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ちくまプリマー新書

「みんな違ってみんないい」のか?

——相対主義と普遍主義の問題

定価

924

(10%税込)
ISBN

978-4-480-68430-1

Cコード

0210

整理番号

405

2022/07/05

判型

新書判

ページ数

224

解説

内容紹介

昨今、「価値観が多様化している」「価値観が違う人とは結局のところ分かりあえない」といったことがしばしばいわれる。このような「人や文化によって価値観が異なり、それぞれの価値観には優劣が付けられない」という考え方を「相対主義」という。しかし世の中には「両立しない意見のなかから、一つに決めなければならない場合」がある。それに対して、「科学的に判断するべきだ」ということがしばしばいわれる。科学は「客観的に正しい答えを教えてくれる」と多くの人は考えており、このような考え方を「普遍主義」という。ところが、実は科学は一枚岩ではない。「科学者であれば全員が賛成している答え」ができあがるには時間がかかるため、何十年も前に合意が形成されて研究が終了したことについては教えてくるものの、まさしく今現在問題になっていることについては、「自分が正しいと考える答え」しか教えてくれない。こうした「相対主義」と「普遍主義」の対立は、日常生活や政治の場面で問題になっているだけでなく、現代における哲学の主要な論争点でもある。この本では、20世紀後半以降の哲学における「相対主義」と「普遍主義」の論争を概観していく。

目次

第1章 「人それぞれ」論はどこからきたのか(普遍性を偏重する西洋文明
相対主義的な考え方の始まり ほか)
第2章 「人それぞれ」というほど人は違っていない(言語?椛ホ主義
基本の色彩語 ほか)
第3章 「道徳的な正しさ」を人それぞれで勝手に決めてはならない(人類普遍だからといって「そうするのが正しい」ということにはならない
「道徳的な正しさ」についての私の考え方 ほか)
第4章 「正しい事実」を人それぞれで勝手に決めてはならない(「事実は人それぞれ」と主張する人たち
ものの見え方は人それぞれでない ほか)

著作者プロフィール

山口裕之

( やまぐち・ひろゆき )

1970年奈良県生まれ。徳島大学総合科学部教授。1999年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。2002年博士(文学)学位取得。専門はフランス近代哲学、科学哲学。主な著書に『コンディヤックの思想――哲学と科学のはざまで』『人間科学の哲学――自由と創造性はどこへいくのか』(以上、勁草書房)、『認知哲学――心と脳のエピステモロジー』『コピペと言われないレポートの書き方教室――3つのステップ』(以上、新曜社)、『ひとは生命をどのように理解してきたか』(講談社選書メチエ)、『人をつなぐ 対話の技術』『語源から哲学がわかる事典』(以上、日本実業出版社)、『「大学改革」という病――学問の自由・財政基盤・競争主義から検証する』(明石書店)。翻訳書にコンディヤック『論理学――考える技術の初歩』(講談社学術文庫)。

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