若林宣
( わかばやし・とおる )若林 宣(わかばやし・とおる):1967年生まれ。 ライター。航空機、船舶、車などから太平洋戦争を読み解く乗り物ファン。著書に『帝国日本の交通網――つながらなかった大東亜共栄圏』(青弓社)、『日本を動かした50の乗り物』(原書房)、『戦う広告――雑誌広告に見るアジア太平洋戦争』(小学館)などがある 。
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B-29の名は、日本人なら誰でも知っている。太平洋戦争を題材にした作品には必ずと言っていいほど登場する爆撃機だが、誰に教えてもらった記憶もないのにそれがB-29であることはわかっているというくらい、B-29は太平洋戦争そのものを象徴する存在になっている。本書では、「B-29は、どのように日本人にとって特別な機体になったのか」を、当時の資料をもとに紐解いていく。
B-29は当時の爆撃機としては飛距離が長く、中国やグアムから日本を爆撃することができた。日本に最初に現れたのは1944年6月の北九州・八幡製鉄所であり、墜落機の検分は大きな話題となった。敵を知るためといって模型が売られたり、爆音を聞き分けるためのレコードが発売されたりと「B-29消費」ともいうべき現象が起きた。敗戦後はアメリカの力の象徴として様々な文化人に語られると共に貸本漫画などに登場し、さらに1970年前後の戦争体験を記録する運動を経て、『火垂るの墓』に至る日本人の戦争体験の象徴になっていった。B-29からみる日本人の戦争体験。
1 B‐29の誕生(「戦略爆撃」という思想
B‐29の誕生まで)
2 戦前日本の空襲観(飛行機が帝国を表象する
海野十三と防空小説
日中戦争における空襲観)
3 本土空襲(日本本土空襲のはじまり
B‐29、東京上空に現れる
体当たり攻撃をめぐって
振りまかれる恐怖
B‐29搭乗員の処遇)
4 戦後のイメージ形成(敗戦から占領期の語り
アメリカの基地として
野坂昭如と B‐29
B‐29は美しかったのか)
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