。著書『近世日本の国家権力と宗教』(東京大学出版会)、『近世の朝廷と宗教』(吉川弘文館)、『天下泰平の時代(シリーズ日本近世史3)』(岩波新書)、『江戸時代の神社(日本史リブレット)』(山川出版社)など。
牧原成征(まきはら・しげゆき)【第1講】
一九七二年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。専門は日本近世史。著書『近世の土地制度と在地社会』(東京大学出版会)、『近世の権力と商人』(編著、山川出版社)、『十七世紀日本の秩序形成』(共編著、吉川弘文館)など。
福田千鶴(ふくだ・ちづる)【第2講】
一九六一年生まれ。九州大学基幹教育院教授。九州大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本近世史。著書『幕藩制的秩序と御家騒動』(校倉書房)、『淀殿』(ミネルヴァ書房)、『豊臣秀頼』(吉川弘文館)など。『近世武家社会の奥向構造』(吉川弘文館)にて第十七回徳川賞を受賞。
久保貴子(くぼ・たかこ)【第3講】
一九六〇年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は日本近世史。著書『近世の朝廷運営』(岩田書院)、『徳川和子(人物叢書)』(吉川弘文館)、『後水尾天皇(ミネルヴァ日本評伝選)』(ミネルヴァ書房)。
松井洋子(まつい・ようこ)【第4講・コラム1】
一九五七年生まれ。東京大学史料編纂所教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本近世史。論文「長崎出島と唐人屋敷」(『日本の時代史14 江戸幕府と東アジア』吉川弘文館)、「ジェンダーからみる近世日本の対外関係」(『日本の対外関係6 近世的世界の成熟』吉川弘文館)など。
吉田ゆり子(よしだ・ゆりこ)【第5講・コラム2】
一九五八年生まれ。東京外国語大学教授。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近世史。著書『近世の家と女性』(山川出版社)、『兵農分離と地域社会』(校倉書房)、『兵と農の分離』(山川出版社)など。
柳谷慶子(やなぎや・けいこ)【第7講】
一九五五年生まれ。東北学院大学文学部教授。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専門は日本近世史。著書『近世の女性相続と介護』(吉川弘文館)、『江戸時代の老いと看取り(日本史リブレット)』(山川出版社)、『〈江戸〉の人と身分4 身分のなかの女性』(共編著、吉川弘文館)など。
西田かほる(にしだ・かおる)【第8講】
一九六四年生まれ。静岡文化芸術大学教授。学習院大学人文科学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本近世史。著書『近世甲斐国社家組織の研究』(山川出版社)。
岩﨑奈緒子(いわさき・なおこ)【第9講】
一九六一年生まれ。京都大学総合博物館教授。京都大学文学部卒業。専門は日本近世史。著書『日本近世のアイヌ社会』(校倉書房)、『日本の歴史25 日本はどこへ行くのか』(共著、講談社学術文庫)、論文「世界認識の転換」(『岩波講座日本歴史』第13巻)など。
小野将(おの・しょう)【第11講】
一九六九年生まれ。東京大学史料編纂所准教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門は日本近世史。論文「日本近世の政治文化」(歴史学研究会編『国家像・社会像の変貌』青木書店)、「新自由主義の時代と歴史学の課題Ⅱ」(歴史学研究会編『現代歴史学の成果と課題1 新自由主義時代の歴史学』績文堂出版)など。
髙部淑子(たかべ・としこ)【第12講】
一九六三年生まれ。日本福祉大学知多半島総合研究所教授。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。専門は日本近世史。論文「幕末・明治初年における常滑焼の流通」(『知多半島の歴史と現在』一六)、「知多半島の醸造業と廻船」(『知多半島の歴史と現在』二二)、「近世後期の庶民生活と物流」(『歴史と地理』六一〇)。
横山百合子(よこやま・ゆりこ)【第13講】
一九五六年生まれ。国立歴史民俗博物館教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。専門は日本近世史。著書『明治維新と近世身分制の解体』(山川出版社)、『江戸東京の明治維新』(岩波新書)、『講座明治維新9 明治維新と女性』(共著、有志舎)など。
宮崎ふみ子(みやざき・ふみこ)【第14講】
一九四八年生まれ。恵泉女学園大学名誉教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本近世史。著書『富士山と日本人』(共著、青弓社)、『日本の時代史20 開国と幕末の動乱』(共著、吉川弘文館)、『歴史における周縁と共生 ―― 女性・穢れ・衛生』(共著、思文閣出版)。

思想史講義

【大正篇】

山口輝臣 福家崇洋

明治~戦前昭和の思想史を通覧するシリーズ全4巻の第1回配本。
明治以来の「国体」の確立と文明化推進が大正期にいかに変容したかを、
実証的・多面的に描き出す。
ちくま新書1673/2022/08/04 刊行/ISBN:978-4-480-07502 -4/320ページ/定価:1034円(10%税込)
思想史講義

目次

  1. 憲政擁護論小山俊樹
  2. 天皇機関説論争住友陽文
  3. 民本主義平野敬和
  4. 教養主義松井健人
  5. 大正マルクス主義黒川伊織
  6. 大正アナーキズム梅森直之
  7. アジア主義と国家改造論萩原稔
  8. 民族自決論小野容照
  9. 小日本主義と自由主義望月詩史
  10. 女性解放思想小嶋翔
  11. 新教育和崎光太郎
  12. 皇道大本と「大正維新」永岡崇
  13. 水平社の思想佐々木政文
  14. 関東大震災と民衆北原糸子
  15. 政党政治論奈良岡聰智
  1. 雑誌メディアと読者
  2. 生存権の思想
  3. 文化主義
  4. 日ソ国交論
  5. 労働運動論
  6. 思想史のなかの「院外青年」
  7. 植民地政策論
  8. 国際協調主義
  9. パンデミック精神史の断片
  10. 能率増進論と科学的管理法
  11. 社会政策・社会事業論

