1300万もの犠牲者を出した第一次世界大戦。その恐怖の記憶は戦間期に一掃され、国民的栄光と意義ある戦争という「戦争体験の神話」が創られていく。かつての義勇兵である教養人の言葉が「神話」の原型を創り、戦争記念碑や戦没者墓地が国民的礼拝の場となって、戦没者をナショナリズムという市民宗教への殉教者、「英霊」として祀りあげる。その一方で、絵葉書やポスター、映画や旅行によって、戦争を親しみやすいものへと変える平凡化も進行していく……。第一次世界大戦後のドイツを中心として、ナポレオン戦争からベトナム戦争までを射程に、フランス・イタリア・イギリスからも例を取った。戦争の記憶が神話化されるメカニズムを暴き出した古典的名著。