北川成史
( きたがわ・しげふみ )1970年、愛知県生まれ。早稲田大商学部卒。1995年に中日新聞社入社。同社東京本社(東京新聞)社会部を経て、2017年9月から3年間、東京新聞・中日新聞バンコク支局特派員(19年8月から支局長)として、アジア・オセアニアを担当した。現在、東京本社社会部記者。
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2021年2月1日、ミャンマー国軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー国家顧問らを拘束した。民主化に舵を切ったとみられていた国で起きた突然の政府転覆は、世界に衝撃を与えた。だが、クーデターの素地はかねて存在し、2017年にロヒンギャへの大規模な迫害が起きた後、スーチー氏と国軍の関係性が変化する中で、その芽は膨らんでいた。国軍が特権的な地位を持つミャンマーの特殊な国家構造、その背景にある複雑な民族構成、長年存在感を放つスーチー氏の人物像と国軍との関係を描き、クーデターに至った背景や国際社会の対応について検討していく。
少数民族武装勢力の本拠地や国粋主義仏教徒への取材、また息苦しさを増すメディアへの締め付けの描写など、現地で取材活動を行った著者ならではの臨場感あるレポートが魅力。
第1章 クーデターの衝撃(未明の急襲
暴挙の前兆
広がるデモ)
第2章 スーチーと国軍(創設の父、対立の娘
特権の侵食
冷めた関係)
第3章 多民族国家の矛盾(ロヒンギャ七〇万人の流出
独立国「ワ」
タイ国境の両側)
第4章 狭まる言論(真実への報復
後退する自由
暴走するSNS)
第5章 問われる国際社会(関係国の思惑
日本の役割)
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