編・執筆者紹介

山口輝臣(やまぐち・てるおみ)【編者】
一九七〇年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。東京大学大学院博士課程修了。専門は日本近代史。著書『明治国家と宗教』(東京大学出版会)、『明治神宮の出現』(吉川弘文館)、『天皇の歴史9 天皇と宗教』(共著、講談社学術文庫)、『はじめての明治史』(編著、ちくまプリマー新書)など。
福家崇洋(ふけ・たかひろ)【編者】
一九七七年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専門は近現代日本の社会運動史、思想史。著書『戦間期日本の社会思想』(人文書院)、『日本ファシズム論争』(河出書房新社)、『満川亀太郎』(ミネルヴァ書房)など。
小山俊樹(こやま・としき)【第1講】
一九七六年生まれ。帝京大学文学部史学科教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は日本近現代政治史。著書『五・一五事件―海軍青年将校たちの「昭和維新」』(中公新書)、『評伝森恪―日中対立の焦点』(ウェッジ)、『憲政常道と政党政治―近代日本二大政党制の構想と挫折』(思文閣出版)など。
住友陽文(すみとも・あきふみ)【第2講】
一九六三年生まれ。大阪公立大学大学院現代システム科学研究科教授。関西大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間科学)。専門は日本近現代史。著書『皇国日本のデモクラシー―個人創造の思想史』(有志舎)、『立憲主義の「危機」とは何か』(共編著、すずさわ書店)、『核の世紀―日本原子力開発史』(共編著、東京堂出版)など。
平野敬和(ひらの・ゆきかず)【第3講】
一九七三年生まれ。岩手大学教学マネジメントセンター准教授。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本政治思想史。著書『丸山眞男と橋川文三―「戦後思想」への問い』(教育評論社)、『近代日本の対外認識Ⅰ』(共著、彩流社)、『「戦後民主主義」の歴史的研究』(共著、法律文化社)など。
松井健人(まつい・けんと)【第4講】
一九九二年生まれ。日本学術振興会特別研究員PD。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専門は図書館情報学・教育学、日独教養思想史。論文「ヴァイマル共和国における「俗悪図書から青少年を保護する法律」(一九二六)の審議過程の再検討」(『日本の教育史学』第六四巻)、「ドイツ民衆図書館における路線論争―開架制と閉架制を巡る対立」(『図書館界』第七一巻第四号)など。
黒川伊織(くろかわ・いおり)【第5講】
一九七四年生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科協力研究員。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は社会運動史、日本思想史。著書『帝国に抗する社会運動―第一次日本共産党の思想と運動』(有志舎)、『戦争・革命の東アジアと日本のコミュニスト―1920―1970年』(有志舎)など。
梅森直之(うめもり・なおゆき)【第6講】
一九六二年生まれ。早稲田大学政治経済学術院教授。シカゴ大学政治学部Ph. D。専門は日本政治思想史。著書『初期社会主義の地形学―大杉栄とその時代』(有志舎)、『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』(編著、光文社)、『和解学の試み―記憶・感情・価値』(共著、明石書店)など。
萩原稔(はぎはら・みのる)【第7講】
一九七四年生まれ。大東文化大学法学部教授。同志社大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(政治学)。専門は日本政治思想史。著書『北一輝の「革命」と「アジア」』(ミネルヴァ書房)、『近代日本の対外認識Ⅰ・Ⅱ』(共編著、彩流社)、『大正・昭和期の日本政治と国際秩序―転換期における「未発の可能性」をめぐって』(共編著、思文閣出版)など。
小野容照(おの・やすてる)【第8講】
一九八二年生まれ。九州大学大学院人文科学研究院准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は朝鮮近代史。著書『朝鮮独立運動と東アジア1910―1925』(思文閣出版)、『帝国日本と朝鮮野球―憧憬とナショナリズムの隘路』(中央公論新社)、『韓国「建国」の起源を探る―三・一独立運動とナショナリズムの変遷』(慶應義塾大学出版会)など。
望月詩史(もちづき・しふみ)【第9講】
一九八二年生まれ。同志社大学法学部准教授。同志社大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程修了。博士(政治学)。専門は近現代日本政治思想史。著書『石橋湛山の〈問い〉―日本の針路をめぐって』(法律文化社)、『「戦後民主主義」の歴史的研究』(共編著、法律文化社)、『ハンドブック近代日本政治思想史―幕末から昭和まで』(共編著、ミネルヴァ書房)など。
小嶋翔(こじま・しょう)【第10講】
一九八四年生まれ。吉野作造記念館主任研究員、東北大学史料館協力研究員。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は近代日本思想史、社会思想史。著書『近代日本における私生活と政治 与謝野晶子と平塚らいてう―自己探求の思想』(東北大学出版会)、論文「「社会主義者」としての吉野作造」(『日本史研究』六八七号)など。
和崎光太郎(わさき・こうたろう)【第11講】
一九七七年生まれ。東京福祉大学保育児童学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。専門は近現代日本の教育史、学校資料論。著書『明治の〈青年〉―立志・修養・煩悶』(ミネルヴァ書房)、『男女共学の成立―受容の多様性とジェンダー』(共著、六花出版)、『学校資料の未来―地域資料としての保存と活用』(共著、岩田書院)など。
永岡崇(ながおか・たかし)【第12講】
一九八一年生まれ。駒澤大学総合教育研究部講師。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専門は近代宗教史。著書『新宗教と総力戦―教祖以後を生きる』(名古屋大学出版会)、『宗教文化は誰のものか―大本弾圧事件と戦後日本』(名古屋大学出版会)、『親密なる帝国―朝鮮と日本の協力、そして植民地近代性』(監訳書、ナヨン・エィミー・クォン著、人文書院)など。
佐々木政文(ささき・まさや)【第13講】
一九八八年生まれ。京都先端科学大学人文学部専任講師。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近代社会思想史。論文「一九一〇年代奈良県における民衆教化政策と被差別部落」(『史学雑誌』一二四―四)、「昭和初期司法省の転向誘発政策と知的情報統制」(『歴史学研究』九六五)、「一九一〇年代の貯蓄奨励運動と被差別部落」(『部落問題研究』二三八)など。
北原糸子(きたはら・いとこ)【第14講】
一九三九年生まれ。立命館大学歴史都市防災研究所客員研究員。東京教育大学大学院日本史専攻修士課程修了。専門は災害社会史研究。著書『日本震災史』(ちくま新書)、『地震の社会史―安政大地震と民衆』(吉川弘文館)、『関東大震災の社会史』(朝日選書)、『震災と死者―東日本大震災・関東大震災・濃尾地震』(筑摩選書)、『日本歴史災害事典』(共編著、吉川弘文館)など。
奈良岡聰智(ならおか・そうち)【第15講】
一九七五年生まれ。京都大学公共政策大学院教授。京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は日本政治外交史。著書『加藤高明と政党政治』(山川出版社)、『「八月の砲声」を聞いた日本人』(千倉書房)、『対華二十一ヵ条要求とは何だったのか』(名古屋大学出版会)など。
水谷悟(みずたに・さとる)【コラム1】
一九七三年生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部教授。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近現代史(思想史・メディア史)。著書『雑誌『第三帝国』の思想運動―茅原華山と大正地方青年』(ぺりかん社)、論文「デモクラシーからファッショへ―室伏高信の官僚論」(中野目徹編『官僚制の思想史』吉川弘文館)、「雑誌『種蒔く人』の読者層―投書欄の分析を手がかりに」(『近代史料研究』二一)など。
武藤秀太郎(むとう・しゅうたろう)【コラム2】
一九七四年生まれ。新潟大学経済科学部教授。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は社会思想史。著書『近代日本の社会科学と東アジア』(藤原書店)、『福田徳三著作集』第一五・一六巻(編著、信山社)、『「抗日」中国の起源―五四運動と日本』(筑摩選書)、『大正デモクラットの精神史―東アジアにおける「知識人」の誕生』(慶應義塾大学出版会)など。
渡辺恭彦(わたなべ・やすひこ)【コラム3】
一九八三年生まれ。京都大学大学文書館助教。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は思想史。著書『廣松渉の思想―内在のダイナミズム』(みすず書房)など。
富田武(とみた・たけし)【コラム4】
一九四五年生まれ。成蹊大学名誉教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。専門はロシア・ソ連政治史、日ソ関係史。著書『歴史としての東大闘争―ぼくたちが闘ったわけ』『ものがたり戦後史―「歴史総合」入門講義』(以上、ちくま新書)、『スターリニズムの統治構造―1930年代ソ連の政策決定と国民統合』(岩波書店)、『戦間期の日ソ関係―1917―1937』(岩波書店)、『シベリア抑留』(中公新書)など。
立本紘之(たてもと・ひろゆき)【コラム5】
一九七九年生まれ。法政大学大原社会問題研究所兼任研究員・国立公文書館調査員。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は近現代日本の社会運動史、思想史。著書『転形期芸術運動の道標―戦後日本共産党の源流としての戦前期プロレタリア文化運動』(晃洋書房)、論文「戦前期日本における「防共」概念の社会的意義と後景思潮」(榎一江編『戦時期の労働と生活』法政大学出版局)、「社会民衆党・社会大衆党の無産者芸術・文化へのまなざし」(『大原社会問題研究所雑誌』七四〇号)など。
伊東久智(いとう・ひさのり)【コラム6】
一九七八年生まれ。千葉大学大学院人文科学研究院助教。早稲田大学大学院文学研究科史学(日本史)専攻博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近代史。著書『「院外青年」運動の研究―日露戦後〜第一次大戦期における若者と政治との関係史』(晃洋書房)、論文「近代日本の大衆芸能とジェンダー・セクシュアリティ―世紀転換期の娘義太夫と「堂摺連」をめぐって」(『歴史学研究』一〇一六号)など。
平井健介(ひらい・けんすけ)【コラム7】
一九八〇年生まれ。甲南大学経済学部教授。慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(経済学)。専門は日本植民地経済史、近代アジア経済史。著書『砂糖の帝国―日本植民地とアジア市場』(東京大学出版会)、『ハンドブック日本経済史―徳川期から安定成長期まで』(共編著、ミネルヴァ書房)など。
酒井一臣(さかい・かずおみ)【コラム8】
一九七三年生まれ。東京女子大学現代教養学部教授。博士(文学・大阪大学)。専門は日本外交史。著書『帝国日本の外交と民主主義』(吉川弘文館)、『はじめて学ぶ日本外交史』(昭和堂)など。
藤原辰史(ふじはら・たつし)【コラム9】
一九七六年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程中退。博士(人間・環境学)。専門は農業思想史・農業技術史。著書『ナチスのキッチン決定版』(共和国)、『分解の哲学』(青土社)、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房)、『トラクターの世界史』(中公新書)、『戦争と農業』(集英社インターナショナル新書)、『縁食論―孤食と共食のあいだ』(ミシマ社)、『農の原理の史的研究―「農学栄えて農業亡ぶ」再考』(創元社)など。
新倉貴仁(にいくら・たかひと)【コラム10】
一九七八年生まれ。成城大学文芸学部准教授。東京大学大学院情報学環・学際情報学府修了。博士(社会情報学)。専門は文化社会学、メディア論。著書『「能率」の共同体―近代日本のミドルクラスとナショナリズム』(岩波書店)、『技術と文化のメディア論』(共編著、ナカニシヤ出版)、『山の手「成城」の社会史』(編著、青弓社)など。
杉本弘幸(すぎもと・ひろゆき)【コラム11】
一九七五年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。京都府立京都学・歴彩館研究員、京都工芸繊維大学・佛教大学・立命館大学・神戸女学院大学講師。著書『近代日本の都市社会政策とマイノリティ』(思文閣出版)、『재일조선인단체사전(在日朝鮮人団体事典)』(共著、民族問題研究所〔韓国〕)、『京都を学ぶ【伏見編】』(共著、ナカニシヤ出版)など。

