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単行本

イギリス近代と自由主義

——近代の鏡は乱反射する

定価

2,970

(10%税込)
ISBN

978-4-480-86742-1

Cコード

0022

整理番号

2023/01/26

判型

A5判

ページ数

320

解説

内容紹介

「経済的自由主義」を最も体現したとされる、イギリス近代。本書は、イギリス近代の「経済的自由主義」とは何であったかを、膨大な文献をもとに明らかにし、その政策の本質と担い手についての通説を覆す。それによって、イギリス近代の「経済的自由主義」の虚構性を明らかにすることを目指す。イギリスは19世紀後半以降、欧州において、金本位制と自由貿易の国際経済秩序を作り上げたが、いかにしてそれは可能になったのか。国内においては均衡財政と「小さな政府」を追求し、国外では「自由貿易」を掲げながら、アジア・アフリカにおける非資本主義的な経済圏を、いかにして世界市場に組み入れていったのか。これまで近代国家に関する研究では、税制を含めて「近代」的性格をもつ諸制度ばかりを取り上げ、一見、「近代的」でない諸制度は切り捨ててきた。だが、著者の研究によれば、イギリス「近代」国家は、内には地方、外には植民地という「非近代」的な領域を組み入れ、それらを絶えず食い潰していった。その態様を、膨大な文献から明らかにし、西欧「近代」の徹底的な相対化を図ったのが、本書。定説化したブリュアの「財政=軍事国家」論に再考を迫っ渾身作である。

目次

第1章 幼稚産業保護―インド対イギリス(産業革命とイギリス綿業保護政策
植民地体制再編と輸出向けインド綿業の破壊)
第2章 「安価な政府」と植民地財政―英印財政関係を中心にして(イギリス植民地財政の急膨張とインドの戦略的地位
「安価な政府」を支えたインド財政 ほか)
第3章 名誉革命体制とイギリス近代国家(「財政=軍事国家」論の登場
名誉革命体制と統治構造 ほか)
第4章 「自由主義」的行財政改革への転換(地主貴族政による経済的「自由主義」
一七八〇?八七年の「自由主義」的行財政改革 ほか)
第5章 イギリス近代国家における中央と地方(イギリス近代「自由主義」のアポリア
近代国家機構創出をめぐる相克 ほか)

著作者プロフィール

金子勝

( かねこ・まさる )

金子 勝(かねこ・まさる):1952年、東京都生まれ。経済学者。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京大学社会科学研究所助手、法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現在、立教大学経済学研究科特任教授、慶應義塾大学名誉教授。財政学、地方財政論、制度経済学を専攻。著書に『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)、『新・反グローバリズム』(岩波現代文庫)、『「脱原発」成長論: 新しい産業革命へ』(筑摩書房)、『平成経済 衰退の本質』(岩波新書)、『資本主義の克服』(集英社新書)ほか多数。

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