東北地方の近世・近現代は、「奥州仕置」と「戊辰戦争」という、政権による軍事行動を契機として、中央政権の国家的枠組みのもとで展開をみせた。東北の独眼竜が秀吉に恭順して遂行された奥州仕置は現在の東北六県の枠組みの原型を生み出し、明治新政府との戊辰戦争では敗者として中央に従属する東北地方の社会構造を定着させた。東京以西と比較して工業化が遅れ、労働力と資源供給のための後進地域と位置付けられてきた。脆弱な農村は、度重なる災害や凶作から人口移動を招き、また世界大戦では、東北出身の兵士は強いという俗説から積極的に激戦地に投入された。こうした傾向は現代にも共通する一方、各県庁所在地には近代都市の文化要素が持ち込まれ、政治や学問の世界に多くの人材を輩出している。