loading...

ちくまプリマー新書

物語の役割

人間は、なぜ物語を必要とするのか?

私たちは日々受け入れられない現実を、自分の心の形に合うように転換している。誰もが作り出し、必要としている物語を、言葉で表現していくことの喜びを伝える。

定価

880

(10%税込)
ISBN

978-4-480-68753-1

Cコード

0290

整理番号

53

2007/02/05

判型

新書判

ページ数

128

解説

内容紹介

私たちは日々受け入れられない現実を、自分の心の形に合うように転換している。誰もが作り出し、必要としている物語を、言葉で表現していくことの喜びを伝える。

目次

第1部 物語の役割(藤原正彦先生との出会い
『博士の愛した数式』が生まれるまで
誰もが物語を作り出している ほか)
第2部 物語が生まれる現場(私が学生だったころ
言葉は常に遅れてやってくる
テーマは最初から存在していない ほか)
第3部 物語と私(最初の読書の感触
物語が自分を救ってくれた
『ファーブル昆虫記』―世界を形作る大きな流れを知る ほか)

著作者プロフィール

小川洋子

( おがわ・ようこ )

1962年岡山市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。91年「妊娠カレンダー」で第104回芥川賞を受賞。その後も様々な作品を通じて、私たちを静謐な世界へと導いてくれている。著書に『冷めない紅茶』『ホテル・アイリス』『沈黙博物館』『アンネ・フランクの日記』『偶然の祝福』『まぶた』『博士の愛した数式』『ブラフマンの埋葬』『世にも美しい数学入門』(藤原正彦氏との共著)『ミーナの行進』(谷崎潤一郎賞受賞)などがある。

この本への感想

小川洋子さんの小説の書き方は、最初に全体としての大きなテーマがあって、次に登場人物などの部分を設定していくのではなく、まず、ある場面が映像で思い浮かんで、そこから想像力が膨らんで世界が広がり、物語が生まれる、という書き方。

その想像力の源となるのが、現実を観察する観察者になるということ。「観察者になるという姿勢を持った時、生きている人も死んでいる人も、自分も他人も動物も草も花もみんな、あらゆるものが平等に見えてきた。」という言葉を読み、試しに通勤途中にすれ違う人々をちょっと観察して、人々の生活を想像してみたら、不思議と愛しさが湧いてきました。想像力を少し多く働かせるだけで、いつもとは違う自分に気付くかもしれません。

「つまり誰でも皆小説的な、小説になるような題材をたくさん持っている。」という言葉のとおり、自分の眠っていた想像力が呼び覚まされ、小説を書いてみたくなる、そんな本です。

ぱんださん

さん
update: 2012/03/18
この本の内容に感銘をうけ、紹介されていた『ナショナルストーリープロジェクト』ポールオースター編、新潮社 も 読み上げました。心理的に遠かったアメリカ市民が 近く感じられた良書でした。流石に小川さんが紹介されただけのことはありました。アメリカ人もまた 先の大戦で深い心の傷を負ったのです。それに呼応するかのようにNHKスペシャルで 被爆NAGASAKIを撮影したアメリカ兵の苦悩に満ちた人生のドキュメンタリーが放送されました。これも感動しました。小川さんの著書で私の世界が 広がっていきます。

もか

さん
update: 2008/08/08
情景の小箱

「映像が頭の中に浮かぶ時には、すでにそれが小説になるというサイン」だと語る言葉に、小川洋子が描く小説世界の、セピア色に満ちた小箱の様な優しさの理由を知ったような気がしました。
現実世界で振り回されたり、痛めつけられたりしながら自分を成長させ生きているとする中で、気持ちの整理をし、傷をいやす、そんな「物語の役割」について、じっくりと考え直す事ができた気がします。

HANA

さん
update: 2008/03/17
静かな感動を与えてくれる小川洋子さんの小説がいかにして創作されるのかがわかって実に興味深い。

きしゅうろーれる

さん
update: 2007/09/03
最近は小説だけでなく新書を読むようになった私がいい新書はないかなと探している時にこの本を見つけた。
小説家を目指している私は本の題名が気になって買うことにした。
内容は自分の考えと全てが合うわけではないが、今後自分が何かを作るときに視野に入れるべきものであると思った。
物語の役割とは、その答のすべてがこの本ではないし、答えがここにないわけではない。
ただ私はこの問について真剣に考える機会をくれたこの本に感謝します。

(17歳・男性・高校生)

さん
update: 2007/05/09
さすが小川さん

小説を読んでもさーっと流してしまい、結局特には自分の中に何も残っていない…それはむなしい。話の表現、設定などを今一度かみしめて新たな発見ができればますますその話の魅力は増すだろう。
あ~なるほどな~の連続。小川さんありがとうございました。

悩み多き浪人生

さん
update: 2007/05/02
このシリーズは、ルビまで振られた入門書だ。紙は厚めで、頁は多くない。気楽にさっと読める。のだが、内容はドラスティックにして明快。物語の役割、を皮切りに、ゆっくりでいいんだよ、われわれはどこへいく、詩への道しるべ、問題が問題など続けて読んで。楽しませてもらった。この編集は誰がしたのだろう。そんな興味がわく素晴らしい出来だと思う。