思想史講義

【明治篇Ⅰ】

山口輝臣 福家崇洋

文明開化の実態はいかなるものだったのか。富国強兵は本当に言われていたのか。
最新の研究成果により明治前半の諸思想を徹底検証。従来の明治時代像を刷新する。
ちくま新書 1671 /2022/10/06 刊行/ISBN:978-4-480-07514-7/336ページ/定価:1100円(10%税込)
思想史講義

目次

    刊行の辞山口輝臣・福家崇洋
    はじめに山口輝臣
  1. 王政復古清水光明
  2. 祭政一致山口輝臣
  3. 公議奈良勝司
  4. 修史佐藤大悟
  5. 万国公法川尻文彦
  6. 征韓と脱亜小川原正道
  7. 自由民権真辺将之
  8. 政論松田宏一郎
  9. 郡県と封建湯川文彦
  10. 富国強兵鈴木淳
  11. 文明開化谷川穣
  12. 人種改良横山尊
  13. 国語安田敏朗
  14. 自治渡辺直子
  15. 衛生赤司友徳
  16. 元気高山大毅
  1. 本願寺
  2. アイヌ
  3. 琉球
  4. 亡命朝鮮人
  5. 玄洋社
  6. 新聞
  7. 士族
  8. 宣教師

編・執筆者紹介

山口輝臣(やまぐち・てるおみ)【編者/第2講】
一九七〇年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。東京大学大学院博士課程修了。専門は日本近代史。著書『明治国家と宗教』(東京大学出版会)、『天皇の歴史9 天皇と宗教』(共著、講談社学術文庫)、『はじめての明治史』(編著、ちくまプリマー新書)、『渋沢栄一はなぜ「宗教」を支援したのか』(編著、ミネルヴァ書房)など。
福家崇洋(ふけ・たかひろ)【編者】
一九七七年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専門は近現代日本の社会運動史、思想史。著書『戦間期日本の社会思想』(人文書院)、『日本ファシズム論争』(河出書房新社)、『満川亀太郎』(ミネルヴァ書房)など。
清水光明(しみず・みつあき)【第1講】
一九八二年生まれ。東京大学グローバル地域研究機構特任研究員。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は日本近世史・思想史。著書『近世日本の政治改革と知識人』(東京大学出版会)、『「近世化」論と日本』(編著、勉誠出版)、『地球的思考』(共編著、水声社)など。
奈良勝司(なら・かつじ)【第3講】
一九七七年生まれ。広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。立命館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(文学)。専門は日本近代史・政治思想。著書『明治維新をとらえ直す―非「国民」的アプローチから再考する変革の姿』『明治維新と世界認識体系』(以上、有志舎)など。
佐藤大悟(さとう・だいご)【第4講】
一九九一年生まれ。青山学院大学附置青山学院史研究所助手。東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本近代史。著書『渋沢栄一はなぜ「宗教」を支援したのか』(共著、ミネルヴァ書房)、『経済の維新と殖産興業』(共著、ミネルヴァ書房)、論文「江戸菊の近代」(『横浜開港資料館紀要』三八号)など。
川尻文彦(かわじり・ふみひこ)【第5講】
一九六九年生まれ。愛知県立大学外国語学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得。博士(学術)。専門は中国近代思想、日中関係史。著書『清末思想研究―東西文明が交錯する思想空間』(汲古書院)、『明治から昭和の中国人日本留学の諸相』(共著、東方書店)、『文明と覇権から見る中国』(共著、ウェッジ)など。
小川原正道(おがわら・まさみち)【第6講】
一九七六年生まれ。慶應義塾大学法学部教授。慶應義塾大学大学院博士課程修了。専門は日本政治思想史。著書『西南戦争と自由民権』『福沢諭吉の政治思想』(以上、慶應義塾大学出版会)、『福沢諭吉―「官」との闘い』(文藝春秋)、『近代日本の戦争と宗教』(講談社選書メチエ)など。
真辺将之(まなべ・まさゆき)【第7講】
一九七三年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。早稲田大学大学院博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『西村茂樹研究―明治啓蒙思想と国民道徳論』(思文閣出版)、『東京専門学校の研究』(早稲田大学出版部)、『大隈重信―民意と統治の相克』(中公叢書)、『猫が歩いた近現代―化け猫が家族になるまで』(吉川弘文館)など。
松田宏一郎(まつだ・こういちろう)【第8講】
一九六一年生まれ。立教大学法学部教授。日本政治思想史。著書『擬制の論理―自由の不安』(慶応大学出版会)、『江戸の知識から明治の政治へ』(ぺりかん社)、Patriotism in East Asia(編著、Routledge)など。
湯川文彦(ゆかわ・ふみひこ)【第9講】
一九八四年生まれ。お茶の水女子大学基幹教育院准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近代史。著書『立法と事務の明治維新―官民共治の構想と展開』(東京大学出版会)など。
鈴木淳(すずき・じゅん)【第10講】
一九六二年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近代社会経済史。著書『明治の機械工業』(ミネルヴァ書房)、『維新の構想と展開』(講談社学術文庫)、『新技術の社会誌』(中公文庫)、『関東大震災』(講談社学術文庫)など。
谷川穣(たにがわ・ゆたか)【第11講】
一九七三年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。専門は日本近代史。著書『明治前期の教育・教化・仏教』(思文閣出版)、『講座明治維新 11明治維新と宗教・文化』(共編著、有志舎)、『田中不二麿関係文書』(共編著、思文閣出版)、『論点・日本史学』(共編著、ミネルヴァ書房)など。
横山尊(よこやま・たかし)【第12講】
一九七八年生まれ。九州大学大学院比較社会文化研究院特別研究者。九州大学大学院比較社会文化学府単位取得退学、博士(比較社会文化)。専門は日本近現代史・科学技術史。著書『日本が優生社会になるまで』(勁草書房、Hanul M Plus より韓国語訳)、『新修宗像市史 いくさと人びと』(共著、宗像市)など。論文に‶On Eugenic Policy and the Movement of the National Temperance League in Prewar Japan”HISTORIA SCIENTIARUM 28 ( 3)など。
安田敏朗(やすだ・としあき)【第13講】
一九六八年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科教授。東京大学大学院博士課程修了。専門は近代日本言語史。著書『植民地のなかの「国語学」』(三元社)、『帝国日本の言語編制』(世織書房)、『〈国語〉と〈方言〉のあいだ』(人文書院)、『辞書の政治学』(平凡社)など。
渡辺直子(わたなべ・なおこ)【第14構】
一九六六年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。専門は日本近代史。著書『道と川の近代』(共著、山川出版社)、『明治史研究の最前線』(共著、筑摩選書)。
赤司友徳(あかし・とものり)【第15講】
一九七七年生まれ。九州大学大学文書館准教授。九州大学大学院博士課程修了。専門は日本近代史。著書『監獄の近代―行政機構の確立と明治社会』(九州大学出版会)。
高山大毅(たかやま・だいき)【第16講】
一九八一年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は近世日本思想史、近世日本漢文学。著書『近世日本の「礼楽」と「修辞」―荻生徂徠以後の「接人」の制度構想』(東京大学出版会)、訳書『徂徠集 序類』1・2(共訳、平凡社)。
辻岡健志(つじおか・たけし)【コラム1】
一九八四年生まれ。宮内庁書陵部図書課宮内公文書館研究員。京都大学大学院文学研究科博士課程指導認定修了。専門は日本近代史。論文「教部省設置前後の政治過程と西本願寺」(『史林』第一〇一巻第六号)、「「信教自由」と真宗僧侶」(『明治維新史研究』第二〇号)など。
マーク・ウィンチェスター(Mark Winchester)【コラム2】
一九七九年生まれ。国立アイヌ民族博物館アソシエイトフェロー。一橋大学大学院社会学研究科地球社会研究専攻博士課程修了。博士(社会学)。専門はアイヌ近現代思想史。著書『アイヌ民族否定論に抗する』(共編著、河出書房新社)、『移動という経験―日本における「移民」研究の課題』(共著、有信堂高文社)、訳書『アイヌ通史』(リチャード・シドル著、岩波書店)など。
草野泰宏(くさの・やすひろ)【コラム3】
一九八〇年生まれ。アジア歴史資料センター調査員。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は日本近代史、近代沖縄史。論文「琉球処分をめぐるヤマト・メディアの琉球論」(『沖縄文化研究』四〇)、「公同会運動をめぐるヤマト・メディアの諸相」(『日本歴史』七九二)。
茂木克美(もてぎ・かつみ)【コラム4】
一九六三年生まれ。佐野市郷土博物館長。放送大学大学院修士課程修了。論文「須永元―亡命朝鮮人の受容とその背景」(『専修史学』第六七号)、史料紹介「「須永文庫」の甲申政変関係資料」(『東アジア近代史』第二三号)など。
石瀧豊美(いしたき・とよみ)【コラム5】
一九四九年生まれ。イシタキ人権学研究所所長・福岡地方史研究会会長。佐賀大学理工学部物理学科中退。専門は日本近代史。著書『玄洋社・封印された実像』(海鳥社)、『筑前竹槍一揆研究ノート』(花乱社)、『近代福岡の歴史と人物 異・偉人伝』『解死人の風景 差別があたりまえだったころ』(以上、イシタキ人権学研究所)など。
寺島宏貴(てらしま・ひろたか)【コラム6】
一九八一年生まれ。国立国語研究所共同利用推進センター研究員。東京大学大学院博士課程修了。専門は明治メディア史ほか。論文「初期新聞における「公議」と言論競争」(『メディア史研究』第二七号)、「『土佐国群書類従拾遺』所収『新聞歴史』」(『北の丸』第五二号)、著書『山村はどのように災害を乗り越えてきたのか』(共著、小さ子社、近刊予定)など。
内山一幸(うちやま・かずゆき)【コラム7】
一九七四年生まれ。大阪経済大学経済学部准教授。九州大学大学院比較社会文化研究科博士課程単位取得退学。博士(比較社会文化)。専門は日本近現代史。著書『明治期の旧藩主家と社会』(吉川弘文館)、『吉川重吉自叙伝』(共編著、芙蓉書房出版)。
藤本大士(ふじもと・ひろし)【コラム8】
一九八七年生まれ。日本学術振興会特別研究員PD(受入機関:京都大学大学院教育学研究科)。東京大学大学院博士課程修了。専門は近代日本医学史。著書『医学とキリスト教』(法政大学出版局)。

