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ちくま新書

血の日本思想史

——穢れから生命力の象徴へ

定価

1,012

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07384-6

Cコード

0221

整理番号

1561

2021/03/04

判型

新書判

ページ数

304

解説

内容紹介

現代の日本人は、「血は争えない」とか「血は水よりも濃い」などという表現が古くからあったと思っているだろう。だが、「血筋」や「血縁」「血統」などの言葉は、どれも江戸時代に普及した新語であり、江戸時代より前には世代間の「血」のつながりや継承という概念自体がなかった。日本では古来、「血」はもっぱら穢れを表すものであり、死の象徴として忌み嫌われる対象だったのだ。西洋社会の「血は受け継ぐもの」という認識が、カトリックの聖体拝領の教義とともに宣教師らによって日本にもたらされたことで、初めて江戸時代に「血」は家族のつながりを表すものという認識が少しずつ広まっていく。そして近松門左衛門の浄瑠璃における「血」という語の「発明」は、その後の日本語表現の幅を格段に広げ、血は西洋のように生命力の根源やそれを継承するものと広く認識されるようになり、日本人の生命観は大きな転換を迎えた。古代、中世から近世・近代に至る日本人の「血」へのまなざしの変遷をたどり、そこに日本人の生命観の転換をみる新しい思想史の試み。

目次

第1章 古代(血をめぐる東西
不浄観と家社会
今昔物語集の奇談)
第2章 中世(義経記の人間模様
信心と逆転劇
仏教思想と血脈
神道思想の系譜)
第3章 近世前期(儒者から儒者へ
西鶴文学の妙味
近松文学の造語
元禄期の国際交流
仏教諸派と儒家神道)
第4章 近世後期(血塗られた文学
武家の養子問題
仏教語の読み替え
国学と復古神道
蘭方医と産科医)
第5章 近代(成句と造語
西洋医学の最考端
政策としての国際結婚
法律上の親子関係)

著作者プロフィール

西田知己

( にしだ・ともみ )

1962年生まれ。日本史学者。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得退学。江戸文化を研究。著書に『民話・笑話にみる正直者と知恵者』(研成社)『子どもたちは象をどう量ったのか?』(柏書房)『親子で楽しむこども和算塾』(明治書院)『江戸のくずし字学習図鑑』(東洋書店)『江戸ちえ』(中経出版)『江戸時代の科学者』(全4巻、汐文社)他。

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