死別、離婚、失業、天災、疫病など、人生の根幹を揺さぶる危機からすぐに立ち直る人もいれば、鬱に陥ったり自殺を試みる人もいる。ラス・ハリスは、平穏な日常に突然加えられるReality Slap「現実からの一撃」が人間にどのような影響を及ぼすかを解説し、そこから立ち直る方法を提示する。愛する人を亡くした時、心は様々なつぶやきで自分を責める。もっと一緒にいてやればよかった、自分はなんてひどい奴だetc。こうした思考は繰り返し現れ、人は苦しみ嘆き、他人との接触を断ち、酒やドラッグに逃避する。だが、必要なのはセルフ・コンパッション、自分にやさしくすることだ。愛する子供を亡くした人に、「しっかりしろ、お前は弱虫だ」とは言わず、「辛かったな、君の気持ちは分かるよ」と声をかけるように、傷ついている自分にもやさしい言葉が必要なのだ。既刊３冊で紹介された、感情を認め、存在を許していくというやり方から一歩進めて、感情を積極的に見つめ、それがなぜ現れたのかを考察していく。基本はマインドフルネスとACTの手法に沿った方法論だが、全体で一つのセラピーのように段階を経て紹介していくので、わかりやすく、応用範囲も広い。