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ちくま新書

創造的福祉社会

——「成長」後の社会構想と人間・地域・価値

日本再生のビジョン

経済成長を追求する時代は終焉を迎えた。「平等と持続可能性と効率性」の関係はどう再定義されるべきか。日本再生の社会像を、理念と政策とを結びつけ構想する。

定価

946

(10%税込)
ISBN

978-4-480-06619-0

Cコード

0236

整理番号

914

2011/07/05

判型

新書判

ページ数

288

解説

内容紹介

「限りない経済成長」を追求する時代は終焉を迎えた。私たちは、人類史上三度目の「定常期」に直面している―。飽和した市場経済のもと、われわれの社会は「平等と持続可能性と効率性」の関係をいかに再定義するべきか。「拡大・成長」のベクトルにとらわれたグローバル化の果てに、都市や地域社会のありようはどう変化するのか。そして、こうした「危機の時代」に追求される新たな価値原理とは、人間と社会をめぐる根底的思想とは、いかなるものか。再生の時代に実現されるべき社会像を、政策と理念とを有機的に結びつけ構想する。

目次

時間軸/歴史軸―私たちはどのような時代を生きているか(創造的定常経済システムの構想―資本主義・社会主義・エコロジーの交差)
空間軸―グローバル化とローカル化はどのような関係にあるか(グローバル化の先のローカル化―地域からの“離陸”と“着陸”(コミュニティとしての都市―コミュニティ感覚と空間構造
地域の「豊かさ」とは何だろうか))
原理軸―私たちは人間と社会をどのように理解したらよいか(進化と福祉社会―人間性とコミュニティの進化(はじめに―「人間についての探求」と「社会に関する構想」をつなぐ
ケア/コミュニティの進化―人間社会の起源 ほか))

著作者プロフィール

広井良典

( ひろい・よしのり )

広井 良典(ひろい・よしのり):1961年生まれ。京都大学人と社会の未来研究院教授。専攻は公共政策、科学哲学。環境・福祉・経済が調和した「定常型社会=持続可能な福祉社会」を一貫して提唱。社会保障、医療、環境、都市・地域等に関する政策研究から、ケア、死生観、時間、コミュニティ等の主題をめぐる哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。著書『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)で大佛次郎論壇賞受賞。『日本の社会保障』(岩波新書、1999年)でエコノミスト賞、『人口減少社会のデザイン』(東洋経済新報社、2019年)で不動産協会賞受賞。他に『ケアを問いなおす』(ちくま新書)、『ポスト資本主義』(岩波新書)、『科学と資本主義の未来』(東洋経済新報社)など著書多数。

この本への感想

3.11以降に書かれた書物である。しかし、3.11以降に読むことがふさわしい書物である。3.11の決定的な意味は、近代の虚しさを私たちに示したことにある。今現在、近代的方法では日本社会は運営ができないことが、とりわけ虚しさを感じさせる。近代の国家運営方法とは、成長型社会運営である。その方法も今は虚しい。それでは次に、今現在そしてこれからの日本社会に関する少なくとも基本的なアイデアとして欠かせないものはないか?それが本書に書かれてある。近代的方法の通用しなくなった3.11以降の日本社会に欠かせない発想である。日本が近代を離れてしまったことを実感している方々にお勧めしたい。

樋口淳一郎

さん
update: 2011/07/22

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