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ちくま新書

ルポ 特殊詐欺

強盗まがいの凶行で数百万円だまし取られる被害者。「家族を殺すぞ」と脅され、犯行から抜け出せない末端従事の若者。今最も身近で凶悪な犯罪のリアルに迫る。

定価

946

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07515-4

Cコード

0236

整理番号

1691

2022/11/08

判型

新書判

ページ数

240

解説

内容紹介

強盗まがいの凶行で数百万円だまし取られる被害者。「家族を殺すぞ」と脅され、犯行から抜け出せない末端従事の若者。今最も身近で凶悪な犯罪のリアルに迫る。騙すも地獄、騙されるも地獄――オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗などの「特殊詐欺」が社会問題化して20年余、累計被害総額は5743億円、1日あたり7730万円の被害が出ている。年々手口が巧妙化し、強盗や傷害、殺人未遂事件を引き起こすなど粗暴化し、末端で犯行に及んでいるのはSNSでの「闇バイト」募集から簡単にリクルートされた若者だ。本書は近年に起きた事件に取材し、犯罪グループ側の組織の構図、実行の手口を犯人の視点から描く。少年から高齢者まで、全世代が警戒すべき凶悪犯罪のリアル。

目次

 はじめに
第一章 暗躍する捨て駒たち
 1 追いつめられる末端【出し子=川上博】
 「出し子」の仕事と報酬/のまれた通帳/「もう死ぬしかない」/巡査の事件/暗転した人生/交番へ自ら/受刑
 2 転々とする詐欺拠点【かけ子=木村航】
 「かけ子」の巧妙な手口/紹介した「仕事」/使われるリスト/決まらぬ一番、二番
 3 口開け待つ犯罪の罠【受け子、出し子=上原通雄】
 「闇バイト」の実相/「ネットに晒すぞ」/犯罪意識の希薄化/マニュアル
 4 「頂点」と呼ばれた男【主導役=赤城茂】
 最上位者として/私は「中間管理職」/たたき上げ系
第二章 粗暴化する特殊詐欺
 1 組織的強盗事件【緊縛強盗犯=吉田豊】
 1000万円の強奪金が消えた/偽物の警察官/強盗を実行する/ギャンブル依存から闇バイトへ/凶悪化する手口/脅迫と通報/不用意
 2 最愛の家族を守るため〝凶悪犯?に【強盗致傷犯=桶谷博】
 順風な家庭の陰に/「高収入」「グレーバイト」/最初で最後/転々、命じられるままに/横浜事件/91歳老女への凶行/証拠残さぬ悪知恵/愛妻「ちゃんと寝ているの?」/操り人形/川崎事件/「最後に1件やれ」/懲役7年6月
第三章 より巧妙に、より複雑に
 1 〝飛び?の首領と呼ばれた男【大門充博】
 県境を越えた逮捕劇/犯行の構造/「飛ばれないため」/報酬の割合/横須賀事件
 2 懸賞金をかけられた凶悪犯
 タタキの男たち/土地勘なし、計画もなし/「金庫はどこだ!」/逃走/被害1000万円超/父の号泣/高校を中退し人生の岐路へ/〝飛び?が飛ばれて追い込まれ/不審な封筒/「だったら飛んだ方が」/「逃げ切れないよ」
第四章 暴力団と特殊詐欺
 1 組関係者の関与が引き金
 典型「通帳をなくした」/損害賠償請求/和解の潮流/ある通知文
 2 途絶する資金源
 リクルートの方法/突き上げ捜査の困難/漸減する構成員と〝しのぎ?/「占有屋」の排除/徹底した暴排/そしてトクサギへ/「詐欺」の圧倒的な増加
第五章 人生を見つめ直す加害者
 1 ある実行犯の生い立ち
 連続窃盗犯の横顔/「最後のご飯だよ」/選抜、推薦からの中退/「もう帰る家はない」/窃盗の罪で逮捕・送検/未決少年の身柄
 2 悪事への着手
 転落/「闇バイト」と検索/詳細なマニュアル/組織内の用語
 3 慣れた手つきで次々と
 スマホで警察手帳/刺す、そして出金/10日間で1000万円超/「もう、やめたい」/死んだ板は捨てる/一瞬で囲まれ連行/「自暴自棄になり」
 4 逮捕後の手記
 反省と不安/責任と判断/欲との闘い
 5 弱き者が巻き込まれる
 親しくしてくれた後輩が/中原の生い立ち/借金を勧める親友/投資話/「強盗か、闇バイトか」/足元を見つめて/加害者という被害
最終章 トクサギの行方
 1 20年の時を経て
 社会問題化/オフィス型の拠点は減少/かけ子の追跡/犯行の単独化/いたちごっこ/暴力団の関与/「啓発」の限界と奏功する「対策」
 2 捉え方を見直さなければ
 なぜ厳罰化されないのか/詐欺だけにとどまらない被害/啓発が必要なのは対若年層/捜査手法多様化の壁
 3 社会構造が生み出す犯罪
 富める高齢者/貧困の若年層
 おわりに 自動録音機の配備/じかに声かけを

著作者プロフィール

田崎基

( たさき・もとい )

田崎 基(タサキ モトイ):1978年生まれ。神奈川新聞記者。デジタル編集部、報道部遊軍記者、経済部キャップ、報道部(司法担当)を経て、現在報道部デスク。憲法改正問題、日本会議、経済格差問題、少子高齢化問題、アベノミクス、平成の経済などを担当し、取材を続けている。参画した神奈川新聞『時代の正体』取材班が、2016年度JCJ賞受賞。著書に『令和日本の敗戦』(ちくま新書)、共著書に神奈川新聞取材班著『時代の正体(Vol.1~3)』(現代思潮新社)、塚田穂高編著『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩書房)ほか。

スペシャルコンテンツ

ルポ 特殊詐欺 田村淳 田崎基 犯罪 凶悪

寄せられたコメント

これが実話とは……犯人視点の描写が恐ろしくも目が離せない。
──

田村淳

さん

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