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ちくま文庫

神も仏もありませぬ

いつ死んでもいい、 でも今日でなくていい。

還暦を迎えた、もう人生おりたかった。けれど春のきざしの蕗のトウに感動する自分がいる。意味なく生きても人は幸せなのだ。 【解説: 長嶋康郎 】

第3回小林秀雄賞

定価

638

(10%税込)
ISBN

978-4-480-42493-8

Cコード

0195

整理番号

-5-5

2008/11/10

判型

文庫判

ページ数

240

解説

内容紹介

呆けてしまった母の姿に、分からないからこその呆然とした実存そのものの不安と恐怖を感じ、癌になった愛猫フネの、生き物の宿命である死をそのまま受け入れている目にひるみ、その静寂さの前に恥じる。生きるって何だろう。北軽井沢の春に、腹の底から踊り狂うように嬉しくなり、土に暮らす友と語りあう。いつ死んでもいい、でも今日でなくていい。

目次

これはペテンか?
ありがたい
今日でなくてもいい
虹を見ながら死ね
声は腹から出せ
フツーに死ぬ
そういう事か
それは、それはね
そうならいいけど
納屋、納屋
フツーじゃない
じゃ、どうする
何も知らなかった
山のデパートホソカワ
出来ます
他人のウサギ
謎の人物「ハヤシさん」
金で買う
あとがきにかえて

著作者プロフィール

佐野洋子

( さの・ようこ )

(1938-2010)北京生まれ。武蔵野美術大学卒業。絵本、小説、エッセイの各分野で活躍。2003年紫綬褒章受章。絵本に『100万回生きたねこ』、『おじさんのかさ』(サンケイ児童出版文化賞推薦)、『わたしが妹だったとき』(新美南吉文学賞)、エッセイ集に『がんばりません』『私はそうは思わない』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『シズコさん』『役にたたない日々』など。

この本への感想

 読むほどに佐野さんの元気が私にも伝染してきました。

 真っ暗な夜の山の中を、温泉の川目指して、まっしぐらに突き進む佐野さん。会ったこともない農家の人に「旦那いないの。へー」と電話で言われて「居たよ、居たよ。前は居たよ。二人も居たよ」と思わず言い返してしまう佐野さん。・・・そんな佐野さんの“元気”はチャーミングで、キラキラと輝いている。おかげで、読んでいるこちらの身体も、そのキラキラを浴びて元気がだんだん満タンになってくるのでした。
 (もちろん元気な話ばかりではない。落ち込む話、悲しい話もこの本には収められている。でもそれらを肯定的に受け入れてゆく佐野さんの姿勢は、読んでいてなんとも気持ちがいい)

 神も仏もいなくても、人間が居る。
 佐野さんが居て、この本が有る。
 読むと、なんだかウキウキしてくる本なのでした。

羊我堂

さん
update: 2010/03/15

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