広田照幸
( ひろた・てるゆき )1959年生まれ。現在、日本大学文理学部教育学科教授。研究領域は、近現代の教育を広く社会科学的な視点から考察する教育社会学。1997年、『陸軍将校の教育社会史』(世織書房)で第19回サントリー学芸賞受賞。著作に『教育は何をなすべきか――能力・職業・市民』(岩波書店)、編著に『歴史としての日教組』(名古屋大学出版会)など多数。
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日本国民の多くは、なぜ陸海軍を熱狂的に支持したのか。本書は、陸軍将校の教育社会史という切り口で、戦時体制の積極的な担い手の精神構造を明らかにし、ひいては近代日本の天皇制と教育との関わりを分析する。一言でいえば、陸軍軍人を目指す者たちは、出世欲に凝り固まっていた。陸軍士官学校と幼年学校は、「将校生徒としての自覚」を教え、「天皇への距離」の近さを諭すだけで、自発的に「選ばれた者」としてのエリート意識を生徒に身につけることに成功した。この様子を、生徒の日記や旧軍人の回顧をもとにリアルに描く。これまで無意識に前提されていた「内面化」の図式を覆し、「教育社会史」という研究領域を切り開いた傑作。第19回サントリー学芸賞受賞。
第2部 陸士・陸幼の教育(将校生徒の自発性と自治
将校生徒の意識変容
一般兵卒の“精神教育”)
第3部 昭和戦時体制の担い手たち(社会集団としての陸軍将校
「担い手」諸集団の意識構造)
結論 陸軍将校と天皇制
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