思想史講義

【戦前昭和篇】

山口輝臣 福家崇洋

なぜ昭和の日本は戦争へと向かったのか。社会や政治の変革を志向する人々と、
それに対抗する人々とのせめぎ合いで生まれた諸思想を、最新研究に基づき解明する。
ちくま新書 1674 /2022/12/06 刊行/ISBN:978-4-480-07532-1/336ページ/定価:1100円(10%税込)
思想史講義

目次

    刊行の辞山口輝臣・福家崇洋
    はじめに福家崇洋
  1. 多元的国家論とギルド社会主義織田健志
  2. 第二次日本共産党と福本イズム立本紘之
  3. 講座派と労農派黒川伊織
  4. 恐慌と統制経済論牧野邦昭
  5. 国家社会主義と満洲事変福家崇洋
  6. 転向近藤俊太郎
  7. 農本主義の時代藤原辰史
  8. 昭和の日本主義福間良明
  9. 国体明徴論昆野伸幸
  10. 政治的変革の夢―維新・革新・革命植村和秀
  11. 自由主義松井慎一郎
  12. 反ファシズム人民戦線論 福家崇洋
  13. 国家総動員論森靖夫
  14. 戦時下のアジア解放論米谷匡史
  15. 京都学派の哲学藤田正勝
  1. 柳宗悦と民藝運動
  2. プロレタリア文化運動
  3. 民俗学と郷土研究
  4. 昭和の科学思想・技術論
  5. 生活綴方運動
  6. 平泉澄と「皇国史観」
  7. 戦時期のキリスト教
  8. 戦前日本の毛沢東観
  9. 一国一党論
  10. 女性動員論
  11. 日本浪曼派

