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ちくま学芸文庫

初期ギリシア自然哲学者断片集 3

定価

1,650

(10%税込)
ISBN

978-4-480-08598-6

Cコード

0110

整理番号

-6-3

2001/07/10

判型

文庫判

ページ数

560

解説

内容紹介

B.C.8~4Cの初期ギリシア世界に、万物の始まりや人間のあり方などを総体的に捉えようとして考え抜いた哲学者たちがいた。本書は、彼らの生涯とその著作断片を集めた唯一の基本文献として名著の誉れ高い、ドイツの碩学ディールスとクランツの編纂本を底本として、そのなかから最も重要な15人を選び、平明かつ明快な訳文に訳注を加えて文庫版全3巻にまとめたものである。ハイデッガーにより、存在の故郷として望郷されたソクラテス以前の初期ギリシア自然哲学の本来の姿を現代に蘇らせ、近代世界を決定的に規定するにいたった主観性原理によって隠蔽された存在の真理をあらわにする。第3巻は、レウキッポスとデモクリトス2人の原子論者を収録。

目次

レウキッポス(生涯と学説
著作断片)
デモクリトス(生涯と学説
著作断片
倣作)

この本への感想

 後期ハイデガーから示唆を受けて、ソクラテス・プラトン以来の「主観性の哲学」とヘブライズムの「神という名の巨大な主観性」の合体が、「西洋形而上学」であり、これは「存在の忘却」であったとしている。そしてソクラテス以前の「存在への還帰」を呼びかける書である。

 その意味で日下部吉信は既成の哲学といわれているものを根底から覆すような画期的問題提起を行っているのである。根底から存在の意味を問い直すことが、本来の意味で哲学と呼ぶべきだとしたら、この書こそ哲学の真骨頂であろう。

 またソクラテス以前の哲学者についての豊富な文献を縦横に駆使しての分析は実に見事であり、説得力がある。特にピュタゴラスやデモクリトスなどについての分析は躍動感にあふれるものである。しかも決して難解ではなく、単純な図式の下できれいさっぱり整理されている。その意味で実に明快な書物であり、ギリシア哲学への全く新しい入門書としても注目されるべき作品になっている。

 この書を読み応えのあるものにしているのは、文献学的な興味を超えて、著者の存在へのあこがれ、自然へのあこがれが文明に対する危機感とともに清らかな鐘の音となって鳴り響いてくるからである。そこに著者日下部吉信の若々しいパトスが迫ってくるのを覚えて、こちらまで胸が熱くなるのだ。

榊周次

さん
update: 2008/08/05

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