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ちくま新書

ファラオ

——古代エジプト王権の形成

謎に満ちた最高権力者の実像

エジプト文明はなぜ三千年にもわたり存続しえたのか。その統治者たるファラオの王権はいかにして形成されたのか。最新研究から古代エジプト世界の根源に迫る。

定価

1,056

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07676-2

Cコード

0222

整理番号

0

2025/03/06

判型

新書判

ページ数

304

解説

内容紹介

謎に満ちた最高権力者の実像

かれらはなぜ3000年にもわたる文明を維持しえたのか。
ミイラやピラミッドは何のためにつくられたのか。
最新の考古学的成果から、古代エジプト世界の根源に迫る!

紀元前3100年ごろに成立し、幾度かの混乱期を経つつも、約三千年にもわたり存続したエジプト文明。そのなかでファラオは王権と神性を兼ね備えた最高権力者であり、政治、社会、経済、軍事はもとより、さまざまな象徴物も神話も、すべてファラオを中心とするかたちで展開した。本書では、最新の考古学的知見に基づき、その起源から王権・神性の背景、ファラオの果たすべき使命、さらにはミイラの作り方やピラミッドの目的までを幅広く紹介。謎に満ちたその実像に迫る。

目次

はじめに

第1章 背景――自然環境と歴史概要
1 自然環境
ナイル/増水現象/ナイルの利用
2 古代エジプト小史
初期王朝時代/古王国時代/中王国時代/第二中間期/新王国時代/第三中間期以降

第2章 起源――エジプト文明はいかにしてうまれたか
1 ヒエラコンポリス遺跡の概要
先王朝時代のナカダ文化/調査の歴史
2 遺跡を発掘する
調査隊への参加/土器工房/焼成方法の復元/最古のビール工房/ビールの同定分析/食品加工工房/巨大壁体/集落から生産地区へ
3 社会の複雑化
墓からみた階層化/エリート墓地/集落からみた専業化/陶工の生産形態
4 新たな国家形成論
文化的統合/統合におけるビールの重要性/政治的統合/アビドスの支配者出現/北方進出

第3章 神性――神とファラオの世界
1 神話の世界
古代エジプトの宗教/世界の創造/神々の誕生/ヘリオポリス神学大系/メンフィス神学大系/ヘルモポリス神学大系/人間の誕生/オシリス神話
2 ファラオの世界
ファラオの位置づけ/ファラオの神性/セド祭/戴冠式/ファラオのお仕事――マアトの維持/神殿/神殿の構成要素/神殿での活動/カバ狩り儀礼

第4章 王権――権力とイデオロギーの制度化
1 制度としての王権
王権とは何か/ファラオの王権/王権観の変化
2 動物儀礼と王権の形成
新たな考古資料/祭祀センターの動物儀礼/マアト維持の形成/エリート墓地の動物埋葬/野生動物の飼育/王権イデオロギーの形成
3 エリートとファラオの形成
狩猟と権力/かれらはどこから来たのか/なぜヒエラコンポリスだったのか

第5章 来世――その死生観とミイラ
1 魂、冥界、再生
二つの魂/冥界で生きるかたち/冥界の場所/太陽の再生復活/ピラミッド・テキスト/ファラオの再生復活/ピラミッド内での復活プロセス
2 オシリス信仰の興隆
来世の民主化/コフィン・テキスト/死者の書/アム・ドゥアトの書/墓とは何か
3 ミイラとは何か
ミイラの語源/ミイラの起源/ミイラの製作/憐れなミイラ

第6章 ピラミッド――その誕生と機能
1 ピラミッドの誕生  
最初のピラミッド/初期王朝時代の王墓/ピラミッドの萌芽/初期王朝時代の周壁/ピラミッド・コンプレックスの成立/ピラミッドの建設場所/古王国時代の首都と王宮
2 階段ピラミッドから真正ピラミッドへ  
崩れピラミッド/屈折ピラミッド/赤いピラミッド
3 ピラミッドの絶頂期  
ギザ台地の開発/クフ王の大ピラミッド/完成当時のピラミッド/大スフィンクス/夢の碑文
4  ピラミッド・コンプレックスの意味  
構成要素/機能/なぜピラミッドとなったのか?/ピラミッドは権威の強化?
5 ピラミッド建設にまつわる誤解  
建設労働者は奴隷?/ピラミッドは公共事業?/ピラミッド労働者の出勤簿はない
6 ピラミッド時代の終焉  
縮小していくピラミッド/王権衰勢の環境的要因/王権衰勢の政治経済的要因
7 ピラミッドはお墓?  
墓の認定/ストロウハルの献身的研究/クフ王の埋葬はどこに?

おわりに/あとがき/古代エジプト年表/参考文献/図版出典

著作者プロフィール

馬場匡浩

( ばば・まさひろ )

馬場 匡浩(ばば・まさひろ):1974年、神奈川県生まれ。早稲田大学大学院文学学術院博士後期課程修了。博士(文学)。早稲田大学文学学術院助手、日本学術振興会特別研究員PD、英国カーディフ大学客員研究員、早稲田大学文学学術院助教、早稲田大学高等研究所准教授(任期付)などを経て、現在は早稲田大学考古資料館学芸員、東日本国際大学客員准教授。1996年よりエジプトの発掘調査に携わる。著書に、『エジプト先王朝時代の土器研究』『古代エジプトを学ぶ――通史と10のテーマから』(ともに六一書房)などが、訳書にザヒ・ハワス『黄金のミイラが眠る谷』(吉村作治監修、汐文社)がある。

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