興村俊郎

さん
update: 2007/04/07
「博士の愛した数式」以降、小川洋子さんの作品、エッセイ等読ませて頂いております。ホロコーストの話、犠牲、日航機事故など、読んでいて涙が溢れてきました。この本は、手元に置いて、時々読み返したいと思います。

荒井クッキー

さん
update: 2007/04/06
私は作者の小川さんが、大好きで、殆どの作品を読んでいる。小川さんの作品は、とげとげした私の心をいつも、癒してくれる。やさしさ、不思議さ、時にはグロテスク…うまく表現できないが、とにかく、読後感がひじょうにふんわかする。この本を読んで、小川さんの姿勢がよく分かり、ますます、ファンになった。今後も大いに期待しています。

ヒロちゃん

さん
update: 2007/03/22
かわいらしいカバーとやさしい語り口にくるまれたすごい本!

小川さんのご講演を本にしてくださってありがとうございました。作家としての物語に対する敬虔とも言える姿勢、謙虚さ、真摯さに胸を打たれました。読者の感情を簡単に操れると思って書かれたような小説はもう一切読みたくないと感じた程です。小川作品をより深く、豊かに味わうヒント、手がかりにもなりました。
また、現実に向かう静かな勇気も湧いてきました。自分による物語でもって、さらに他の人の手によるすぐれた物語によって、強くしなやかに生きていけるはずだという希望が満ちてきたのです。多くのかたにおすすめしたい一冊です。

シロ

さん
update: 2007/03/15
 小川洋子さんの「博士の愛した数式」は私の大好きな物語でしたが、物語を紡ぐ背景、創造に至るプロセスに触れることができて、とてもおもしろかった。
 彼女の言葉には、誠実な確かさと、豊かさがあって、ますます好きになりました。

H.M

さん
update: 2007/03/14
物語の普遍性を謳っていて
すばらしいと思います。

マイトレイヤ

さん
update: 2007/03/02
“一緒に彷徨”していただける幸福

小川洋子さんの小説の中の静謐な異空間のたたずまいがとても好きです。それがどんなふうな重いと覚悟と願いをもって描かれているのかが、本当によく理解できた気がします。「到着地点を示さず、迷う読者と一緒に彷徨するような小説」本当に小川洋子さんの思いは正しい。

kanako

さん
update: 2007/02/26
 物語というのはテーマがあって、ストーリーを読むものであるとずっと思っていましたが、「言葉に出来ないものを伝えるために物語を書く」、「ストーリーを作るのではなく、存在するけれど表現出来ていないストーリーをすくいあげる」という考えに大変感銘を受けました。言葉が先か、思いが先か、などという考えを、180度変えることになったと思います。謙虚に生きること、一生懸命生きることの大切さが身にしみたというか、言葉に出来ない大きなものを頂いたような気がします。

なおこ

さん
update: 2007/02/25
勇気をもらった

私は、プライベート(家族)の問題をかかえている。それを解決したとき、自分の物語がつくられるのだと思った。
光は見えないが、前にすすむよりないと思った。小川さん、勇気をありがとう。

讃岐うどん

さん
update: 2007/02/20
 小川さんがいかに物語を愛し、書きつづける理由がわかりました。
 人はなぜ、物語=小説を読むのか。本好きのみならず、誰もが思っていることでしょう。物語は、現実を乗り越える、すばらしい作用がある。小川さんがそう教えてくれた気がしました。
 本は読まない人にもおすすめしたいです。読書の素晴らしさ、本当の意味を実感できれば、人生は豊かになるはず――そう信じて次々と本を手に取るようになることを願います。

(31歳・男性・会社員)

さん
update: 2007/02/14
これぞ小説書き入門書

・これぞ小説書き入門書と云えて、凡百の類書や大上段に構えた著名な作家・評論家などのそれより、はるかに創作の秘密を、事もなげに、きわめて易しい文章で披瀝していて、びっくりした。
・一つ残念なことは、本文が125頁足らずと、少々少な過ぎること。一枚の頁がぶ厚く、何となく、馬鹿にされたような感じが否めない。例えば、映画「父と暮らせば」等の作品を多用し、いくらでも頁数をふやせたのではないか。

裕賢

さん
update: 2007/02/14
最近、世田谷区の図書フォーラムに参加した。―読書はあらゆる学習の基礎となっている―この意見に共感した。この本も、物語がいかに人の心に必要かを気づかせてくれる内容で大事なことを学んだ気がします。

(35歳・男性・保育士)

さん
update: 2007/02/14

本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。

  • [*]は必須項目です。おそれいりますが、必ずご記入をお願いいたします。
  • (ここから質問、要望などをお送りいただいても、お返事することができません。あしからず、ご了承ください。お問い合わせは、こちらへ)
  • ※お寄せいただいたご意見・ご感想の著作権は小社へ帰属し、当ホームページや小社出版物に転載させていただく場合がございます。
  • ※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご了承ください。

「ちくまプリマー新書」でいま人気の本

いま話題の本