loading...

ちくま学芸文庫

三島由紀夫 薔薇のバロキスム

定価

1,210

(10%税込)
ISBN

978-4-480-51180-5

Cコード

0170

整理番号

-17-5

2023/05/10

判型

文庫判

ページ数

256

解説

内容紹介

三島由紀夫の美学・芸術的な感受性を13編の評論で辿り、自死に至ったこの作家ならではの感受性の変容を死の時点から逆照射し、著者ならではの観点から新しい三島由紀夫像を問う、書き下ろし力作。
内面と外面、精神と身体、仮面と告白、植物的想像力と動物的な存在性などの三島独自の二元論を解き明かすとともに、グイド・レーニの《聖セバスチャン》に端を発する殉教、プッサンやヴァットーらの官能・耽美、カラヴァッジオの《斬首》、フロイトの欲望の抑圧、そして、特権的なメタファーとしてたびたび現れる薔薇(『薔薇刑』も)など、彼が傾注したさまざまな表象、作品世界のイメージを取り上げ、それらが作家独自の「死」へと収束されていく過程を耽美的に詳らかにする。
本書は三島の独自の二元論を語ったものであるが、その裏テーマは「三島と植物的想像力」である。生前の三島に邂逅した経験を持ち、「三島美学」という言葉につねに曖昧なものを感じ続けてきた著者は、「三島由紀夫について語るとは、彼における薔薇について語ることと等しい、とさえ言えそうに思う」と言う。

目次

序 昭和四十五年十一月二十五日
1 映画『憂国』と音楽
2 外面と内面
3 ヘレニズム・バロック
4 薔薇狂い
5 薔薇のバロキスム
6 美しい無智者と醜い智者
7 肉体の論理とその逆説
8 「存在の劇」谷崎潤一郎VS三島由紀夫
9 死の太陽
10 三島由紀夫のフローラ
11 松へのこだわり
12 死の様式
13 「動態」としての文化とその座標軸
14 庭と海
結 「お祝いには赤い薔薇を」

著作者プロフィール

谷川渥

( たにがわ・あつし )

谷川 渥(たにがわ・あつし):美学者、批評家、文学博士。東京大学大学院美学芸術学専攻博士課程修了。國學院大學文学部教授、杭州師範大学客座教授、京都精華大学客員教授などを歴任。日本近代芸術史の諸問題を踏まえながら、マニエリスム・バロックからモダニズム・現代美術にいたる広範な領域を視野に収め、多様な〈美的表象〉を渉猟し、美学と批評を架橋する。著書に『形象と時間』『美学の逆説』『シュルレアリスムのアメリカ』『鏡と皮膚』『図説だまし絵』『肉体の迷宮』『幻想の花園』『ローマの眠り』など多数。

本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。

  • [*]は必須項目です。おそれいりますが、必ずご記入をお願いいたします。
  • (ここから質問、要望などをお送りいただいても、お返事することができません。あしからず、ご了承ください。お問い合わせは、こちらへ)
  • ※お寄せいただいたご意見・ご感想の著作権は小社へ帰属し、当ホームページや小社出版物に転載させていただく場合がございます。
  • ※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご了承ください。

「ちくま学芸文庫」でいま人気の本

いま話題の本