『ちくま評論選 三訂版』編者の言葉

今回の改訂では、掲載評論を一部入れ替え、別冊解答編等にも新たな工夫を加えた。二〇〇七年の初版発刊以来、世界の様相は、予想以上に厳しさを増している。想定している読者は、自分で考え抜こうとする強い意志と、他者の苦しみを捨ておけない柔らかな心をもつ若い人々、すなわち、あなたである。

第一部 私の地平線のうえに 人間は関係のなかで生きているから、私のおかれた状況に、しっかり目をすえる必要がある。「私」の諸状況を論じた評論で構成した。

第二部 「知」は越境する 世界を把握するためには、常識にあらがう視点と、諸学を横断する広い視野が必要だ。切り口の鮮やかな評論を集めた。

第三部 ことばによって存在の深みへ 精神と物質とが、ことばと身体として、人間をかたち作る。身体論、言語論で構成した。

第四部 テクストを読みなおす 意味作用をもつ事象の組み合わせが、テクストである。文学と歴史から、テクストの鮮やかな読みで際立つ評論をここに集めた。

第五部 明日の世界へ 過酷な現実を前にして、絶望するより、希望を手作りで育てていくことが、人間にはふさわしい。昔から、人々はそのようにして生きてきた。明日の未来をひらく評論で構成した。

プロローグでは、論理が記号操作にとどまらない人間的営為であることが、エピローグでは、礼節と他者への共感力をもつ新しい人への期待が述べられているが、そこに編者の強い思いを重ねる。

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