編・執筆者紹介

山口輝臣(やまぐち・てるおみ)【編者】
一九七〇年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。東京大学大学院博士課程修了。専門は日本近代史。著書『明治国家と宗教』(東京大学出版会)、『明治神宮の出現』(吉川弘文館)、『天皇の歴史9 天皇と宗教』(共著、講談社学術文庫)、『はじめての明治史』(編著、ちくまプリマー新書)など。
福家崇洋(ふけ・たかひろ)【編者/第5講・第12講】
一九七七年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専門は近現代日本の社会運動史、思想史。著書『戦間期日本の社会思想』(人文書院)、『日本ファシズム論争』(河出書房新社)、『満川亀太郎』(ミネルヴァ書房)など。
織田健志(おだ・たけし)【第1講】
一九七九年生まれ。国士舘大学政経学部教授。同志社大学大学院法学研究科政治学専攻修了。博士(政治学)。専門は日本政治思想史。著書『ハンドブック近代日本政治思想史』(共著、ミネルヴァ書房)、『「天皇」から「民主主義」まで―政治概念の歴史的展開 第九巻』(共著、晃洋書房)、論文「ある「オールド・リベラリスト」の軌跡―戦中・戦後の長谷川如是閑」(『政治研究』一三号、国士舘大学政治研究所)など。
立本紘之(たてもと・ひろゆき)【第2講・コラム2】
一九七九年生まれ。法政大学大原社会問題研究所兼任研究員・国立公文書館調査員。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は近現代日本の社会運動史、思想史。著書『転形期芸術運動の道標―戦後日本共産党の源流としての戦前期プロレタリア文化運動』(晃洋書房)、論文「戦前期日本における「防共」概念の社会的意義と後景思潮」(榎一江編『戦時期の労働と生活』法政大学出版局)、「社会民衆党・社会大衆党の無産者芸術・文化へのまなざし」(『大原社会問題研究所雑誌』七四〇号)など。
黒川伊織(くろかわ・いおり)【第3講】
一九七四年生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科協力研究員。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は社会運動史、日本思想史。著書『帝国に抗する社会運動―第一次日本共産党の思想と運動』(有志舎)、『戦争・革命の東アジアと日本のコミュニスト―1920-1970 年』(有志舎)など。
牧野邦昭(まきの・くにあき)【第4講】
一九七七年生まれ。慶應義塾大学経済学部教授。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。専門は近代日本経済思想史。著書『経済学者たちの日米開戦』(新潮選書)、『新版 戦時下の経済学者』(中公選書)、『柴田敬』(日本経済評論社)など。
近藤俊太郎(こんどう・しゅんたろう)【第6講】
一九八〇年生まれ。本願寺史料研究所研究員。龍谷大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は近現代日本の仏教史・思想史。著書『親鸞とマルクス主義―闘争・イデオロギー・普遍性』(法藏館)、『天皇制国家と「精神主義」―清沢満之とその門下』(法藏館)、『近代の仏教思想と日本主義』(共編著、法藏館)など。
藤原辰史(ふじはら・たつし)【第7講】
一九七六年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程中退。博士(人間・環境学)。専門は農業思想史・農業技術史。著書『ナチスのキッチン決定版』(共和国)、『分解の哲学』(青土社)、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房)、『トラクターの世界史』(中公新書)、『戦争と農業』(集英社インターナショナル新書)、『縁食論―孤食と共食のあいだ』(ミシマ社)、『農の原理の史的研究―「農学栄えて農業亡ぶ」再考』(創元社)など。
福間良明(ふくま・よしあき)【第8講】
一九六九年生まれ。立命館大学産業社会学部教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専攻は歴史社会学、メディア史。著書『「戦争体験」の戦後史―世代・教養・イデオロギー』(中公新書)、『焦土の記憶―沖縄・広島・長崎に映る戦後』(新曜社)、『「戦跡」の戦後史』(岩波現代全書)、『二・二六事件の幻影―戦後大衆文化とファシズムへの欲望』(筑摩書房)、『「働く青年」と教養の戦後史―「人生雑誌」と読者のゆくえ』(筑摩選書)など。
昆野伸幸(こんの・のぶゆき)【第9講】
一九七三年生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科教授。東北大学大学院文学研究科博士課程後期三年の課程単位取得退学。専門は近代日本思想史。著書『増補改訂 近代日本の国体論―〈皇国史観〉再考』(ぺりかん社)、『ハンドブック近代日本政治思想史―幕末から昭和まで』(共編著、ミネルヴァ書房)、論文「村上重良「国家神道」論再考」(山口輝臣編『戦後史のなかの「国家神道」』山川出版社)など。
植村和秀(うえむら・かずひで)【第10講】
一九六六年生まれ。京都産業大学法学部教授。京都大学法学部卒業。専門は日本政治思想史・比較ナショナリズム論。著書『丸山眞男と平泉澄』(柏書房)、『「日本」への問いをめぐる闘争』(柏書房)、『昭和の思想』(講談社選書メチエ)、『ナショナリズム入門』(講談社現代新書)、『折口信夫』(中公新書)など。
松井慎一郎(まつい・しんいちろう)【第11講】
一九六七年生まれ。跡見学園女子大学文学部人文学科教授。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は日本近現代思想史。著書『評伝 河合榮治郎―戦闘的自由主義者の生涯』(玉川大学出版部)、『河合栄治郎―戦闘的自由主義者の真実』(中公新書)、『近代日本における功利と道義―福沢諭吉から石橋湛山まで』(北樹出版)など。
森 靖夫(もり・やすお)【第13講】
一九七八年生まれ。同志社大学法学部教授。京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。専門は近現代日本政治史。著書『日本陸軍と日中戦争への道』(ミネルヴァ書房)、『永田鉄山』(ミネルヴァ書房)、『「国家総動員」の時代』(名古屋大学出版会)など。
米谷匡史(よねたに・まさふみ)【第14講】
一九六七年生まれ。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中退。専門は社会思想史、日本思想史。著書『アジア/日本』(岩波書店)、『一九三〇年代のアジア社会論』(共編著、社会評論社)、『尾崎秀実時評集』(編著、平凡社・東洋文庫)、『谷川雁セレクション』Ⅰ・Ⅱ(共編著、日本経済評論社)など。
藤田正勝(ふじた・まさかつ)【第15講】
一九四九年生まれ。京都大学名誉教授。京都大学大学院文学研究科およびドイツ・ボーフム大学哲学部ドクター・コース修了。哲学博士。専門は哲学・日本哲学史。著書に『哲学のヒント』『日本文化をよむ―5つのキーワード』(以上、岩波新書)、『人間・西田幾多郎―未完の哲学』(岩波書店)、『はじめての哲学』(岩波ジュニア新書)、『西田幾多郎『善の研究』を読む』(ちくま新書)など。
土田眞紀(つちだ・まき)【コラム1】
一九六〇年生まれ。同志社大学文学部嘱託講師。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。一九八七年から一九九九年まで三重県立美術館に学芸員として勤務。専門は近代工芸・デザイン史、工芸論。著書『さまよえる工藝―柳宗悦と近代』(草風館)、『柳宗悦と美』(玉川大学出版部)、『柳宗悦と京都―民藝のルーツを訪ねる』(共著、光村推古書院)など。
重信幸彦(しげのぶ・ゆきひこ)【コラム3】
一九五九年生まれ。北九州市平和のまちミュージアム館長。筑波大学大学院博士課程歴史人類学研究科単位取得満期退学。専門は民俗学・近代都市文化論、著書『みんなで戦争 銃後美談と動員のフォークロア』(青弓社)、『〈お話〉と家庭の近代』(久山社)、『タクシー/モダン東京民俗誌』(日本エディタースクール出版部)など。
金山浩司(かなやま・こうじ)【コラム4】
一九七九年生まれ。九州大学基幹教育院准教授。東京大学総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。専門はソ連・日本の科学技術思想。著書『神なき国の科学思想』(東海大学出版部)、『科学の参謀本部』(共著、北海道大学出版会)など。
須永哲思(すなが・さとし)【コラム5】
一九八六年生まれ。天理大学人間学部総合教育研究センター専任講師。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。専門は近現代日本教育史、民間教育運動史。著書『桑原正雄の郷土教育―〈資本の環〉の中の私達』(京都大学学術出版会)、『生活綴方で編む「戦後史」―〈越境〉と〈冷戦〉の1950年代』(共著、岩波書店)など。
若井敏明(わかい・としあき)【コラム6】
一九五八年生まれ。関西大学・佛教大学・神戸市外国語大学非常勤講師。関西大学大学院文学研究科後期課程で博士(文学)修得。専門は日本古代史、近代史学史。著書『平泉澄』(ミネルヴァ書房)、『邪馬台国の滅亡』(吉川弘文館)、『仁徳天皇』(ミネルヴァ書房)など。
赤江達也(あかえ・たつや)【コラム7】
一九七三年生まれ。関西学院大学社会学部教授。筑波大学大学院博士課程社会科学研究科修了。博士(社会学)。専門は宗教社会学、日本キリスト教思想史。著書『「紙上の教会」と日本近代―無教会キリスト教の歴史社会学』(岩波書店)、『矢内原忠雄―戦争と知識人の使命』(岩波新書)。
石川禎浩(いしかわ・よしひろ)【コラム8】
一九六三年生まれ。京都大学人文科学研究所教授。京都大学大学院文学研究科修士課程修了、博士(文学)。専門は中国共産党史を中心とする中国近現代史。著書『赤い星は如何にして昇ったか』(臨川書店)、『中国共産党、その百年』(筑摩書房)など。
渡部 亮(わたべ・りょう)【コラム9】
一九九五年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科学生(博士課程)。専門は近代日本政治史・思想史。主な論文に、「「大正デモクラシー」の政党化構想のゆくえ」(『史学雑誌』一二八巻八号)、「昭和恐慌後における社会大衆党の経済政策」(『史学雑誌』一三一巻二号)など。
堀川祐里(ほりかわ・ゆうり)【コラム10】
一九八七年生まれ。新潟国際情報大学国際学部国際文化学科講師。中央大学大学院経済学研究科経済学専攻博士課程後期課程修了。博士(経済学)。専門は社会政策、ジェンダー史。著書『戦時期日本の働く女たち―ジェンダー平等な労働環境を目指して』(晃洋書房)など。
岩本真一(いわもと・しんいち)【コラム11】
一九六九年生まれ。京都精華大学人文学部教授。筑波大学大学院歴史・人類学研究科博士課程中途退学。専門は近代日本思想史。著書『超克の思想』(水声社)、共著『鳴尾村誌1889-1951』(西宮市鳴尾区有財産管理委員会)、『戦後日本思想と知識人の役割』(共著、法律文化社)、『ハンドブック近代日本政治思想史』(共著、ミネルヴァ書房)など。

思想史講義

【明治篇Ⅱ】

山口輝臣 福家崇洋

文明化推進と国体の確立を目指した明治日本は、大日本帝国憲法施行後にどう変わったか。
明治後期の知的世界を多角的・実証的に描き出し、明治時代像を刷新する。
ちくま新書 1672 /2023/2/7 刊行/ISBN:978-4-480-07541-3/352ページ/定価:1100円(10%税込)
思想史講義

目次

    刊行の辞山口輝臣・福家崇洋
    はじめに山口輝臣
  1. 大日本帝国憲法坂本一登
  2. 教育勅語山口輝臣
  3. 超然主義佐々木隆
  4. 民力休養飯塚一幸
  5. 平民主義梶田明宏
  6. 国民主義小林和幸
  7. 国粋主義中川未来
  8. 日本主義と個人主義長尾宗典
  9. 批評郭馳洋
  10. 宗教木村悠之介
  11. 南北朝正閏論千葉功
  12. 新しい女差波亜紀子
  13. 興亜月脚達彦
  14. 日韓合邦論永島広紀
  15. 東西文明論ディック・ステゲウェルンス
  16. 旧外交伊東かおり
  1. 実業家
  2. 新聞と雑誌
  3. 煩悶青年
  4. 新仏教
  5. 明治天皇
  6. 平民社
  7. 報徳社
  8. 亡命中国人
  9. 黒龍会
  10. 台湾

