序 章 日米安保と日本国憲法
水と油/米国が驚いた日本政府の「奥の手」/「静かな政変」/同盟からネットワークの「抑止戦」へ
第一章 日米、異なる安保構想
日米安保条約の本質とは/最後の陸軍大臣・下村定「新自衛軍構想」/岸信介の改憲発言/下村と岸に共通する「国民精神の作興」/沖縄の犠牲の上の平和/米国のアジア・太平洋安保政策/アジア・太平洋の中の日本/米軍の統一指揮とは/日米行政協定の非公式交渉/「協定」より「協議」へ/新たな米国案/吉田首相の口頭密約/米国側の不安とこだわり/押しつけ安保/米軍基地は治外法権/在日「米軍人・関係者」の特権/米軍人による刑事事件/行政協定か行政執行協定か/大平三原則/日米行政協定に法令番号はなかった/憲法改正は可能か/ダレスの皮肉/憲法九条を棚あげして、政府間協議を/岸の「二段構え」提案は本当か/砂川事件と最高裁判決/日米の共同犯罪/非公開文書、一三・五%/日本の「ない、ない」政策/「ない、ない政策」の裏で進んだ軍事力強化/密約を背負った大平首相の苦悩/日米安保体制からの脱却案/小林直樹の「違憲合法論」/国民的関心の低下が進行させた違憲合法
第二章 被爆国にとっての核の安全保障
核開発の栄光と不安/揺らぐ原爆投下の正当性/大統領への警告/政治の中の原子爆弾/佐藤栄作「核四原則」/非核三原則の詭弁/沖縄返還と核密約/密約を軽視する危うい政治/政府の報告書は「密使」が書いたか?/小国からの非核化/非核化と相互安全保障条約/連帯すすむ非核化││ASEAN、南太平洋諸国/中央アジアの非核化/核の倫理的批判から違法化へ/個人や非政府組織から国際的法規制へ/声を上げた米国の「長老」たち/「オバマの悲劇」と被爆者/非人道的な兵器を制限する国際社会
第三章 日米軍事一体化と憲法九条
村山富市首相の「日米安保堅持」/条約改正なき再定義/条約改正なしの共同宣言/仮訳のままの共同宣言/ガイドライン「基本的な前提及び考え方」の変遷/拡大する周辺と事態/再び出現した「指揮」問題/「作戦」か「活動」か/「難民」か「避難民」か/「難民」受け入れ後に「避難民」制度を創設/PKO参加の条件/自衛隊員を混乱させた「指揮」と「指図」/PKOの実態を隠蔽した行政/多国籍軍の指揮権問題/日本の立場と米英の本音/吉田密約との違い/「統合」と「統一」の違い/問題の本質を見誤った議論/政治的な「例外状況」/ナチスと例外状況/日米同盟、いまだ仮訳中/「日本独自の指揮権」の現実/日米一体化とは何か/日本政府見解の明らかな矛盾/米軍側のメリット/日本の司法は指揮権をどう見てきたか││最高裁「砂川事件」判決/内外両面からの「日米一体化」
第四章 「セキュリティ」――原点と変遷
「安全保障」の起源/日本語の「安全保障」/安全保障の反対語/安全保障の発見/カントの平和論/安全保障と平和/安全保障と社会保障/社会保障の分裂/日本での社会的安全保障(社会保障)/米国にとっての安全保障/米国の国家安全保障/国家安全保障││概念としては脆く、政治的には強い/変化し始めた日米同盟/戦争はできても、勝利者がいない戦争/日本的「人間の安全保障」/マイナンバーは、国家安全保障制度/再検討の時代に
第五章 地殻変動期に入った日米安保
言葉が生み出す政治力/生活者の言葉としての憲法/学ぶべきは「強いアメリカ」ではなく「アメリカの強さ」だ/日韓米三国による連携 /岸田・バイデン会談││日米同盟からネットワーク安保へ/統一指揮から日米連合司令部へ/インド太平洋軍の組織改編/張り子の軍事大国・日本/尖閣諸島についての米国の立場/ネットワーク安保の下での日本の主権/日本の主権と独立性
終 章 立憲主義の復権を目指して
最高法規としての憲法/「九条棚あげ」で失ったこと/立憲主義の喪失/岸信介は生きている/安保五条の下での憲法九条の改正/「抑止戦後」の日本/侵略なき八〇〇年の歴史/「カミカゼ」は今、自衛隊とともにある