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筑摩選書

ドキュメント 北海道路線バス

——地域交通 最後の砦

鉄道廃線を引き継いだ最果ての地の乗合バス その苦闘の記録

危機に瀕する北海道の路線バスの現状を現地徹底取材。経営者、運行管理者、運転手の生の声を記録し、地方交通問題を総合的に考察。問題解消への方策を提言する。

定価

1,980

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01818-2

Cコード

0365

整理番号

0

2025/03/12

判型

四六判

ページ数

320

解説

内容紹介

鉄道廃線を引き継いだ北海道の路線バスは、過疎化や少子高齢化により危機に瀕している。自然環境もきびしく、冬の日本海沿いでの運行は突風、ホワイトアウト、猛吹雪で困難を極めるが、運転手は高度な運転技術と旺盛な使命感で日々闘っている。バス輸送の現場はいかなる問題に直面しているのか。運行管理者、運転手の生の声を徹底取材。DMV、BRTの現在や、イギリスのバス復権の動きも調査し、バス2024年問題や運転手不足への対策に向けた提言も行う。

目次

まえがき

第一章 真冬の路線バス――過酷な気象条件のなか北を目指す
  1 暴風雪で公共交通が途絶した2日間
  2 暴風雪去る――運転再開へ向けての準備
  3 運転再開の朝――町の営みが動き出す
  4 天塩高校へ通う高校生で満員に
  5 冬に豹変する天塩の道

第二章 自然とのきびしい闘い――今日も走る国鉄代替バス
  1 国道に立つ「海抜4m」標識
  2 大雪で市内道路がマヒした留萌
  3 乗合自動車から羽幌線へ
  4 羽幌線廃止から代替バスへ

第三章 生活バス路線を守る――道東・中標津町の闘い
  1 北海道最長の路線バス――釧路羅臼線乗車記
  2 根釧台地の開拓を支えた標津線の廃止
  3 自治体とバス会社の共闘
  4 中標津空港線を守る根室交通

第四章 道北を走る長距離都市間バス――札幌~枝幸298㎞、5時間半の旅
  1 豪雪地帯を横断する道央自動車道
  2 士別剣淵インターチェンジから国道40号線(名寄国道)へ
  3 天北線跡から歌登町営軌道跡へ
  4 終点枝幸ターミナル到着――極寒のなかの洗車作業
  5 夕張炭鉱から鉄道をへてバス運転手へ
  6 2024年問題がバス業界に落とす影

第五章 日本最北のバス路線――宗谷バスを走らせる人たち
  1 宗谷バスの歴史
  2 昭和を駆け抜けた2人のベテラン
  3 宗谷バスのエース、札幌直通「わっかない」号
  4 女性ドライバーならではの心遣い

第六章 人手不足社会への試行――自動運転バスはどこまで進化するか
  1 運転手のいないレベル4運転が始まった上士幌町
  2 次なるステップは人間の価値判断

第七章 DMVとBRT――バスの可能性を広げる試み
  1 雪の少ない道東で始まったDMV実験
  2 DMV導入を断念した夕張市と成功した阿佐海岸鉄道
  3 日本のDMV開発史
  4 戦時廃線となった白棚線復活で誕生したBRT
  5 東日本大震災の復興に寄与した三陸BRT
  6 自動運転化への胎動

第八章 イギリスのバス復権――徹底したバス優先施策で利用客を呼び戻す
  1 バスに乗って帝国戦争博物館を目指す
  2 徹底したバス優先ルール
  3 成功したロードプライシング(混雑課金)
  4 地域バスの存続を地方政府機関が主導

第九章 続く路線バス運営の試練――コロナ禍と2024年問題
  1 コロナ禍による外出抑制で経済環境が激変
  2 乗客が急減少した北海道の路線バス
  3 コロナ禍でバス運転手の離職が加速
  4 全国に広がるバス運転手を募る動き

終 章 バス運転手不足への提言

あとがき
参考文献

著作者プロフィール

椎橋俊之

( しいはし・としゆき )

椎橋 俊之(しいはし・としゆき):1951年、東京・本郷生まれ。自動車雑誌の編集長を経て独立し、ライター、編集者として鉄道や自動車の評論活動に携わる。著書に『SL機関士の太平洋戦争』(筑摩選書)、『鉄の馬と兵ども──「証言」蒸気機関車 蒸機乗務員回顧録』(イカロス出版)、『ドキュメント・感動の所在地──忘れえぬ鉄道情景1~3』『「SL甲組」の肖像1~8』(以上、ネコ・パブリッシング)、『ル・マン。見果てぬ夢──ニッサン・グループCの軌跡と野望』、『ジャパニーズヒストリックカーのテクノロジー』、『スーパーカーのテクノロジー』、『レーシングカーのテクノロジー』(以上、三栄書房)など。2021年「鉄の馬と兵ども」ほか一連の著作に対して島秀雄記念優秀著作賞受賞。

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