編・執筆者紹介

山口輝臣(やまぐち・てるおみ)【編者/はじめに・第2講・コラム1】
一九七〇年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。東京大学大学院博士課程修了。専門は日本近代史。著書『明治国家と宗教』(東京大学出版会)、『明治神宮の出現』(吉川弘文館)、『天皇の歴史9 天皇と宗教』(共著、講談社学術文庫)、『はじめての明治史』(編著、ちくまプリマー新書)など。
福家崇洋(ふけ・たかひろ)【編者/コラム6】
一九七七年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専門は近現代日本の社会運動史、思想史。著書『戦間期日本の社会思想』(人文書院)、『日本ファシズム論争』(河出書房新社)、『満川亀太郎』(ミネルヴァ書房)など。
坂本一登(さかもと・かずと)【第1講】
一九五六年生まれ。國學院大學法学部教授。東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。専門は日本政治史。著書『伊藤博文と明治国家形成』(講談社学術文庫)、『明治天皇と政治家群像』(共著、吉川弘文館)、『山県有朋と近代日本』(共著、吉川弘文館)、『岩波講座 日本歴史16』(共著、岩波書店)、『憲法義解』(解説、岩波文庫)など。
佐々木隆(ささき・たかし)【第3講】
一九五一年生まれ。聖心女子大学名誉教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本近代史。著書『藩閥政府と立憲政治』(吉川弘文館)、『伊藤博文の情報戦略』(中公新書)、『日本の近代14 メディアと権力』(中公文庫)、『日本の歴史21 明治人の力量』(講談社学術文庫)など。
飯塚一幸(いいづか・かずゆき)【第4講】
一九五八年生まれ。大阪大学大学院人文学研究科教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本近代史。著書『日本近代の歴史3 日清・日露戦争と帝国日本』(吉川弘文館)、『明治期の地方制度と名望家』(吉川弘文館)、『講座明治維新5 立憲制と帝国への道』(共編著、有志舎)、『帝国日本の移動と動員』(共編著、大阪大学出版会)、『近代移行期の酒造業と地域社会―伊丹の酒造家小西家』(編著、吉川弘文館)など。
梶田明宏(かじた・あきひろ)【第5講】
一九五八年生まれ。昭和天皇記念館副館長(元宮内庁書陵部編修課長)。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。専門は近代日本史、皇室史。著書『昭和天皇の横顔』(編著、文春学藝ライブラリー)、『大正史講義』(共著、ちくま新書)。論文「酒巻芳男と大正昭和期の宮内省」(『年報・近代日本研究』20)、「大正十年皇太子海外御巡遊とメディア」(『メディア史研究』23)など。
小林和幸(こばやし・かずゆき)【第6講】
一九六一年生まれ。青山学院大学文学部教授。青山学院大学大学院博士後期課程満期退学。博士(歴史学)。専門は日本近代史。著書『明治立憲政治と貴族院』(吉川弘文館)、『谷干城―憂国の明治人』(中公新書)、『「国民主義」の時代―明治日本を支えた人々』(角川選書)、『明治史講義【テーマ篇】』(編著、ちくま新書)、『明治史研究の最前線』『東京10大学の150年史』(以上編著、筑摩選書)など。
中川未来(なかがわ・みらい)【第7講】
一九七九年生まれ。愛媛大学法文学部准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学、博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『明治日本の国粋主義思想とアジア』(吉川弘文館)、論文「『朝鮮新報』主筆青山好恵の東学農民戦争報道」(『人文学報』第一一一号)、「明治期瀬戸内塩業者の直輸出運動とアジア」(『史林』第一〇二巻一号)など。
長尾宗典(ながお・むねのり)【第8講】
一九七九年生まれ。城西国際大学国際人文学部准教授。筑波大学大学院博士課程人文社会科学研究科単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近代史・思想史。著書『〈憧憬〉の明治精神史―高山樗牛・姉崎嘲風の時代』(ぺりかん社)、論文「法科と文科―明治・大正期における帝国大学生の官吏志望」(中野目徹編『官僚制の思想史』吉川弘文館)など。
郭馳洋(かく・ちよう)【第9講】
一九九〇年生まれ。東京大学東アジア藝文書院(EAA)特任研究員。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。専門は日本近代思想史。論文「明治期の哲学言説とネーション・社会―井上哲次郎の「現象即実在論」をめぐって」(『年報地域文化研究』二一号)、「明治中期における批判理論としての「批評」―大西祝の批評的思考を中心に」(『日本思想史学』五〇号)、「近代日本における哲学的批評論の展開―大西祝から戸坂潤へ」(『北東アジア研究』三〇号)など。
木村悠之介(きむら・ゆうのすけ)【第10講】
一九九五年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科学生(博士課程)。日本学術振興会特別研究員DC1。専門は近代日本宗教史。著書『歴史で読む国学』(共著、ぺりかん社)、論文「神道学を建設する―井上哲次郎門下・遠藤隆吉と「生々主義」の近代」(伊藤聡・斎藤英喜編『アジア遊学 神道の近代(仮)』勉誠出版、近刊予定)、「明治後期における神道改革の潮流とその行方―教派神道と『日本主義』から「国家神道」へ」(『神道文化』第三一号)など。
千葉 功(ちば・いさお)【第11講】
一九六九年生まれ。学習院大学文学部教授。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『旧外交の形成―日本外交 一九〇〇〜一九一九』(勁草書房)、『桂太郎―外に帝国主義、内に立憲主義』(中公新書)、『桂太郎関係文書』(東京大学出版会)など。
差波亜紀子(さしなみ・あきこ)【第12講】
一九六七年生まれ。日本女子大学文学部教授。東京大学大学院博士後期課程退学。博士(文学)。専門は日本近現代史。著書『商人と流通』(共著、山川出版社)、『平塚らいてう―信じる道を歩み続けた婦人運動家』(山川出版社)、『成瀬仁蔵と日本女子大学校の時代』(共著、日本経済評論社)など。
月脚達彦(つきあし・たつひこ)【第13講】
一九六二年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。専門は朝鮮近代史。著書『朝鮮開化思想とナショナリズム』(東京大学出版会)、『福沢諭吉と朝鮮問題』(東京大学出版会)、『福沢諭吉の朝鮮』(講談社選書メチエ)、『朝鮮開化派選集』(訳注、平凡社東洋文庫)、『大人のための近現代史19世紀編』(共編、東京大学出版会)など。
永島広紀(ながしま・ひろき)【第14講】
一九六九年生まれ。九州大学韓国研究センター教授。九州大学大学院人文科学府博士後期課程単位修得満期退学。博士(文学)。専門は朝鮮近現代史、日韓関係史。著書『戦時期朝鮮における「新体制」と京城帝国大学』(ゆまに書房)、『寺内正毅と帝国日本―桜圃寺内文庫が語る新たな歴史像』(共編、勉誠出版)など。
ディック・ステゲウェルンス(Dick Stegewerns)【第15講】
一九六六年生まれ。ノルウェー国立オスロ大学人文学部准教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。ライデン大学博士(文学)。専門は日本近代史・日本映画史。著書Nationalism and Internationalism in Imperial Japan : Autonomy, Asian Brotherhood, or World Citizenship ? (Routledge)、『概説日本政治思想史』(共著、ミネルヴァ書房)、『複数の「ヒロシマ」―記憶の戦後史とメディアの力学』(共著、青弓社)など。
陣内隆一(じんない・りゅういち)【第15講(訳者)】
一九五九年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科学生(博士課程)。専門は幕末明治外交史経済史。
伊東かおり(いとう・かおり)【第16講】
一九八六年生まれ。広島大学文書館助教。九州大学大学院人文科学府博士後期課程単位修得退学。博士(文学)。専門は日本近代史。著書『議員外交の世紀―列国議会同盟と近現代日本』(吉田書店)。
中野目徹(なかのめ・とおる)【コラム2】
一九六〇年生まれ。筑波大学人文社会系教授。筑波大学大学院博士課程中退。博士(文学)。専門は日本近代思想史・史料学。著書『政教社の研究』(思文閣出版)、『近代史料学の射程―明治太政官文書研究序説』(弘文堂)、『明治の青年とナショナリズム―政教社・日本新聞社の群像』『三宅雪嶺』(以上、吉川弘文館)など。
高原智史(たかはら・さとし)【コラム3】
一九八七年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科学生(博士課程)。専門は日本近代思想史・高等教育史。論文「古典に向かう愛と論理:日本思想史学の方法論としての「フィロロギー」について」(『比較文学・文化論集』三七号)、「森卷吉と中国人留学生」(『一高中国人留学生と101号館の歴史』)など。
高橋原(たかはし・はら)【コラム4】
一九六九年生まれ。東北大学大学院文学研究科教授。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は宗教学、死生学。著書『ユングの宗教論―キリスト教神話の再生』(専修大学出版局)、『近代日本における知識人と宗教―姉崎正治の軌跡』(共著、東京堂出版)、『死者の力―津波被災地「霊的体験」の死生学』(共著、岩波書店)など。
国分航士(こくぶ・こうじ)【コラム5】
一九八五年生まれ。九州大学大学院人文科学研究院講師。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近現代史。論文「近代の元号」(『歴史と地理 日本史の研究』二六八)、「明治立憲制と「宮中」」(『史学雑誌』一二四―九)など。
見城悌治(けんじょう・ていじ)【コラム7】
一九六一年生まれ。千葉大学大学院国際学術研究院教授。立命館大学大学院博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近代史。著書『近代報徳思想と日本社会』(ぺりかん社)、『占領期報徳運動資料集成』(編集解説、不二出版)、『留学生は近代日本で何を学んだのか』(日本経済評論社)、『渋沢栄一』(日本経済評論社)、『社会を支える「民」の育成と渋沢栄一』(編著、ミネルヴァ書房)など。
川尻文彦(かわじり・ふみひこ)【コラム8】
一九六九年生まれ。愛知県立大学外国語学部教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得。博士(学術)。専門は中国近代思想、日中関係史。著書『清末思想研究―東西文明が交錯する思想空間』(汲古書院)、『明治から昭和の中国人日本留学の諸相』(共著、東方書店)、『文明と覇権から見る中国』(共著、ウェッジ)など。
有馬学(ありま・まなぶ)【コラム9】
一九四五年生まれ。福岡市博物館総館長、九州大学名誉教授。東京大学大学院博士課程満期退学。専門は日本近代史。著書『日本の近代4 「国際化」の中の帝国日本』(中公文庫)、『日本の歴史23 帝国の昭和』(講談社学術文庫)、『福岡県の近現代』(共著、山川出版社)など。
新田龍希(にった・りゅうき)【コラム10】
一九八五年生まれ。台湾師範大学台湾史研究所助理教授。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(学術)。専門は近現代台湾史。著書『台湾研究入門』(共著、東京大学出版会)、論文「胥吏と台湾の割譲」(『日本台湾学会報』第二一号)など。

