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ちくま文庫

シベリヤ物語

——長谷川四郎傑作選

シベリヤ抑留帰りの異才が残した 静謐にして不穏な足跡

シベリヤの捕虜収容所で出会った人や忘れがたい光景、労働の日々を透徹した文体で描く戦争文学の名著。詩・エッセイ・短篇を加えたオリジナル編集版

定価

1,210

(10%税込)
ISBN

978-4-480-43960-4

Cコード

0193

整理番号

-57-1

2024/07/10

判型

文庫判

ページ数

384

解説

内容紹介

シベリヤの捕虜収容所で出会った人や忘れがたい光景、労働の日々を透徹した文体で描く戦争文学の名著。詩・エッセイ・短篇を加えたオリジナル編集版

堀江敏幸による編集で不朽の第一作が増補版として甦る!
シベリヤ抑留帰りの異才が残した
静謐にして不穏な足跡

敗戦によりソ連軍の捕虜となった作者は、シベリヤ各地の収容所を5年にわたり転々とする。そして炭坑、街路、煉瓦工場などで労働しながら、捕虜仲間やソ連兵、町の人びとと言葉をかわし、さまざまな光景を目にした。帰国後に書かれた『シベリヤ物語』は、苛酷な経験を描きながらも静謐で、今なお不思議な輝きを放つ。表題作全篇に詩・エッセイ・短篇を加えて新たに編まれた「傑作選」の一冊。

装画 柳智之
カバーデザイン 五十嵐哲夫

目次

Ⅰ シベリヤ物語 
シルカ
馬の微笑
小さな礼拝堂
舞踏会
人さまざま
掃除人
アンナ・ガールキナ
ラドシュキン
ナスンボ
勲章
犬殺し

Ⅱ 逃げていく歌
未確認戦死者の歌
うたごえの歌
兵隊の歌
露営の夢の歌
逃亡兵の歌
復員列車の終着駅の歌

Ⅲ シベリヤをめぐって ― 短篇とエッセイ 
炭坑ビス ソ連俘虜記
『シベリヤ物語』作者のことば
〈私の処女作〉『シベリヤ物語』
シベリヤから還って
チタの詩人

中へ入ることの出来ない映画の一場面でも見るように ― 解説にかえて 堀江敏幸

著作者プロフィール

長谷川四郎

( はせがわ・しろう )

長谷川 四郎(はせがわ・しろう):1909年、北海道函館生まれ。45年8月よりソ連軍の捕虜となりシベリヤ各地の捕虜収容所でさまざまな労働に従事。50年に帰国。52年に『シベリヤ物語』を筑摩書房より刊行。その後も、小説、詩、翻訳、戯曲、エッセイなど幅の広い執筆活動を行った。他の著書に『鶴』(ちくま文庫、近刊)、『ぼくの伯父さん』(青土社)、『中国服のブレヒト』(みすず書房)など、訳書に『デルスウ・ウザーラ』(平凡社)、『ロルカ詩集』(土曜社)、『カフカ傑作短篇集』(福武文庫)などがある。87年没。

堀江敏幸

( ほりえ・としゆき )

堀江 敏幸(ほりえ・としゆき):1964年、岐阜県生まれ。作家、仏文学者、早稲田大学文学学術院教授。95年に第一作『郊外へ』(白水社)を刊行。著書に『熊の敷石』(講談社文庫)、『雪沼とその周辺』『河岸忘日抄』『その姿の消し方』『おぱらばん』(新潮文庫)、『正弦曲線』『戸惑う窓』(中公文庫)、『オールドレンズの神のもとで』(文春文庫)などがある。

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