中嶋洋平
( なかしま・ようへい )1980年生まれ。同志社大学グローバル地域文化学部助教。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学、フランス国立社会科学高等研究院政治研究系博士課程修了。政治学博士。著書に『サン=シモンとは何者か』(吉田書店)、訳書にドミニク・シュナペール『市民の共同体――国民という近代的概念について』(法政大学出版局)などがある。
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サン=シモン、オーウェン、フーリエ。この3人の名を聞けば、ほとんどの人が「空想的社会主義」という言葉を連想すると思う。そして、空想的社会主義とは、「社会主義・共産主義の始まりに位置する、理想はあるけれども実現方法が曖昧な思想」だとされている。
だが、彼らの一人として生前に「空想的社会主義者」を名乗った人はいないし、社会主義を打ち立てようと思った人もいない。さらに、現在「空想的社会主義」と言われる思想は、彼らの仕事のうちほんの一部でしかない。
今、私たちが「空想的社会主義者」と捉えている思想家たちは、どのような時代を生き、そのなかで何を考えたのか。なぜその思想が「空想的社会主義」と呼ばれるようになったのか。本書では、フランス革命直後のヨーロッパを生きた思想家たちの群像劇として、「社会主義」の中に位置づけられる前の彼らの思想を活写していく。
政治の混乱や産業構造の変化によって荒廃した世の中を、どのように立て直すのか。その中心課題としての格差問題。これらは現代に通じるテーマであり、今サン=シモンらの思想を捉え直す意味は大きい。
第1章 市民革命と産業革命―社会をめぐる動揺と混乱(「社会」の出現
フランス革命
革命の焼け跡の中で)
第2章 ナポレオンのヨーロッパ―社会の安定を目指して(ヨーロッパ国際情勢の安定の中で
実践と思想の共時性
社会の理想を描く)
第3章 ウィーン体制としばしの安定―社会の理想を求めて(産業発展と自由、あるいは現実
資本主義は悪なのか
資本家と労働者の融和)
第4章 成長する資本主義の下で―出現した社会の問い直し(資本主義社会の矛盾
資本主義の否定か、資本主義の中での改革か
空想から科学へ)
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