東北史講義

【古代・中世篇】

東北大学日本史研究室

辺境の地として倭人の大国に侵食された古代。豊かな天然資源が交易を支え、活発な交流が多様で独自性に富んだ地域を形成した中世。東北の成り立ちを読み解く。
ちくま新書 1712 /2023/03/07 刊行/ISBN: 978-4-480-07521-5/272ページ/定価:968円(10%税込)
東北史講義

目次

    はじめに柳原敏昭・堀裕
  1. 東アジアの中のエミシ相澤秀太郎
  2. 国造制から国郡制へ── 陸奥・出羽国の成立吉田歓
  3. 城柵と戦争・交流の時代鈴木琢郎
  4. 城柵支配の変容と社会大堀秀人
  5. 古代から中世への変革と戦乱永田英明
  6. 平泉の世紀渡邉俊
  7. 関東武士の下で黒瀬にな
  8. 奥羽と京・鎌倉── 国人一揆を中心に泉田邦彦
  9. 戦国期南奥羽の領主たち黒田風花
  10. 北奥羽の戦国世界熊谷隆次
  11. 〔特論〕北と南の辺境史鈴木拓也
  12. 〔特論〕災害と社会の歩み吉野武
  13. 〔特論〕奥羽と夷狄島片岡耕平
  14. 〔特論〕奥羽の荘園と公領白根陽子
  15. 〔特論〕伝承と物語永井隆之
  1. 伊達家重臣遠藤家文書・中島家文書について
  2. 「貞観地震」「享徳地震」にみる地震対応の時代性

編・執筆者紹介

柳原敏昭(やなぎはら・としあき)【責任編集】
一九六一年新潟県生まれ。鹿児島大学法文学部助教授等を経て、東北大学大学院文学研究科教授。『中世日本の周縁と東アジア』(吉川弘文館)、『東北の中世史』1〜5巻(企画編集・吉川弘文館)など。
堀裕(ほり・ゆたか)【責任編集】
一九六九年愛知県生まれ。大阪樟蔭女子大学等を経て、東北大学大学院文学研究科教授。『仏教がつなぐアジア―王権・信仰・美術』(共編著、勉誠出版)、「陸奥の仏教文化」(吉村武彦ほか編『シリーズ地域の古代日本 陸奥と渡島』KADOKAWA)など。
相澤秀太郎(あいざわ・しゅうたろう)【第1講】
一九八〇年生まれ。宮城県教育庁文化財課技師。「阿倍比羅夫の北方遠征と「粛慎」―国際情勢からみた北方遠征の目的をめぐって」(熊谷公男編『古代東北の地域像と城柵』高志書院)など。
吉田歓(よしだ・かん)【第2講】
一九六五年生まれ。山形県立米沢女子短期大学教授。専門は日本古代史。『日中宮城の比較研究』(吉川弘文館)、『古代の都はどうつくられたか』(吉川弘文館)、『日中古代都城と中世都市平泉』(汲古書院)など。
鈴木琢郎(すずき・たくろう)【第3講】
一九七六年生まれ。就実大学人文科学部准教授。『日本古代の大臣制』(塙書房)、『古代東北の地域像と城柵』(共著、高志書院)など。
大堀秀人(おおほり・ひでと)【第4講】
一九九五年生まれ。一般財団法人奥州市文化振興財団奥州市埋蔵文化財調査センター専門学芸員。
永田英明(ながた・ひであき)【第5講】
一九六五年生まれ。東北学院大学教授。『古代駅伝馬制度の研究』(吉川弘文館)、『蝦夷と城柵の時代』(共著、吉川弘文館)など。
渡邉俊(わたなべ・すぐる)【第6講】
一九七七年生まれ。福岡女子大学国際文理学部准教授。『中世社会の刑罰と法観念』(吉川弘文館)など。
黒瀬にな(くろせ・にな)【第7講】
日本学術振興会特別研究員。専門は日本法制史。鎌倉時代における法廷利用行動を研究。「日本中世訴訟研究における『属縁主義』」(『歴史』第一三四輯)など。
泉田邦彦(いずみた・くにひこ)【第8講】
一九八九年福島県生まれ。石巻市博物館学芸員。「戦国期岩城氏の領域支配構造と「洞」」(『福島史学研究』一〇〇号)、「十五世紀末の茂木氏家臣―給分注文を読み解く」(高橋修編『戦う茂木一族―中世を生き抜いた東国武士』高志書院)、『大字誌両竹』(共編著、蕃山房)など。
黒田風花(くろだ・ふうか)【第9講】
仙台市博物館学芸員。「戦国期伊達氏家臣についての一考察」(『仙台市博物館調査研究報告』第三九号)、「伊達政宗当主期の意思伝達と家臣―茂庭綱元関係文書の検討を通じて」(野本禎司・藤方博之編『仙台藩の武家屋敷と政治空間』岩田書院)など。
熊谷隆次(くまがい・りゅうじ)【第10講】
八戸工業大学第二高等学校教諭。『戦国の北奥羽南部氏』(共著、デーリー東北新聞社)、「戦国末期南部信直権力と外交―南慶儀・楢山義実を中心に」(斉藤利男編『戦国大名南部氏の一族と城館』戎光祥出版)など。
鈴木拓也(すずき・たくや)【第11 講】
一九六五年生まれ。近畿大学文芸学部教授。専門は日本古代史。『古代東北の支配構造』(吉川弘文館)、『戦争の日本史3 蝦夷と東北戦争』(吉川弘文館)、『東北の古代史4 三十八年戦争と蝦夷政策の転換』(編著、吉川弘文館)など。
吉野武(よしの・たけし)【第12講】
一九六六年生まれ。宮城県教育庁文化財課技術副参事兼総括技術補佐。「多賀城の創建と大宰府」(『歴史』第一三七輯)、「多賀城の炎上と征東軍」(『国立歴史民俗博物館研究報告』第二三二集)など。
片岡耕平(かたおか・こうへい)【第13講】
一九七六年生まれ。北海学園大学人文学部准教授。『穢れと神国の中世』(講談社)など。
白根陽子(しらね・ようこ)【第14講】
元東京大学史料編纂所特任研究員。専門は日本中世史。著書『女院領の中世的展開』(同成社)など。
永井隆之(ながい・りゅうじ)【第15講】
石川工業高等専門学校一般教育科准教授。「「日本」における国民共同体の起源をめぐって」(中国文化大学日本語文学系『中日文化論叢』三六号)、『戦国時代の百姓思想』(東北大学出版会)など。
小佐野浅子(おさの・あさこ)【コラム1】
一九八一年生まれ。筑波大学附属駒場中学・高等学校教諭。『戦国大名武田氏と地域社会』(共著、岩田書院)、「小山田信茂・信有」(丸島和洋編『武田信玄の子供たち』宮帯出版社)など。
松岡祐也(まつおか・ゆうや)【コラム2】
一九七九年生まれ。南開大学外国語学院外籍教員。「『言経卿記』に見る文禄五年伏見地震での震災対応―特に「和歌を押す」行為について」(『歴史地震』第二一号)、「島津龍伯書状の慶長地震津波記述について」(『文化』第八三巻第三・四号)など。

