loading...

ちくま新書

聖母の美術全史

——信仰を育んだイメージ

定価

1,375

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07401-0

Cコード

0270

整理番号

1578

2021/06/08

判型

新書判

ページ数

480

解説

内容紹介

聖母の美術は古今東西におよぶ。しかし、聖母マリアは、聖書においてもその実態は明らかにされていない。ナザレに実在したというこの女性は、その没後、様々な伝説を生み、拝まれるべき画像に作り上げられ、カトリックの爆発的な勢力拡大に一役買った。人々は苦しい時につねに、「強い神」ではなく、「母なるもの」を求めるからだ。
イシスやイシュタルといった東方の女神に端を発し、イコンとして描かれるようになったのが聖母のイメージの起源であるが、「聖母」は単なる祈りの対象であるにとどまらず、あるときは教義を教えるイメージとなり、さらには病を癒し、遠ざける存在となり、キリスト教の中心的な主題として美術史を牽引することになる。
さらに、16世紀にはアジア、南米に伝えられ、その土地土地の女神を結びつき、新たな広がりを見せた。日本における南蛮文化や隠れキリシタンの表象もその一つである。
本書は、聖母のイメージの変遷を、起源から衰退、変容に至るまで、ていねいにたどる、画期的な一冊。従来の美術研究の枠組みを超え、民俗学、歴史学を自在に縦横しつつ、多くの画像で後づけ、語られる異色の美術史の誕生です。

目次

はじめに 聖母と美術―なぜ信仰を集めるのか
第1章 聖母像の成立―イコンと黒い聖母
第2章 中世の聖母―涙と乳
第3章 ルネサンスの聖母―「美術の時代」の始まりと危機
第4章 バロックの聖母―危機の時代の幻視と爛熟
第5章 聖母像の広がり―植民地・民衆への浸透
第6章 東洋の聖母―インド・中国・日本への伝播と変容
第7章 近現代の聖母―衰退から変奏へ

著作者プロフィール

宮下規久朗

( みやした・きくろう )

宮下 規久朗(みやした・きくろう):美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授。1963年名古屋市生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学院修了。『カラヴァッジョーー聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞など受賞。他の著書に、『バロック美術の成立』(山川出版社)、『食べる西洋美術史』、『ウォーホルの芸術』、『美術の力』(以上、光文社新書)、『カラヴァッジョへの旅』(角川選書)、『モチーフで読む美術史』『しぐさで読む美術史』(以上、ちくま文庫)、『ヴェネツィア』(岩波新書)、『闇の美術史』、『聖と俗 分断と架橋の美術史』(以上、岩波書店)、『そのとき、西洋では』(小学館)、『一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》』(ちくまプリマー新書)、『聖母の美術全史』(ちくま新書)、『バロック美術――西欧文化の爛熟』(中公新書)など多数。

本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。

  • [*]は必須項目です。おそれいりますが、必ずご記入をお願いいたします。
  • (ここから質問、要望などをお送りいただいても、お返事することができません。あしからず、ご了承ください。お問い合わせは、こちらへ)
  • ※お寄せいただいたご意見・ご感想の著作権は小社へ帰属し、当ホームページや小社出版物に転載させていただく場合がございます。
  • ※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご了承ください。

「ちくま新書」でいま人気の本

いま話題の本