高瀬正仁
( たかせ・まさひと )1951年、群馬県生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業、九州大学大学院修了。理学博士。数学者、数学史家。元・九州大学基幹教育研究院教授。著書『高木貞治とその時代』(東京大学出版会)、『人物で語る数学入門』(岩波新書)、訳書ガウス『ガウス整数論』(朝倉書店)、ヤコビ『楕円関数論序説』(講談社)ほか多数。
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世界の名だたる数学者たちも手に負えなかった難問をひとりで次々と解明し、「OKAという数学集団」が日本にいるのではないかと思われていた岡潔。また彼は随筆家としても日本人の情緒の大切さを訴えかけたベストセラー『春宵十話』をはじめ多くの文章を残した。岡の生涯は華麗な学問的業績とともに奇矯な振る舞いの数々でも知られている。曰く「秋月(康夫)家の押し入れにずっと籠っていた」「ほかの先生の講義中でもずかずかと教室に入り、黒板で計算をしてまた出て行く」「頭に響くといってゴム長を愛用」等々、天才の持つ異常さ、非日常性、非常識さをいかんなく体現していた(警察沙汰になったことも)。
本書は岡の評伝全2巻のうちの1巻目で、誕生以前(祖父の代)から研究の絶頂期までの期間を対象にしている。遺族から提供を受けた資料も用いマニアックに伝説の数学者岡潔の全貌に肉薄する。付・著作目録、略年譜。
生地と故郷
魔法の森
與八とんとん(粉河中学)
松原隆一との別れ(三高と京大)
心情の美と数学の変容
伝説の詩人数学者「岡潔」―「ハルトークスの逆問題」の前後と伝説の形成 数学ノート(一)
トノンの秋と由布院の春
由布院の夏の日々
金星の少女との会話(広島事件)
福良の海と数学の誕生
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