東北史講義

【近世・近現代篇】

東北大学日本史研究室

米穀供給地として食を支え、近代以降は学都・軍都として人材も輩出、戦後は重工業化が企図された。度重なる災害も念頭に、中央と東北の構造を立体的に描き出す。
ちくま新書 1713 /2023/03/07 刊行/ISBN: 978-4-480-07522-2/272ページ/定価:968円(10%税込)
東北史講義

目次

    はじめに安達宏昭・籠橋俊光
  1. 近世の幕開けと諸藩の成立兼平賢治
  2. 藩政の展開と藩主清水翔太郎
  3. 社会の変容と諸藩天野真志
  4. 幕末の諸藩と戊辰戦争栗原伸一郎
  5. 明治政府と東北開発小幡圭祐
  6. 近代日本の戦争と東北の軍都中野良
  7. 戦時体制と東北振興伊藤大介
  8. 戦前戦後の東北の流通経済── 百貨店を中心に加藤諭
  9. 〔特論〕奥羽の幕領と海運井上拓巳
  10. 〔特論〕神に祀られた藩主── 弘前藩四代藩主 津軽信政澁谷悠子
  11. 〔特論〕近世後期の災害と復興・防災高橋陽一
  12. 〔特論〕東北開発と地域有力者徳竹剛
  13. 〔特論〕近代東北の教育と思想家手嶋泰伸
  14. 〔特論〕東日本大震災と歴史学── 史料レスキューの現場から考える佐藤大介
  15. 〔特論〕東日本大震災と地域社会── 福島県双葉郡富岡町の原発立地から全町避難を考える門馬健

編・執筆者紹介

安達宏昭(あだち・ひろあき)【責任編集】
一九六五年東京都生まれ。立教池袋中学校・高等学校教諭等を経て、東北大学大学院文学研究科教授。『大東亜共栄圏―帝国日本のアジア支配構想』(中公新書)、『「大東亜共栄圏」の経済構想―圏内産業と大東亜建設審議会』(吉川弘文館)など。
籠橋俊光(かごはし・としみつ)【責任編集】
一九七二年茨城県生まれ。東北大学文学部助手、東北歴史博物館学芸員等を経て、東北大学大学院文学研究科准教授。『近世藩領の地域社会と行政』(清文堂出版)など。
兼平賢治(かねひら・けんじ)【第1講】
一九七七年岩手県生まれ。東海大学文学部歴史学科日本史専攻准教授。『馬と人の江戸時代』(吉川弘文館)、『近世武家社会の形成と展開』(吉川弘文館)など。
清水翔太郎(しみず・しょうたろう)【第2講】
一九八九年生まれ。秋田大学教育文化学部地域文化学科講師。「近世前期における国持大名家の縁組」(『日本史研究』第六八一号)、「一九世紀初頭の秋田佐竹家における大名・家臣関係」(『秋大史学』第六六号)など。
天野真志(あまの・まさし)【第3講】
一九八一年島根県生まれ。人間文化研究機構国立歴史民俗博物館准教授。専門は日本近世・近代史、資料保存。著書に、『幕末の学問・思想と政治運動』(吉川弘文館)、『地域歴史文化継承ガイドブック』(共編著、文学通信)など。
栗原伸一郎(くりはら・しんいちろう)【第4講】
一九七五年生まれ。東北大学大学院文学研究科助教。『戊辰戦争と「奥羽越」列藩同盟』(清文堂出版)など。
小幡圭祐(おばた・けいすけ)【第5講】
一九八三年宮城県生まれ。山形大学人文社会科学部准教授。『井上馨と明治国家建設』(吉川弘文館)など。
中野良(なかの・りょう)【第6講】
一九七八年生まれ。新潟県出身。国立公文書館アジア歴史資料センター研究員。専門は日本近現代史。『日本陸軍の軍事演習と地域社会』(吉川弘文館)、『地域のなかの軍隊8 日本の軍隊を知る 基礎知識編』共著、吉川弘文館)など。
伊藤大介(いとう・だいすけ)【第7講】
一九七三年生まれ。東北学院大学教養教育センター助教。『近代日本と雪害』(東北大学出版会)など。
加藤諭(かとう・さとし)【第8講】
一九七八年生まれ。東北大学学術資源研究公開センター史料館准教授。専門は日本近現代史、アーカイブズ学。『戦前期日本における百貨店』(清文堂出版)、『大学アーカイブズの成立と展開―公文書管理と国立大学』(吉川弘文館)など。
井上拓巳(いのうえ・たくみ)【第9講】
一九七九年生まれ。千葉県出身。さいたま市教育委員会学芸員。『荒浜湊のにぎわい ― 東廻り海運と阿武隈川舟運の結節点』(蕃山房)、「仙台藩廻米体制と穀宿」(『地方史研究』第四〇七号)など。
澁谷悠子(しぶや・ゆうこ)【第10講】
一九八二年宮城県生まれ。弘前市教育委員会高岡の森弘前藩歴史館学芸員。「墓石の普及と地域性―北海道・東北地方」(『季刊考古学』第一四九号)、『高岡の森弘前藩歴史館 名品図録』など。
高橋陽一(たかはし・よういち)【第11講】
一九七七年生まれ。奈良県出身。宮城学院女子大学学芸学部准教授。『近世旅行史の研究―信仰・観光の旅と旅先地域・温泉』(清文堂出版)、『古文書がつなぐ人と地域―これからの歴史資料保全活動』(東北大学出版会、共編著)など。
徳竹 剛(とくたけ・つよし)【第12講】
一九八〇年長野県生まれ。福島大学行政政策学類准教授。『政治参加の近代―近代日本形成期の地域振興』(清文堂出版)など。
手嶋泰伸(てしま・やすのぶ)【第13講】
一九八三年宮城県生まれ。龍谷大学文学部講師。「吉野作造の「憲政」及び「立憲」観」(『日本史研究』第六一四号)、「軍部批判にみる吉野作造の論理展開」(『日本歴史』第七七一号)など。
佐藤大介(さとう・だいすけ)【第14講】
一九七四年生まれ。東北大学災害科学国際研究所・准教授。『少年藩主と天保の危機』(大崎八幡宮)、『大災害からの再生と協働』(蕃山房)、『気候変動から読みなおす日本史 第6巻 近世の列島を俯瞰する―南から北へ』(共編著、臨川書店)など。
門馬健(もんま・たけし)【第15講】
一九八三年福島県生まれ。富岡町教育委員会。「地域の歴史・伝承博物館のいま―資料レスキューから生まれた歴史博物館『とみおかアーカイブ・ミュージアム』の資料保存と調査」(『博物館研究』第六五四号)、「京都守護職の創設前史―会津藩主の幕政進出と水戸藩」(佐々木寛司編『近代日本の地域史的展開―政治・文化・経済』岩田書院)など。